盆も、送りの段階を過ぎ、日中の日差しもここでやっと
真夏らしさといった感じだが、ここ松本ではすでに日が
暮れると夜は気温20℃を切り、涼しい風が開けた窓から
秋の気配を匂わせてくる。
「成田屋」と言っても歌舞伎の屋号ではない。
移転はあったものの、松本では古くから親しまれている
ラーメン店だ。いただいたのは醤油ラーメン＋半焼飯。
焼飯にこれといって特徴はない。特筆はこのラーメン。
昔ながらのあっさりスープは醤油とは一瞬思えず、
麺を食べつくすと底が見えるは透明感は最近ご無沙汰でした。
最近の主流として「とんこつ」を醤油、味噌、魚介等を駆使して、
いかにしてアレンジし、深みのエッセンスとしての「こってり感」
をどれだけ際立てさせるかという使命感を持ったスープが
いわゆる「売れるラーメン」として今日突っ走っている。
それでも人それぞれ好みの味もあるし、個性過ぎて合わ
ない味もあり、その振り幅は大きい。
「成田屋」は確かに、がっつりいきたい心境時に選ぶラーメン
としては脂的に物足りないのかもしれないけど、やさしい口当たり
のこの醤油ラーメンをいただき、スープを飲み干した瞬間…
なんだかホッと、何か小さいながらも充分満たされ、
日常のおぼろげな緊張から解放された時にくる安堵感
のようなものが湧いてくる。
