写真屋はどこへ

デジタル時代の写真屋の居場所について考える・・・

GFX100sのカメラブレ対策

2022年07月20日 | 撮影機材

 GFX100sを入手してから1年以上が経過しました。以前から絵画の撮影でフィルム時代の4x5~8x10に相当する解像度のデータを要望されていましたが、以前は5千万画素を超える機材はPhaseOneやHasselbladなどしかなく、どれも本体のみで500〜700万円ほどのタグがついていてとてもコストに見合うものではありませんでした。GFX100sの登場でようやく「見合う」価格帯に入ってきました。
 今の所GFX100sを業務で使用したのは絵画の複写のみで出番は少ないです。一般的に印刷原稿で5000万画素以上の画素数を要求されることはほとんどなく、私の現在の主力機Nikon D850の4575万画素でも大きすぎるという苦情がたまにあり、仕方がないので1/3か1/4に縮小して納品することもあります。取り回しの良さやアオリレンズが使用可能なことから普段のほとんどの撮影はD850でしています。
 昨年のことになりますが、フィルム時代の8x10に匹敵すべく、4億画素のデータを生成するGFX100sのピクセルシフトでの撮影を行いました。16枚の画像を連続で撮影し、それを基にPCで専用ソフトを使って画像を生成するものです。専用ソフトではピクセルシフトでのテザー撮影も可能で、撮影データにエラーをがあればその場で検出してくれます。カメラをしっかりと固定した上でまずはテストも兼ねて10点ほどの作品を撮影しましたが数点に不良が見つかりました。ワンショットの1億画素のデータに異常はありませんので原因は連続撮影中のカメラブレしか考えられません。不良の画像は全てカメラを縦位置にした時のものでした。普段はNikonD850で使用しているスタジオスタンドに取り付けたベルボン製アングルチェンジャーに装着したのですがどうやら<GFX100s+GF45-100mm > の重量に耐えられなかったようです。

チェンジャー専用のシューアダプターにはカメラの回転どめのピンがついているのですが・・・

 

 結論は雲台の見直しに余儀なく、専用のL型カメラブラケットを装着するとともに結合面が広いアルカスイス型雲台に変更することにしました。

 

これで縦位置で撮影してもデータ不良は出なくなりましたがこの状態ではカメラのポートが塞がれてPCとの連携ができません。


ブラケットを伸ばせばコードを繋ぐことはできますがカメラは不安定になりブレは確実に発生します。

これは困りました。ネットを探し回った結果、これを見つけました。

購入したブラケットと同じメーカー(SmallRig)の製品で日本の個人ユーザーの発案、設計による商品のようです。意外に安価でした。これでようやく目的が達成できました。

専用ブラケットは多くのメーカーが販売していますが値段がピンキリで、選択が難しい商品です。特に縦位置で使う場合には吟味が必要です。


GFX100sの4億画素作例 追加

2021年10月14日 | 撮影機材

 先回のサンプルは全体画像が小さ過ぎて感覚的に捉えにくいかもしれません。今のところ屋外へ撮影に出かける機会がなく、このフルデータの画像は2階の窓から適当に撮ったものです。この画像には動くものが含まれていてPixelShiftには向かない被写体です。撮影中に通過していった車両や、風になびく植物などがギザギザしたシルエットになって写っています。使用レンズは <GF50mmF3.5 R LM WR>。実データはこちら(GoogleDrive)からダウンロードできますが容量があるのでご留意ください。(約90MB/展開後約1GB)

 


中華機材の日本語説明書

2020年08月21日 | 撮影機材

 スタジオの移転後、多くの照明機材を中華製品で切り替えました。地方ではプロ機材店というものが消滅してしまったこともありますが、それよりなによりとにかく「安い!」からです。操作が複雑な製品については当然ながらマニュアルがついていますが、言語は中国語と英語のみのものがほとんどで、たまに仏語、独語、西語などが加わっても日本語はまずありません。このことから日本はプロ機材のマーケットとして重要視されていないことが分かります。説明書の英語に難解な表現はないので、読めば大体わかりますが操作がややこしいところなどはやっぱり日本語のほうが素早く理解できます。

