銀河の片隅で科学夜話 全卓樹 朝日出版社
初めて耳にするテーマもあれば、聞いたことある事柄もある。
ただし、物理学者の視点故に全22のトピックにおいて理詰めで納得しやすい。
一方で、家人からの的確な一言などもあって、理屈だけではないバランス良き思考を感じる一冊。
と申しましても私の実力不足で、どこまで理解できてるかは別問題!?
ってことでレビューというより単なるメモ程度(ご容赦)。
〔天空編〕
第1夜 海辺の永遠
珊瑚の表面には日々の潮の満ち引きが文様となって刻まれ、季節による濃淡を一年の日数が分かる(3億5千万年前の豪珊瑚の化石では385程の筋)。
第2夜 流星群の夜に
流れ星になる小惑星は小惑星帯から。短周期彗星はカイパーベルト(ここからのは地球の公転面上とほぼ一致)、千年を超える長周期彗星はオールトの雲。
第3夜 世界の中心にすまう闇
暗黒星雲も波長が長い赤外線と短いX線により観測できる。
第4夜 ファースト・ラグランジュ・ホテル
5つのラグランジュ点(地球と月、それぞれからの重力釣り合う点)
// L4
L3 // E L1 M L2
// L5
L3, 4, 5はEを中心に120°の円周上で半径はEM=EL3、EL1は0.85EM位、EL2は地球 - 月系: 月(平均公転半径 384,400 km)から 61,500 km
随分無理がある表記です・・・
第5夜 真空の探求
チェッリから200年、ガイスラーとユリウスは真空のガラス管に電圧をかける放電実験を実施(陰極管!、これは電子の存在を示し、X線の発見につながる)。真空の発見が原子と核と放射能エネルギーの世界への重い扉を開く鍵。
第6夜 ベクレル博士のはるかな記憶
レントゲンの論文を精読し、蛍光物質に光を当てることでX線を作れないかと考えたベクレル、(略)陽光にさらしたウラニウム塩を厚い黒紙に包んで、十字架を間に挟んで写真乾板の上に置いた。さらに1896年2月のパリは晴れない日が続いたがウラニウム塩を包んだ黒紙の下の乾板は感光していた(人類が放射能をはじめて識った)。時置かずして、キュリー夫妻がラジウム、ポロニウムにも放射性元素の存在を確認。
第7夜 シラード博士と死の連鎖分裂
中性子を当てることで原子核を崩壊させる研究が各地で行われていた1933年ロンドンの街角、ハンガリーから亡命していたシラ―ドは連鎖核反応のアイデアを思い付いた。
「解放された世界」ウェルズ
第8夜 エヴェレット博士の無限分岐宇宙
ヒュー・エヴェレット
「神はサイコロを振らない」アインシュタイン
「神が何をするか、命令するのはよせ」ニールス・ボーア
「枝分かれする小径の庭園」ホルヘ・ルイス・ボルヘス
〔数理社会編〕
第9夜 確率と錯誤
Liberteに自由か天下御免
架空のお話で金曜日の夜の高知市の飲酒運転率は1/1000。高知県警の飲酒検知器の精度は99%。
さて、お巡りさんが夜の街に出て、ランダムに車を止めて検知器をかざすと警報が鳴ったのであるが、果たしてこの運転手が本当に飲酒運転をしていた確率はどれくらいか。
1/1000 x 99/100 + 999/1000 x 1/100 = 1098/100000であるが条件付き確率なので(99/100000) / (1098/100000) = 99/1098 ≒ 0.0902で 9%程度。
第10夜 ペイジランク─多数決と世評
グーグル
第11夜 付和雷同の社会学
パニュルジュの羊みたいに、他人の判断に頼る傾向とそれがもたらす社会的な帰結
ダンカン・ワッツ博士の人気曲の実験
人間に限らず広く動物界においても多数の他者の判断に従う行動は多くの場面で種の繁栄にとって有利だっただろう。
家人からの物理学者や数学者のダークサイドへの堕ち方指摘、それに対する使命的な末文
第12夜 三人よれば文殊の知恵
三人とも正しい判断する確率0.9x0.9x0.9=0.729、一人が間違う3x0.1x0.9x0.9=0.243なので
0.729+0.243=0.972踏まえて正当性が0.9,0.9,0.6のように一人見習い的、不慣れな者が混じる場合0.9x0.9x0.6+0.9x0.9x0.4+0.9x0.1x0.6+0.1x0.9x0.6=0.918※見習いを0.5とすると0.9
第13夜 多数決の秘められた力
ガラム理論
三人で意見を調整する仮定では3-2*2^(1/2)=0.1715・・・で固定型17%以上が混ざっていれば無敵。
簡単なモデルは黒か白など2つの選択がある幾つかの集団において、3人ずつに分ける。
ここで1)2以上の多数派になる、2)絶対変わらないが存在する、によって3人ずつ分けるの施行を繰り返し前後で変わらなくなるまで行う。
〔倫理編〕
第14夜 思い出せない夢の倫理学
