大乗菩薩毘奈耶蔵有三聚浄戒
第一摂律儀戒出家在家七衆所受別解脱戒
第二摂善法戒為大菩提由身語意積集諸善
第三摂衆生戒布施愛語利行同事摂化衆生
若諸菩薩自讃毀他是名第一他勝処法
若諸菩薩慳財不施是名第二他勝処法
若諸菩薩長養忿恨是名第三他勝処法
若諸菩薩謗正法蔵是名第四他勝処法
是名菩薩四種重禁此余軽罪広故今略具如戒経
授与○○菩薩
伝戒苾芻大阿闍梨耶 ○○
以上である。内容は、三聚浄戒と「四種他勝処法」について集めたものである。なお、「四種他勝処法」については、【『瑜伽師地論』に見える四種他勝処法について】の記事で採り上げた通りであり、後の『梵網経』に於ける「十重禁戒」の後半4つ、「不自讃毀他戒」「不慳法財戒」「不瞋恚戒」「不謗三宝戒」に該当する。
また、「他勝処法」とは、「菩薩戒を他のために説く際に、自ら勝れているとされること」だというから、この4項目が菩薩戒の特質であるといえる。なお、上記の文脈だと、一見して分かりにくいが、「これら4つのことをしない」という意味で理解されなくてはならない。
それから、順番は前後するが、「三聚浄戒」について見ておきたい。
まず、「第一摂律儀戒」だが、意味するのは、出家・在家という七衆がそれぞれ受ける「別解脱戒」を総称している。よって、品々は異なるが、受戒という一点で共有されるのである。
「第二摂善法戒」だが、大菩提を得ることは、身口意の三業による善行が重要だとしている。いわば、十善戒などとも共通させた理解だといえよう。
そして、注目すべきは、「第三摂衆生戒」なのだが、具体的には「布施・愛語・利行(または、行利生とも)・同事」としていて、いわゆる「四摂法」を指している。四摂法の実践によって、他の衆生を摂化するのである。
以上の通り、完全に菩薩戒の理念を示す内容だと言って良い。
また、「四種他勝処法」の末尾に付いている、「是名菩薩四種重禁此余軽罪広故今略具如戒経」も気になる。これは、「是を菩薩四種重禁と名づく。此の余の軽戒、広き故に今略す、具には戒経の如し」である。つまり、「軽戒」については、『梵網経』などを見るようにとの指示なのだろう。
以上、ごくごく簡単ではあるが、ちょっと面白い「菩薩戒牒」を見てみた。
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