 写真機材ではありませんが、先月ドライブレコーダーを購入しました。中華人民共和国製。前後カメラがついて5千円以下! 民生品は販売競争が激しいためか、同梱のマニュアルには日本語も記載されています。しかしそれを読んでみると意味不明の部分が多く、どうもgoogle翻訳などが生成した文章をそのまま載せているようです。結局、英文を読まないと理解できず、日本語のページは客寄せパンダのようでした 。日本語は世界ではマイナーな言語なので周囲には読める人が誰もいなくて、多くの中国製品の日本語マニュアルはこの様な状態ではないでしょうか。救いは日本での販売取扱店からgoogle driveを通して正しい日本語版が配布されていることでした。

 

 コロナ騒動のなか、しばらくブログもお休みしていましたが今年は盆休みがあまりに長く、暇つぶしに以前購入したSentry ST522  という「色彩照度計」の日本語マニュアルを作りました。この製品は中国製ではなく台湾製ですが説明書は英文のみでした。
Google Drive

 

 まだ時間に余裕がありましたので、Godox V1と連携して使うワイヤレスコマンダーX1t(ニコン用)の日本語化にも手を付けました。時間的に全ページの日本語化はできませんでしたが操作上主要な個所はほとんど処理しました。また暇があれば全頁を完成させたいと思っています。

※追記:後日、ほぼ全ページを和訳しました。「CustomFunction」や「Operation Method」などの箇所では何が目的か理解できない部分もありましたが、実際に操作してみれば分かるのかしれません。

GoogleDrive

 

 昨年、GodoxのクリップオンフラッシュV1(ニコン用)のマニュアル全ページを日本語化しましたが、 良くできた X1tのマニュアルと比べると、V1のは編集が粗削りで、英文の説明通りに操作できない個所も見受けられました。キャノンやソニーなど数機種用のマニュアルを一度に急いで編集したような印象で、校正に手間どりました。この冊子はレイアウトが縦長だったのでスマホで読みやすい形態のPDFにしています。
GoogleDrive

 


Godox V1 N の英文マニュアル

2019年07月27日 | 撮影機材

 V1が到着した翌々日、Amazon に同型機がAmazonアウトレットとして10,000円ほど値引きされて出ているのを発見。Primeで翌日に入手。箱は少々凹んでおり、大きくAmazon Outlet のシールが貼られていたが本体には何の問題もなく、早々に2基体制が実現。
 V1は機能は多く操作もやや複雑だが手順さえわかれば使い勝手は悪くない。本体の作りも価格以上に感じる。連続発光の耐久性を問題視する方も多いが通常の使用では十分な品質だと思う。

先日、スタジオ外で多灯シンクロでV1を使用する機会がありましたので感想などを少し記しておきます。

V1を購入してまもなく、乗用車の内装撮影の依頼がありました。当初スタジオ撮影の予定だったのが、結局ディーラーのショールームで展示車を撮影することになり、それも営業時間内での撮影のため短時間で済ます必要がありました。大型ストロボの使用は難しく、購入した2基のV1と、既存の2基のクリップオン(Metz製)+無線アダプターで撮影を進行することにしました。複数台によるクリップオンでの撮影では、ワイヤレスシンクロやライティング調整に不安が多いのですが、V1とX1Tの使用では、2車種の複数カットの撮影をスムースに終えることができました。ライティング調整にはV1と一緒に購入したアクセサリーキットのバーンドアがとても役立ちました。車両はともに黒い内装だったので光量不足の懸念がありましたが、感度をASA800まで上げればクリップオンのバウンスライトを主光源として使用しても必要な画質を確保できることがわかりました。これは主にカメラの高感度性能のおかげではありますが、何よりクリップオンのコンパクトなボディが狭い車内での照明手段としてはとても役立ちました。