ブレイン・デコーディング(脳信号解読)によって、起床30秒より前の夢の抽出も可能
第15夜 言葉と世界の見え方
英語、マヤ語(700万人が使っている)圏による箱の実験(対照に7歳以下)
サピア=ウォーフ仮説
フィンランドにおけるフィン語とスウェーデン語話者による事故発生率差異
フィン語は沢山の事象があると時間順序が曖昧な傾向、スウェーデン語は前置詞後置詞の駆使で日常会話においても時間関係は明確
第16夜 トロッコ問題の射程
MITメディア研究所准教授イヤド・ラハワン博士率いるグループが2018秋ネイチャー
“The Moral Machine experiment” Nature 562(2018)59-64
地球上の地域ごとの倫理的性向
p136〜138※時計回り
(ドミニカ)フランス、チェコ、ハンガリー(スロバキア)、イラン(ネパール)
(カンボジア)日本(マカオ)・・・(クウェート)サウジアラビア(香港)
(モロッコ)ブラジル(グァム)・・・(ポーランド)バングラディッシュ、イラク(イスラエル)
(チュニジア)ベトナム(ジャージー)・・・(ミャンマー)シリア(ウズベキスタン)
(シンガポール)スリランカ(キプロス)・・・(アゼルバイジャン)トルコ(ペルー)
第17夜 ペルシャとトルコと奴隷貴族
中世から近世にかけてイスラーム諸国でみられた、異民族の奴隷からなるエリート部隊の軍人マムルーク。
〔生命編〕
第18夜 分子生物学者、遺伝的真実に遭遇す
ポール・ナース博士、17歳年上の姉
第19夜 アリたちの晴朗な世界
人間も蟻も地上動物バイオマス三割程度と言われている大多数派(と言うか重さ)
蟻の脳は約100万ニューロンから成っている。
第20夜 アリと自由
マインツ大学パンミンゲル博士たち「アリの奴隷反乱の地理的分布について」
第21夜 銀河を渡る蝶
ロシアの天文学者カルダシェフは宇宙に存在しうるすべての文明を消費するエネルギー量に基づいて三段階に分類、一つの惑星全体のエネルギーを使い尽くす、一つの恒星系全体のエネルギーを使い尽くす、一つの銀河全体のエネルギーを使い尽くす
第22夜 渡り鳥を率いて
ビル・スレイデン博士と友人のウィリアム・リッシュマンと七羽のアメリカシロヅル
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初めて耳にするテーマもあれば、聞いたことある事柄もある。
ただし、物理学者の視点故に全22のトピックにおいて理詰めで納得しやすい。
一方で、家人からの的確な一言などもあって、理屈だけではないバランス良き思考を感じる一冊。
と申しましても私の実力不足で、どこまで理解できてるかは別問題!?
ってことでレビューというより単なるメモ程度(ご容赦)。
〔天空編〕
第1夜 海辺の永遠
珊瑚の表面には日々の潮の満ち引きが文様となって刻まれ、季節による濃淡を一年の日数が分かる(3億5千万年前の豪珊瑚の化石では385程の筋)。
第2夜 流星群の夜に
流れ星になる小惑星は小惑星帯から。短周期彗星はカイパーベルト(ここからのは地球の公転面上とほぼ一致)、千年を超える長周期彗星はオールトの雲。
第3夜 世界の中心にすまう闇
暗黒星雲も波長が長い赤外線と短いX線により観測できる。
第4夜 ファースト・ラグランジュ・ホテル
5つのラグランジュ点(地球と月、それぞれからの重力釣り合う点)
// L4
L3 // E L1 M L2
// L5
L3, 4, 5はEを中心に120°の円周上で半径はEM=EL3、EL1は0.85EM位、EL2は地球 - 月系: 月(平均公転半径 384,400 km)から 61,500 km
随分無理がある表記です・・・
第5夜 真空の探求
チェッリから200年、ガイスラーとユリウスは真空のガラス管に電圧をかける放電実験を実施(陰極管!、これは電子の存在を示し、X線の発見につながる)。真空の発見が原子と核と放射能エネルギーの世界への重い扉を開く鍵。
第6夜 ベクレル博士のはるかな記憶
レントゲンの論文を精読し、蛍光物質に光を当てることでX線を作れないかと考えたベクレル、(略)陽光にさらしたウラニウム塩を厚い黒紙に包んで、十字架を間に挟んで写真乾板の上に置いた。さらに1896年2月のパリは晴れない日が続いたがウラニウム塩を包んだ黒紙の下の乾板は感光していた(人類が放射能をはじめて識った)。時置かずして、キュリー夫妻がラジウム、ポロニウムにも放射性元素の存在を確認。
第7夜 シラード博士と死の連鎖分裂
中性子を当てることで原子核を崩壊させる研究が各地で行われていた1933年ロンドンの街角、ハンガリーから亡命していたシラ―ドは連鎖核反応のアイデアを思い付いた。
