○ 皆さんは「プレゼンテーションを投映するときに使う機器は何ですか?」と問われたら、何と答えるだろうか。
恐らく、大型テレビと答える人がいちばん多いだろう。大型テレビは多くの人が使い慣れた機器であり、価格も以前よりは下がっているからだ。
そして2番目に多い答えは、恐らくプロジェクターではないだろうか。このプロジェクターも、ほぼすべての機種がHDMI入力に対応しており、PCをつないでプレゼンテーションの映像を出力できる。性能とスペックも充実してきており、現実的な価格で購入できて明るく映せるモデルが増えているし、使い方によっては大型テレビより向いている。
そして僕は、プレゼンテーションの投映という用途であれば、大型テレビよりプロジェクターをお薦めしたい。今回はその理由と、製品を選ぶ際の注意点を紹介していく。
画面が大きいテレビは持ち運べない。
今回例として取り上げるプロジェクターは、XGIMIというメーカーの「XGIMI Halo+」である。価格は税込み9万7790円(Amazon.co.jpの場合)だ。
この機種はモバイルプロジェクターと位置付けられていて、推奨の投映サイズは60~120インチ、それでいて重量は約1.6キロとなっている。テレビとの最大の違いはここだ。40インチを超えるテレビを持ち運んで使うのは無理がある。1.6キロ程度のプロジェクターなら、部屋を変えて使うくらいはたやすいし、会社と自宅の間を持ち歩くことも可能だ。
大事なのはサイズだけではない、明るさにも注意しよう。
モバイルプロジェクターは多数の製品が出ているが、その中にはコンパクトではあるが映りがかなり暗いというものもある。だが当然、明るさに関しても許容範囲はある。1キロを切るようなモデルでも、100~200ルーメンだと、暗い部屋以外では実用に耐えない。スペックをチェックする際は、サイズだけではなく明るさにも十分注意したい。
XGIMI Halo+はISOルーメンという、日本ではあまり使わない単位でスペックを表している。それによると700ISOルーメンとなっているが、明るい部屋でも50~60インチくらいで投映できる。
また屋内では持ち運ぶが、外へ持ち出すことはないということであれば、モバイルタイプではないプロジェクターも視野に入ってくる。今は、一段と明るいレーザープロジェクターでも10万円台前半から買えるようになっている。
Android TVを搭載しているかも、チェックしておくことをお勧めする。最近のプロジェクターはAndroid TVを搭載している製品が多く、搭載している場合はPCを使わずにイベントで動画を映したり、YouTubeや映画を視聴したりできるので便利だ。
専用スクリーンを併用したほうがよい。
明るいプロジェクターなら、壁の色がクリーム色やグレーでも映像はそれなりに表示できる。とはいえ、可能なら専用のスクリーンを利用することをお勧めしたい。
スクリーンは自立できる折りたたみ式が便利だ。参考までに、僕が使っているのはexcelimageというメーカーの製品で、50インチサイズを7千円台半ばで購入した。
スクリーンに関しては、安価な布のタイプでも付けっぱなしで使うのであれば問題ない。ただ、使うとき以外はたたんで収納するのなら注意が必要だ。折り目ができてしまい、映像がゆがんで見づらくなるので、しっかりと管理する必要がある。
最近のプロジェクターは、数年前の部屋を暗くしないとまともに見えない製品からすると、隔世の感がある。テレビに比べると若干見やすさで劣っているが、好きな場所に持ち運んで利用できるメリットは大きい。
考えてみれば、仕事用のテレビはスライドの投映などに使うことが多く、テレビ番組を見ることはまずないだろう。そう考えるとテレビチューナーを搭載していないプロジェクターでもこと足りるわけだ。プレゼンテーションを映し出す機会が多い人は、いちど導入を検討してみるといいだろう。