 CPも含め、とても良い製品だと思いますが、残念なのはマニュアルです。私のはニコン用で、日本語版がないことはさて置いても内容が実にわかりにくいのです。 発売を急いだからなのか、編集途中で出稿してしまったような印象。説明不足で操作がわからない箇所が多く、解読に苦労しました。(特に49Pの部分は説明が間違っていると思います)
操作上大切な機能なのに、記載されていないものもあリます。
●TCM(TTLとMのダイレクト切替)
●発光量調整での設定ダイヤルの上下押し(Mモードでの発光量設定で、回すと1/10、上下に押すと1/1絞り分増減。TTLでの補正ではどちらでも1/3)

 このマニュアルでは折角の機能もスムースに使えないので、私は自身で使うための日本語マニュアルを作りました。google翻訳を下敷きにし、図版も含めて全ページを作成。最終的にはロケ先でも読めるようにリサイズしてスマートフォンに収めました。元々レイアウトが縦長なのでスマホ向きになりました。

正規代理店であるケンコー(KPI)から販売されるようになれば正しい日本語マニュアルが付いてくると思いますが、Profoto訴訟の問題がありケンコーから正規販売されるかどうかは今のところ微妙な状態です。

2020.08.21 マニュアルについて<追記


Godox V1 クリップオンフラッシュ?

2019年07月02日 | 撮影機材

 クリップオンストロボとはカメラの上に直接取り付けて使うフラッシュライトで、スナップ写真の撮影にはとても役に立ちます。これをスタジオで使う大型ストロボのように使うことができたらいいなとみんな思ったことでしょう。小さくて軽い、電池だからコードがいらない、カメラの機種に対応していれば自動で露出を調整してくれるなど、長所がたくさんあります。ライティングの状態がよくわかない、光量が小さい、電池がすぐなくなる、などの欠点はありますが、現在はデジタルカメラの高感度性能の向上、リチュウム電池の採用などで欠点は克服されつつありますし、スタジオライトのように使用するためのアッタッチメントも数多く販売されています。
 私はクリップオンをロケ先の補助光としてのみ使ってきました。ストロボをカメラから離して使う時はカメラからの赤外パルスでシンクロさせるのですが、離したストロボがカメラから見える位置にないとうまく発光せず撮影の途中で使用を断念することも度々でした。最近では受信に死角の少ない電波による制御方法が主流になってきていて、過渡期の製品として赤外パルス式のストロボに受信機を付けて電波方式にするアッタチメントも販売されていまます。私は半年ほど前にこれを購入しましたが、使ってみると、使う前にストロボを2階建てにする手間が要る、重心が高くなり安定が悪い、TTLの動作が不安定など、とても使いやすいとは言えませんでした。

 ニコンの純正品、電波制御のSB-5000の購入も検討しましたが1機、約7万円・・・2機とコマンダーで約15万円・・・。たまにしか使わない私には手が出ません。で、先に購入したGodoxの電波トリガー X1T-Nで使える機種を検討したところ、最近発売されたばかりの GodoxV1 が目にとまりました。Profoto A1のコピーだと訴えられているようでしたが製品自体の評価は悪くなく、Amazonでは数社から出品されていました。価格は29,900円でどの店舗も皆同じ。私は以前FalconEyesのLEDスポットを購入した店舗に発注しました。中国からの発送ですが10日ほどで届きました。

(V1のレポートはまた次に・・)

 

  

 


