ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

感染列島

2009年12月08日 | 激辛こきおろし篇
新型インフルがこんなにも流行していなければ、絶対にヒットしなかったと思われる超駄作。同じディザスター系の「日本沈没」は文字通り沈没映画だという事前の情報をキャッチしていたので回避できたものの、半ば感染状態でこの映画を見てしまった人の意見は全くあてにならないことをあらためて認識できた1本である。新型インフルが現実に猛威をふるっている状況でその関連映画を見てしまうと、ダメな作品もそれなりに見えてしまうという錯覚に陥るのではないだろうか。

映画冒頭の意味ありげなシーンが途中でまったくのミス・リードと知れされてまず拍子抜けさせられる。穴という穴から血を吹き出すウィルス感染患者は、誰がどう見てもインフルエンザの死に方には見えないのに、登場する医師の治療法といえば患者にただタミフルを飲ませるだけ。特殊マスクとゴーグルで完全武装した医師の中で、WHOから派遣されてきた壇れいだけは、なぜか隙間だらけのクリア・フェイスガードを装着している。猛毒ウィルスが飛まつ感染するのは明らかなのに、カメラ映りなど気にしている場合ではないのだ。

(救命病棟24時第3シーズンで見たような)病棟にあふれる患者と疲れきった医師という絵がダラダラと続いて、ネタにつまると誰かが感染してぶっ倒れる、その繰り返しなのである。マスクの付けハズシ一つを見ただけでも危なっかしく、もしかしたらロクな医療考証も付けなかったんじゃないかと思われる杜撰な描写も随所に発見できるだろう。全権委任された小林(壇)に敬語で話ていたかと思えば、いきなり恋人口調で小林をなぐさめる松岡(妻夫木聡)のなれなれしさにも終始不自然を感じてしまうのだ。

新型インフル警戒のための啓発映画なのかもしれないが、ウィルス・パニック・ムービーとして見たら、この映画は目もあてらないヒドい作品だ。(何を血迷ったか)ハリウッドが即リメイク権の獲得にのり出してきたらしいが、ローランド・エメリッヒあたりに監督させれば数倍優れた作品を撮れるのではないだろうか。ちなみにウィルスで日本が滅ぶこの映画、ラストがTBSに無断で改ざん(もちろんマイナス方向に)されて、なぜか?あの「日本沈没」が大ヒットしたお隣の韓国で上映されたらしい。

感染列島
監督 瀬々敬介(2008年)
〔オススメ度 

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