週間少年マガジンで連載中の漫画「七つの大罪」をモチーフにした、藤浪智之の「七つの大罪ゲームブック 迷いの森の冒険」をプレイしました。
「七つの大罪」はアニメ版は全話観ましたけど、原作はKindle で無料だった1巻しか読んでいません。鈴木央作品は結構好きなので(特に「ライジングインパクト」とか「金剛番町」あたり)、そのうちちゃんと読もうかとは思っているんですけど、アニメで観たから別にいいかなとも思っちゃったりもするんですよね。巻数が進むほど手を出しににくくなってしまうので、チェックするなら早い方がいいんですけどねー。
きみはブリタニア諸国のひとつ、リオネス王国の辺境に住む若者だ。
あらゆる願いがかなうと言われている<聖杯>を求めて、きみはこの<迷いの森>に足を踏み入れた。
しかしあの大逆賊<七つの大罪>も、<聖杯>を狙っているという。
なんとしても連中よりも先に<聖杯>をてにいれなければならない!
この本は、『七つの大罪』の「ゲームブック」である。
きみ自身が、主人公となって行動を決め、それによって物語が変化する。
きみの行動の選択によっては、失敗して死に至ることもある。
ときには難解な謎を解かなければならないこともある。
しかし、勇気と知恵をもって進めば、かならず道は開けるだろう。
この物語の主人公は――読者である、きみ自身だ。
藤浪智之「七つの大罪ゲームブック 迷いの森の冒険」(講談社コミックデラックス)裏表紙より。
ストーリーは、原作の始まる数年前。名も無き青年が、なんでも願いをかなえてくれるという<聖杯>を求め、<迷いの森>へと踏み込んでいくところからスタートします。
年代設定の都合上エリザベスは名前くらいしか登場しませんが、最初に登場して主人公に同行するホークに加え、メリオダスをはじめとする大罪メンバーもほぼ登場。あまりディープなファンじゃないので、原作との矛盾などがあるのかはよくわかりませんが、殺伐とした設定でありながらほのぼのとした、“らしい”やり取りをみせてくれます。まあ、若干の二次創作感があるのは仕方が無いところかもしれません。
冒険記録紙を眺めてみると、ゲーム的には意味の無い「名前」と、何にでも使えるメモ欄的な「冒険の記録」に加え、「大罪の印(シンボル)」と、「七つの食材」という項目があります。
大罪の印は、七つの大罪とのやり取りを経て得られるもので、その際に数字がついてくるので、特定のパラグラフからパラグラフジャンプできるようになります。基本的には、この大罪の印を集めていくというのが、本書のゲーム的な目的になっています。
七つの食材はサブクエストで、森の中で食材を7種類入手すると、何かがあります。
パラグラフ数は301。最後のパラグラフは袋とじになっていて、大罪の印を7つ入手すれば開くことができます。
ゲームは、森の地図にいける場所が記してあって、任意に移動先を選択していくという、藤浪智之がよく使う形式になっています。その先も、パズルあり、パラグラフジャンプありで、それなりに趣向が凝らされています。って言うか、同じ藤浪智之の「バニラのお菓子配達便!」とかなりプレイ感覚が似ていますね。
パラグラフ数はあまり多くありませんが、システマティックに、コンパクトに、うまくまとめてあると思います。ただ、あまりにもうまくまとまりすぎていて、なんとなく先読みできちゃった部分もあるんですけどね。
難易度はそれほど高くないと思います。死亡パラグラフ(14)もありますけど、簡単にやり直せるので、1発でいけるかどうかはともかく、クリアするのは容易だと思います。
ただ、ゲーム的な要素が目立った前半に比べて、物語要素が強くなってくる中盤から終盤にかけて、ちょっとダレちゃう部分もありましたけどね。
興味深かったのは、表紙はもちろん、本文イラストもみんな鈴木央が描いていたことですね。しかも、ただ普通に描くだけじゃなくて、イラストの中にパズルが仕込まれているようなものもきちんと描いているんですよね。
表紙折り返しで、「子供の頃にゲームブックで遊んでいた」とも書かれていますし、「ライジングインパクト」の単行本で間違い探しとかも描いていましたし、きっとゲームとかパズルとか好きなんでしょうね。
それから、最後のパラグラフ301。詳しくは述べませんが、ゲームのご都合主義的な部分と、(少年漫画的なムチャクチャさを持っている)「七つの大罪」の設定をうまいこと結びつけた、いいまとめ方になっていると思います。
ターゲットはおそらく原作ファンで、あまりゲームブックをプレイしたことのない層だと思いますので、あまり難しすぎないくらいでちょうどいいのだと思います。パズルを用いるなど、選択する以外の面白さも盛り込んで、楽しんでもらえるような工夫もみられました。
鈴木央の描き下ろしイラストもふんだんに収録されていますし、「七つの大罪」のコレクターズアイテムとしては悪くないんじゃないでしょうか。
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