COMMERCIAL PHOTO 2019/7へのオマージュ

2019年06月14日 | 撮影機材

 「COMMERCIAL PHOTO」 は玄光社が出版している商業写真家向けの月刊誌です。私は愛読してもう50年近くになります。バブル崩壊、リーマンショック、写真のデジタル化などの荒波を超えて出版を継続してきた本誌にはリスペクトの念を禁じ得ません。一時は動画関連の記事ばかりで商品系の私などは読む記事がほとんどない時代もありましたが、最近はこの雑誌の標題に沿った記事も以前より見受けられる様になってきました。
  7月号の記事に「Still Life Imaging/素晴らしき物撮影の世界」という記事が6頁にわたって掲載されています。”ものどり”は商業写真のいわば根幹なのですがまことに地味な世界で見栄えがせず、一般的には”誰が撮っても大差ない”といった認識のため、記事として取り上げられることはあまりありませんから、この企画は本誌ならではのものでしょう。
 今回は私が長年悩んできたスポットライトに関する記事だったので興味を持って読ませていただきました。数本のガラスボトルを並べてその影を平行に描写するという企画で、影の表現には光源は何が良いかを考察しています。記事の作品に使用されたのはKPIが扱う DEDOLIGHTという製品で、私は初めてその名を知りました。価格は私の所有するFalconEyesの2〜3倍の様です。

 COMMERCIAL PHOTO誌及びこの記事へのオマージュとして、記されたデータになるべく近い条件での撮影を試みました。記事の被写体は香水などの色彩が美しい瓶でしたが私のはあり合わせの普通のコップです。商品の背がやや高いのでライトの高さは記事より高く2.9m 、被写体とライトの距離は影をできるだけ平行に描写するために記事では7mになっていましたが、私のスタジオの大きさからは5mが限界でした。この記事ではライトの光軸を絞って使用していますが通常のレンズスポットは光軸は絞らないほうが影はシャープに出ます。これはDEDOLIGHTが非球面レンズを使用している効用なのかもしれません。私のLEDスポットでは照射角は最大にしています。
 背景は白のマットアクリル板。RAW現像時のレベル補正のみでレタッチはしてありません。距離不足で影がやや広がり気味ですが、FALCON EYS の影の表現力は、まずまずの結果の様です。

          使用機材:FalconEyes1600TDX / Nikon D800E /PC-E Nikkor 85mm f2.8 

 

 


タブレットPC 再構成

2019年04月15日 | 撮影機材

 スタジオ外でのティザー撮影にタブレットを使い始めたのは2013年の春のことでした。それまではMacBookProを使用していましたが住宅施工の撮影などでは場所移動の際に大変面倒でしたので、当時ようやく価格の下がり始めたタブレットを購入しました。約10インチのDELL製品で50,000円ほどだったと思います。ロケには大変重宝し数年に渡って使用しましたが、Windows10へ転換の時からサポートがなくなり撮影用アプリのアップデートもできなくなってしまいました。その頃は「中華タブレット」と呼ばれる安価な小型タブレットが数多く出回っていましたのでこれに切り替えましたが、これも2年ほどのちにWindows Updateをしたとき不具合が発生しました。これ以降、WindowsUpdateは肥大化して行きメモリ容量の小さい機種では更新ができなくり安価なWindowsタブレットは市場から姿を消して行きました。価格から言えば、まあ2年も使えれば良いのかもしれません。ここまでの数年はタブレットPCの黎明期だったのでしょうね。

 昨年秋に楽天市場に半額で出ていたASUSのTransBookのリファビッシュ品を見つけて、3代目のタブレットとして使用を始めました。メモリ容量もまずまずで昨年吹き荒れたWindowsUpdateの嵐も難なく乗り越えることができましたから少なくとも3年以上は維持できるのではないかと思っています。処理速度は決して速いとは言えないものの、その分消費電力は少なく、独立したUSBポートもあり、スマートフォン用のモバイルバッテリーで充電しながら使用できる等、ロケ先でのティザー用途として使い勝手はとても良いといえましょう。着脱式のキーボードも付いているのでノートPCとしても使用できます。

 私は現在業務上ではニコンユーザーですので、ニコンの「Camera Control Pro2」と「ViewNX-i」を使用しています。このアプリケーションはMacOS か Windows でしか使えません。Windowsタブレットを使う理由はここにありますが、実は「Camera Control Pro2」も「ViewNX-i」もタブレットには正式に対応していません。どちらもタブレット上で動作は可能ですがViewNX-iでは不具合も生じます。

