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→♂♀←_no.28_2019:初めて道具をつくったのは誰か?

2019-09-08 21:38:32 | 今月のお薦め_XX.20XX
初めて道具をつくったのは誰か?_鳥頭なんて誰が言った?_第4章_工学技術と職人仕事 エマニュエル・プイドバ 早川書房

※本文(翻訳)の抜粋を中心に
 リスクを冒すことなく導きさせる結論として

初めて道具を使い、道具を製作したのがヒトである可能性はかぎりなく低いということだ!
道具はおそらく、進化の過程におけるいくつもの時代に、いろいろな形で、さまざまな進化系統において登場し、それぞれの状況と、身体的形状に固有の能力や認知能力に関連していたと考えられる。

 だから、決してヒト特有なものではないはずだが、
道具を使う動物種は、研究者からだけでなく一般の人々からも特別な地位にあるように見られている。
 こうした反応はおそらく、
私たち人類が動物界の他の種と似ているところや違うを絶えず見つけだそうとする執着心の結果なのであろう。私たちの脳裏にはいつも、道具を使う動物は使わない動物よりも知能が高いという考えがすみついているからだ。しかし、現実ははるかに複雑だ。自然界で道具を使わない種がいても、それは知能が欠落しているからではなく、たいていは効率性の問題である。
 実験によるいくつかの(数多ある)研究で
道具を使わない霊長類やカラス科の種が、道具を使う種に匹敵する論理的思考力を持ち、同じ課題を解決でき、ときには道具を使う種よりも高いレベルの論理的思考力を持っていることをはっきりと示している。

ある動物種が自然環境で道具を使わないからといって、道具を使う能力がないということは一切ない。種や個体は何ができるかを示す際、飼育環境での研究にはフィールドワークを補完するという意味で大きな利点がある。そして自然環境での研究は私たちに、どのようにして動物が環境に適応するかという基本的なことを思い出させてくれる。

確実なのは、非常に多くの動物種が、さまざまな状況で、多様なテクニックやさまざまな器官を用いて道具を使うことができるということである。

脚、羽根、手、ひれといったものを持つ多くの種が、複雑な神経中枢システムがあろうとなかろうと道具に夢中になる。したがって、道具は非常に異なる動物ー鳥類、哺乳類、魚類、頭足類、昆虫類、クモ類などの系統の進化においてさまざまな時期に出現している可能性がとても高い。

霊長類の史上初の道具はなんと・・・・・・キツネザル類登場の時代にさかのぼるとも考えられる。

確実なのは、三〇〇万年以上前にルーシーが道具を使い、つくっていたと信じることを、今日まで何も、まったく何も妨げるものはないという点だ。ましてやルーシーが樹上生活を送ることもあり、現生人類と違う手を持っていたからといって、道具を使っていなかったことにはまったくならないのである。

ただし、慎重にならなければならない。道具はおそらく、知能の発達においてそれほど不可欠なものとはいえないからだ。実際、石器は遺跡から見つかるのに、他の知的な行動は化石化されないせいで、私たちは道具を格上に見てしまうようだ。
つづく

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