1~11月 共産党政策委調査で判明
今年1~11月の11カ月で、約3145万件もの膨大な個人情報が漏えいしていることが、日本共産党政策委員会の調査で分かりました。2012~23年に漏えい・紛失した可能性のある個人情報は累計1億6662万人分にのぼり、「日本の人口を優に超えている」(東京商工リサーチ)など、まさに“個人情報流出大国”となっています。
政策委が企業の発表や報道を基に集計したところ、漏えいの可能性があるものも含め、11カ月で42事業所、3144万9000件にのぼりました。
最大の漏えいはNTT西日本が1月26日に発表した928万件。子会社の元社員が約10年にわたり顧客情報を不正に持ち出し、第三者に売却していました。
大手スーパーイズミ(本社・広島市)は5月9日の公式ネットサイトで、カード会員の氏名や住所、電話番号などを管理する情報システムがウイルスの攻撃を受け、「漏えいは確認されていない」とするものの、約778万件が閲覧された可能性があるとしています。
東京ガスのネットワークへの不正アクセスでも、氏名、住所、連絡先など416万件が流出。取引先の口座情報やマイナンバー情報も含まれるとしています。(同社公式サイト、7月17日)
日本郵便の千田哲也社長は10月11日、ゆうちょ銀行の155万人分の顧客情報を、本人同意を得ないまま保険の勧誘などに不正流用していた問題で、「心よりおわびする」と謝罪しました。
流出 氷山の一角 ルール強化 急務
11月15日には金融庁が、損害保険大手4社(損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損保)が保険代理店への出向社員を通じるなどで、顧客との契約内容を含む約250万人分の情報を不正漏えいしていた問題を巡り、実態を詳しく調べるよう追加の報告徴求命令を4社に出したと報じられました。同庁は7月にも徴求命令を出していました。
集計には表面化していない情報漏えいは含まれておらず、今回の判明分は氷山の一角です。一度流出した個人情報はどう使われるかわかりません。
個人情報保護委員会の報告書は、犯罪者グループに個人の資産情報などを載せた名簿を売る「悪質な名簿屋(データブローカー)」の存在を指摘しています。
頻繁に投資用マンション購入の勧誘電話がかかってくるという50代の男性は「個人情報はダダ漏れです。なぜ知らない人から電話がくるのか分からないし、気味が悪い」と話します。
現在、個情委では「悪質な名簿屋」などに対する課徴金の導入や、1000件以上の個人情報漏えいへの罰則を強化することなどを検討していますが、経団連や新経済連盟などの財界は「企業の個人データの活用を萎縮させる」と反対しています。
安心できるデジタル社会のためのルールの強化が必要です。
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