「解放された世界」ウェルズ
第8夜 エヴェレット博士の無限分岐宇宙
ヒュー・エヴェレット
「神はサイコロを振らない」アインシュタイン
「神が何をするか、命令するのはよせ」ニールス・ボーア
「枝分かれする小径の庭園」ホルヘ・ルイス・ボルヘス
〔数理社会編〕
第9夜 確率と錯誤
Liberteに自由か天下御免
架空のお話で金曜日の夜の高知市の飲酒運転率は1/1000。高知県警の飲酒検知器の精度は99%。
さて、お巡りさんが夜の街に出て、ランダムに車を止めて検知器をかざすと警報が鳴ったのであるが、果たしてこの運転手が本当に飲酒運転をしていた確率はどれくらいか。
1/1000 x 99/100 + 999/1000 x 1/100 = 1098/100000であるが条件付き確率なので(99/100000) / (1098/100000) = 99/1098 ≒ 0.0902で 9%程度。
第10夜 ペイジランク─多数決と世評
グーグル
第11夜 付和雷同の社会学
パニュルジュの羊みたいに、他人の判断に頼る傾向とそれがもたらす社会的な帰結
ダンカン・ワッツ博士の人気曲の実験
人間に限らず広く動物界においても多数の他者の判断に従う行動は多くの場面で種の繁栄にとって有利だっただろう。
家人からの物理学者や数学者のダークサイドへの堕ち方指摘、それに対する使命的な末文
第12夜 三人よれば文殊の知恵
三人とも正しい判断する確率0.9x0.9x0.9=0.729、一人が間違う3x0.1x0.9x0.9=0.243なので
0.729+0.243=0.972踏まえて正当性が0.9,0.9,0.6のように一人見習い的、不慣れな者が混じる場合0.9x0.9x0.6+0.9x0.9x0.4+0.9x0.1x0.6+0.1x0.9x0.6=0.918※見習いを0.5とすると0.9
第13夜 多数決の秘められた力
ガラム理論
三人で意見を調整する仮定では3-2*2^(1/2)=0.1715・・・で固定型17%以上が混ざっていれば無敵。
簡単なモデルは黒か白など2つの選択がある幾つかの集団において、3人ずつに分ける。
ここで1)2以上の多数派になる、2)絶対変わらないが存在する、によって3人ずつ分けるの施行を繰り返し前後で変わらなくなるまで行う。
〔倫理編〕
第14夜 思い出せない夢の倫理学
ブレイン・デコーディング(脳信号解読)によって、起床30秒より前の夢の抽出も可能
第15夜 言葉と世界の見え方
英語、マヤ語(700万人が使っている)圏による箱の実験(対照に7歳以下)
サピア=ウォーフ仮説
フィンランドにおけるフィン語とスウェーデン語話者による事故発生率差異
フィン語は沢山の事象があると時間順序が曖昧な傾向、スウェーデン語は前置詞後置詞の駆使で日常会話においても時間関係は明確
第16夜 トロッコ問題の射程
MITメディア研究所准教授イヤド・ラハワン博士率いるグループが2018秋ネイチャー
“The Moral Machine experiment” Nature 562(2018)59-64
地球上の地域ごとの倫理的性向
p136〜138※時計回り
(ドミニカ)フランス、チェコ、ハンガリー(スロバキア)、イラン(ネパール)
(カンボジア)日本(マカオ)・・・(クウェート)サウジアラビア(香港)
(モロッコ)ブラジル(グァム)・・・(ポーランド)バングラディッシュ、イラク(イスラエル)
(チュニジア)ベトナム(ジャージー)・・・(ミャンマー)シリア(ウズベキスタン)
(シンガポール)スリランカ(キプロス)・・・(アゼルバイジャン)トルコ(ペルー)
第17夜 ペルシャとトルコと奴隷貴族
中世から近世にかけてイスラーム諸国でみられた、異民族の奴隷からなるエリート部隊の軍人マムルーク。
〔生命編〕
第18夜 分子生物学者、遺伝的真実に遭遇す
ポール・ナース博士、17歳年上の姉
第19夜 アリたちの晴朗な世界
人間も蟻も地上動物バイオマス三割程度と言われている大多数派(と言うか重さ)
蟻の脳は約100万ニューロンから成っている。
第20夜 アリと自由
マインツ大学パンミンゲル博士たち「アリの奴隷反乱の地理的分布について」
第21夜 銀河を渡る蝶
ロシアの天文学者カルダシェフは宇宙に存在しうるすべての文明を消費するエネルギー量に基づいて三段階に分類、一つの惑星全体のエネルギーを使い尽くす、一つの恒星系全体のエネルギーを使い尽くす、一つの銀河全体のエネルギーを使い尽くす
第22夜 渡り鳥を率いて
ビル・スレイデン博士と友人のウィリアム・リッシュマンと七羽のアメリカシロヅル
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