婚カツでノー○ル賞！_texto036

婚カツでノー○ル賞！

↑こんな見出しがある年の秋冬、各メディアを賑わした。その年のノー○ル物理学賞はホワイトホールを発見したアメリカ人、観測装置を開発したイギリス人、そして場所特定モデルを考案した日本人理論家の三者に贈られた。特に耳目を集めたのがホワイトホール場所特定モデルの完成にお見合いパーティの観察結果が貢献したことだ。

お見合いパーティとは、あの結婚を真剣に考える男女の出会いの宴のことで、代表的な婚カツである。「婚カツ・お見合いパーティ」などの言葉が、ふざけた印象を与えるのか、受賞した理論家を揶揄する声がある。ホワイトホール研究黎明期おける有名な理論を発表した著名学者の多くが既に他界していることによる「タナボタ受賞だ」と。しかし、米国人受賞者は、この理論家のモデルなしに人類初のホワイトホール発見はなかった、と断言している。

この日本物理学者、これまでにも自ら企画したお見合いパーティの観察から様々な天体現象についてモデル化を試みている。恋愛と宇宙の類似性に着目しているのだ。この日本人、一般人向けに「恋愛と宇宙」をテーマにしたコラムを過去に著している。


コラム「宇宙って恋愛みたいじゃん！」

宇宙の歴史と恋愛の展開は非常に似ています。よく耳にする宇宙の歴史は『何もない状態』から『宇宙誕生』が起き、生まれたての宇宙が泡のように膨張する『インフレーション』の状況から『ビッグバン』が起き、宇宙全体が灼熱の火の玉の如く成長。やがて、火の玉状態は徐々におさまり、『宇宙の晴れ上がり』を経て、『現在の宇宙』(推定一三七±二億歳)に至る。

これを一般的な恋愛になぞらえれば、知り合う前の二人は当たり前であるが「何もない状態」。それが、友人の結婚式の二次会に参加した時か、中央のテーブルにあるエビ料理をとろうとした時か、エビを頬張りながら、お互いがエビよりカニ好きと分かった時か、二次会のお誘いのメールを貰った時か、最近、フリーになったばかりで、それ程親しくなかった友人の二次会に参加する返信を衝動的に送った時か、そのせいであまり親しい人がいなかったことが知らない間に確定した時か、断定することは難しいが、二人の出会いを運命付ける出来事が「宇宙誕生」。「宇宙誕生」も、いつ、どのように始まったかを定めることは、丸みのあるお椀の底をピンポイントで特定するように曖昧なのです。

何はともあれ、知り合った二人が親しくなっていく様子は「インフレーション」。いろんな出来事が恋のシャボン玉を膨らませます。街中で、偶然会った時に声を掛けなければ、思い切ってメアドを交換しなければ、気後れしてメールを送信しなければ、二人の間のインフレーションは膨張することはなかったかもしれません。そして、晩熟の二人が「告白・初めて交わすキス」など、お互いの気持ちを確かめる行為が「ビッグバン」に相当するのでしょう。ただし、「ビッグバン」の後に、忙しさにかまけて連絡を怠れば、対消滅が起き、二人の宇宙の対称性が破れず閉塞することも有り得ます。

互いの気持ちを知った直後の二人には「恋は盲目・痘痕も笑窪」な大変オアツイ状態がしばらく続きます。でも、大切なのは、その後。お互いの気持ちが一過性のものでなければ、真の二人の生活が始まります。「ビッグバン」後の宇宙も両想いが分かった直後の二人の如く、非常にアツイ状態でクォーク、陽子、電子など物質の素が形成されます。しかし、熱いままでは素が様々な物質になることはなく、モトのまま。温度が下がり始めて、電離していた陽子と電子が結びつき、水素やヘリウムの原子核が現れ、「宇宙の晴れ上がり」という落ち着きを経て、豊かな「現在の宇宙」になりました。
熱くなってから落ち着くことが末永く続くポイントであることは恋する二人も私たちの宇宙も同じ、宇宙って恋愛みたいじゃん！
(コラムおしまい）

ホワイトホールの随筆もノー○ル受賞記念講演にあわせ構想中らしい。どのような文章になるか楽しみであるが、それ以上に理論家さんから我々にお願いがあるそうです。今、これまでにない大規模なお見合いパーティを企画していて、研究テーマのダークマターについて調べるため、より多くの方に参加をして欲しい！、とのこと。この度のノー○ル物理学賞受賞決定効果でスポンサーが急増し、非常にリーズナブルな参加費でおいしい料理や豪華プレゼントなど用意されているらしい。宇宙研究に貢献しながら、恋を探してみませんか。

恋愛宇宙論の小話バージョン！？です。構想はこっちのが先だったのですが書き上げる順は逆になりました。

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