「日曜討論」で井上氏 4兆円削減案を批判
16日のNHK「日曜討論」に参加した日本共産党の井上哲士参議院幹事長は、高額療養費制度の見直しや年金制度改革関連法案について各党と討論しました。
患者負担の上限額を引き上げる高額療養費制度の見直しを巡り、政府が引き上げを見送る判断をしたことについて井上氏は、「高額療養費制度は重い病気や予期せぬ事故などに命綱の役割を果たしてきた。負担上限額の引き上げは、高齢者、現役世代の両者に命の危機をつくり出す」と批判。23年末に閣議決定した「全世代型社会保障構築をめざす改革の道筋(改革工程)」には、28年度までに実施する取り組みとして明記されていると指摘。「この“工程”をなくすことが必要だ」と訴え、物価高騰の中で「引き下げに踏み込むべきだ」と強調しました。
井上氏は、医療全体をどう支えていくかを議論するべきだとし、現在6割の病院が赤字で、相次ぐボーナスカット、深刻な人手不足から地域医療崩壊の危機だと指摘。自公両党と日本維新の会が衆院で合意した4兆円の医療費削減は、政府が高額療養費の限度額引き上げによって抑制するとした医療費約5千億円の8倍にあたることから「大変深刻な影響と医療崩壊の道につながっていく」と強調しました。
維新の浅田均参議院会長は、医療費4兆円削減は「高額療養費制度を守るためにも必要だ」と強弁しました。
今国会への提出見送りが与党内で検討されている年金制度改革関連法案について、井上氏は「重要広範議案に指定しながら提出できないのは、法案に大きな問題があることの証しだ」と指摘。「マクロ経済スライドなど、物価上昇すらカバーできず、目減りする仕組みを正し、安心して暮らせる年金が必要だ」とし、政党間協議ではなく国会の場での質疑を強調しました。
井上氏は、来年度予算案の最大の問題は、異常な軍事費の突出と、年間11兆円超の大企業への優遇税制という二つのゆがみだと指摘。「このゆがみを正せば、消費税を減税し、廃止を目指すことができる。本物の改革を大きく訴えて参議院選挙に臨んでいきたい」と表明しました。