『COFFEE VALLEY』で至福の珈琲時間を過ごそう。

右側から眩しいくらいの室内ライトが、
トレイに乗った”COFFEE VALLEY”と
書かれたカップに9分に満たされた
珈琲の黒さを克明に映し出している。

その左側ギリギリまでに迫っている壁に
僕自身の横顔のシルエットがくっきりと形作っていて
顔を正面に向けたまま、
横目の動きだけでその影の動きを眺めたりして。

まぎれもなくこれから読もうとしている
目の前に置いた本の活字を目で追っていくには
十分な明るさの程度であることは間違いない。

…

池袋駅の東口から徒歩で4，5分の裏路地に
いい雰囲気の珈琲専門店がある。

1Fと2Fでむき出しで無機的なコンクリートの壁と
シンプルで優しい質感の木目デザインのテーブルとイスで、
内装のバランスの良さを引き出している。

BGMにはPOPな洋楽が緩やかなテンポで流れている。
先払い制で選んだ本日の珈琲は
ルワンダ「ダラス・チョコ農園」とメニューに表示してあって、
そういえばどこかの雑誌に載っていた
スペシャルティコーヒーだというのを思い出して初めて飲めるぞ。
これは嬉しい限り。

2Fのカウンター席に座りひと口ふた口啜った。
…これがなかなか美味い。

口の中に広がるフルーティな余韻が印象的で
その「フルーティな」と、思わず自分にしか聞こえないようなくらいに
小さい声で発してしまいそうなありきたりな形容詞は、ある柑橘系の酸味なのだが
なんの柑橘だとかは表現しがたく僕の味覚では限界があるものの、
この味わい深さは仕事帰りの疲れがスーッと和らぐほどに心身をリラックスさせてくれた。

意外に広い店内。
独りの時間を過ごす人、会社仲間同士の語らいの声は珈琲の話題が聞こえたりして。
そんな人間模様はさまざまだけど、同じ珈琲時間を共有しているような空間の心地良さに気付く。
穏やかな夜に、珈琲を存分に楽しめたのだ。

COFFEE VALLEY （コーヒー専門店 / 池袋駅、東池袋駅、都電雑司ケ谷駅）
夜総合点★★★★☆ 4.2