奈良では、3月1日から14日まで行われる伝統行事、お水取り(修二会)の真っ最中だ。
お水取りが終わると春が訪れる、と言われる。
なぜか毎年お水取りの間は寒い日が続き、その後奈良の町の色合いは変わるように感じている。
ともあれ、奈良に住んでいながら初めて昨日、「お松明」に行った。
東大寺二月堂で行われる「修二会」は、東大寺を開山し初代別当であった良弁僧正の高弟、実忠和尚により奈良時代の天平勝宝4年(752年)に始められた。
以来「不退の行法」として一度も絶えることなく続けられ、今年で1274回目となる。
ご本尊の十一面観音菩薩に、練行衆と呼ばれる11人の選ばれた僧侶たちが全ての人々に成り代わって罪や過ちを懺悔し(十一面懺悔)、
天下泰安、五穀豊穣、万民豊楽を祈る仏教法会である。その中に「お水取り」などさまざまな儀式がある。
毎夜行われる「お松明」は、階段を上る練行衆の足元を照らすため松明に火を灯したことに由来する。
昨日の「お松明」は、本当に素晴らしく感動した。
鐘の音とともに練行衆を先導し童子が持つ松明が階段を上がり、二月堂の舞台ではリズミックな足音を鳴り響き渡らせ、
ダイナミックに振りかざした松明の火の粉を撒き散らした。
このドラマチックで美しく、幻想的な様子に大きな歓声が沸き起こっていた。
観覧していた二月堂周辺には、多くの人々、海外からの観光客も多く、皆見入っていた。
10本のこの日最後の松明の舞い降りた火の粉の明かりが消え、少しの静寂があり、
その後自然に喚声と拍手になった。
皆、素晴らしいひとときをともに感動できた感謝や連帯感の気持ちになった。
伝統行事の素晴らしさを体感出来た喜びを嚙み締めた!