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F1カナダGP観戦記9「クビサのクラッシュ」

2007-07-24 20:07:09 | セナ部
27周目。

ヘアピン前のストレートで、1台のマシンがいきなり激しく壁に激突。そのまま横転しながら100m以上吹っ飛び、タイヤが3つもぎ取られたマシンが私達の目の前に横たわりました。

白地に青い車。

13年前のあの悪夢が、鮮明に脳裏によみがえって重なり、気が遠くなりそうになる中、「ドライバー、出てきて!出てきて!」とそれだけしか考えられない。
(白地に青の車で、ザウバーだということはわかったのですが、この時点でドライバーは誰なのか私はわかりませんでした)

でも、出てこない。凄惨な現場と対称的に、鎮まり返る場内。
やっと救急隊が駆けつけたものの、なかなかドライバーを出すことができない。
何してんの!早く出して!!(涙)
そしてやっと、本当にやっと、担架に乗せられ運び出されたのですが、無事かどうか確認できませんでした。

どうしよう。
どうしよう。

私やっぱり、もうF1を観ることができないかもしれへん・・・

最悪の事態が脳裏をよぎり、座り込んで呆然としていると、セーフティーカーがはずれ、レースが再開されました。
そしてこんなただならぬ空気の中、佐藤琢磨が私達の目の前を、確かに、確かに走っていきました。

「琢磨はあそこにいるんだ。
まさに私の目の前の、紛れもない本物のF1の世界に、琢磨は確かにいるんだ・・!」

そう思うと、なんとも言えない感情が押し寄せてきて・・・うう、涙が出そう。

そしてこんな信じられないような事故のあとも、琢磨選手はひるむことなく、果敢にレースを続けていたのです。

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