知事は事態解明に責任果たせ
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラや県政私物化が告発された問題で新たな死者がでました。この問題解明のための百条委員会の委員だった竹内英明前県議が死去、自殺とみられます。
昨年の県知事選(11月17日投開票)で、斎藤氏を応援するとして立候補した立花孝志氏などから「斎藤知事を追い落とす黒幕の一人」などの攻撃・脅しを受け続けていました。家族も脅え、斎藤知事再選後に「家族を守りたい」として県議を辞職していました。
知事を告発した元県民局長の死に続くものです。斎藤知事は、竹内氏が死に追いやられた原因を究明し、再発防止に責任を負うべきです。
■公益通報者守らず
そもそも問題の発端は、元県民局長の告発文書を斎藤知事が公益通報として扱わず、公益通報者保護法が禁じる告発者捜しを行い、懲戒処分まで行った違法な対応にあります。
昨年3月20日、報道機関などに送られた匿名の告発文書を入手した知事は、公益通報者を保護すべきか検討しないまま告発者捜しを命じました。25日に片山安孝副知事(その後辞職)らが元県民局長を聴取し、公用パソコンを押収。27日には知事が会見で文書を「うそ八百」と決めつけました。
元県民局長は4月に県の公益通報窓口に通報しましたが、県は公益通報制度に基づく調査結果を待たずに処分を行い、元県民局長は7月に自殺しました。
しかも、元県民局長の公用パソコンの中にあったとされる私的文書が流出。今年1月27日の百条委では、井ノ本知明元総務部長が2人の県議にこの文書を見せ、元県民局長の告発は「信用に値しない」と述べたとの証言が報告されました。
■立花氏がデマ拡散
県知事選で立花氏は、私的文書の中身だとする、元県民局長を中傷する単なる憶測や虚偽を選挙ポスターに書き、政見放送や街頭でふりまきました。これが「斎藤知事は本当は悪くない」という印象を広げ、百条委の委員への攻撃を呼び、斎藤知事再選への貢献になりました。
私的文書流出の経緯の徹底究明が必要です。
立花氏は竹内氏について「県警から…取り調べを受けて」「逮捕される予定だった」などと逮捕を苦に自殺したかのように発信しました。しかし県警本部長が県議会で否定すると、自分の発言は誤りだとあっさり認め、根拠のないデマだったことが明白になりました。
立花氏らは他の百条委員の県議や証言者にも脅しを行っています。人権侵害であり、兵庫県議会や百条委の公正な議論を妨げるもので、許されません。
知事らが公益通報者を保護せず、告発者の私的文書が流出したこと、立花氏らの虚偽・誹謗(ひぼう)中傷、脅しを放置してきたことが、複数の死を招いた要因であるといわざるを得ません。
不幸な事態を繰り返さないため斎藤知事の姿勢が厳しく問われます。知事は立花氏の言動について問われても一般論として「誹謗中傷は控えて」というだけです。虚偽の発信や脅しをやめるよう立花氏に直ちに直接求めるべきです。公職選挙法違反疑惑も含め、知事自身が説明責任を果たすことが不可欠です。
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