作家の倉橋由美子さんが亡くなりました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050613-00000218-kyodo-ent
初めて倉橋作品に触れたのは、今から十数年前。学校の図書館にあった倉橋由美子全集第1巻の一番最初に掲載されていた「雑人撲滅週間」でした。その作品は倉橋さんが大学在学中に執筆したもので、当時文芸部に在籍して小説を書いていた私は、そういった若い時に書かれた作品に対して妙な嫉妬を覚えたものでした(他にも、新井素子とか菅浩江とか、デビューが早かった人にはそういう感情は持っていました)。「雑人撲滅週間」の印象は、とにかく読みづらいということ。凄そうな雰囲気はあるものの文章があまりこなれておらず、短い作品ながら遅々として読むのが進まなかった覚えがあります。
そんな出会い方をしながら、何故かそれ以降も倉橋作品をいろいろと読んいました。私は小説にしろ絵にしろ何にしろ、凄いものに出会うと自分でも書いたり描いたり、とにかくやってみたくなるのですが、倉橋作品に関しては、惹かれながらも私自身の作品への影響は皆無でした。女性ならではの感性で描かれた物語はとても魅力的に映ったのですが、私の内部世界とはあまりにも違いすぎて、取り込むことなどとてもできなかったのです。
振り返ってみると、私は小説に関してはあまり女流作家の作品は読んでいないんですが、そんな中で倉橋由美子さんの作品は別格とも言える位置付けにあるのです。それは男性作家に対して抱く憧憬や共感といった、自分の理解できる凄さとは又違った感覚です。これは女性に対する恋愛感情に似ており、要するに私は倉橋作品に「惚れていた」訳ですな。
とか言いながら、じつはまだ未読の倉橋作品が何冊かあったりするわけですが。今ちょっと忙しいので、週末にでも読んでみることにしよう。
謹んで、ご冥福をお祈りします。
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