ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

冬の光

2007年12月17日 | 誰も逆らえない巨匠篇
“神の沈黙3部作”の中では、最もわかりやすい作品だ。

妻の死後、神の存在を疑うようになったトマス(グンナール・ビヨルンスランド)は、教会の礼拝堂においても満足な説教ができなくなってしまった。神経衰弱の男ヨーナス(マックス・フォン・シドー)から悩みを相談されても、勇気づけるどころか
ますます落ち込ませる話しかできない。

これまで、絶望のはてにかすかな希望の光を見せてきたベルイマンではあるが、生におけるポジティブな姿勢を本作品の中で感じることはできない。「人生に何の意味があるのか」絶望の淵に沈むトマスの姿は、家庭のゴタゴタで愛の真実に疑問をもった時期のベルイマンと重なっているのかもしれない。

トマスが神を捨て自分へ愛を注いでくれることを願う愛人マッタ(イングリット・チューリン)は、一体誰に何に祈りを捧げているのだろう。神を信じる者が一人もいない礼拝堂で、いつもと同じミサが儀礼的にとりおこなわれる。

監督 イングマール・ベルイマン(1962年)
〔オススメ度 

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