 上がViewNX-iの画面ですが左側のフィルムストリップのスクロールがタブレットのタッチ操作ではできません。右上のアイコンで拡大はできますが画面をドラッグで移動し部分を確認することはできません。これらの操作にはマウスを使わなければなりませんが、三脚に取り付けたタブレットではとても無理で、そのうちにアップデートされるのではと待ちましたが6年が過ぎても非対応のままになっています。


 

もうニコンからタブレットへの対応は無いでしょうから何か策を講じようと思い、小型のタッチパッドを見つけました。(1,999円)それとバイクにスマートフォンを取り付けるためのクランプもありました。(1,299円)このクランプはDELLの時からタブレットを三脚に取り付けるのに使用しているものと同型のものです。

 

ASUSに代えた時にタブレットの支持金具だけを取り替えています。この金具の裏面にはスマートフォン用のクランプがあり、ここにモバイルバッテリーを取り付ければ長時間の連続稼働が可能になります。

 タッチパッドはUSB有線接続で操作もそんなに使いやすいとは言えませんが、三脚に取り付けができるような小型のものは他にはなく、また何より安価で、これで一応の目的を果たすことができるようになりました。 

 

 


LED フレネルスポット 第二ステージ

2019年02月08日 | 撮影機材

 まあまあ良いんではないかといった結果だったASHANKSのフレネルスポットに続き、その機種選択時に候補に上がっていたFalconEyesのスポットも入手しました。試用の結果としてはASHANKSより機器としての実力は確実に上で、また価格差は13,000円ほどなので最初からこれにすれば良かったのですが、実績のわからない機材の選択は価格とのバランスを考慮すると大変難しいことを実感します。
 地方都市ではプロ機材店というのは随分前から姿を消し、今では現物を見てから機材を選択するといったことは難しくて、結局は「買ってみるしかない」ということになるのですが、この辺りの周辺機材は 100% 中国製で、銀一などの取扱品に比べると価格は大体1/2から1/4なので選択結果がよくなかったとしてもその機器はそれなりの役に立ちそれほど大きな損失にはなりません。ただ、これらの機器はAmazonでしか取り扱いがなく、供給も価格も不安定だし、アフターサポートも期待できないことを割り切らねばなりません。

 しかし中国製品の品質の向上と進化の早さには感服させられるばかり。この製品でも集光レンズが従来の 「フレネルレンズ」 ではなくプラスチック製の 「ハニカムレンズ」 というものに変更されていました。

 昆虫の複眼のような構造で、このレンズの恩恵なのかどうかは定かではありませんが、フォーカスを絞っても中心部の色温度が変化することもなく、光軸周辺の色調に違和感も感じません。フレネルレンズを使用した旧モデルもAmazon内の他の販売店では同じ型番で出品されているので、ハニカムレンズに変更されたのは比較的最近と思われますが、中国から手元に届いた商品は購入した商品のページに掲載されていた写真より更に変更・改良が行われていました。

  DMX512という舞台向けのコントロールシステムがついているのですが専用の物理的DIPスイッチがパネルから消え液晶パネル内で操作する方式に変更されていました。まあ、私は使わない機能なので関係はないですが。またランプのイラストに2.0と書かれたシールが貼られていてランプがバージョンアップされているという事のようです。

 色味についてはNikon D850の5500Kを基準とすればややマゼンタ寄りに思えます。ASHANKSも同じ傾向でしたが程度はより軽微で、補正フィルターはLEEの最薄色 #278(Eighth Plus Green)で改善されます。ただこれも「sh50Pro-S」と併用した場合の値なので、単独使用の場合や、5000Kの設定ではこのままでも良い範囲でしょう。私はデイライトでしか使わないのでそれ以外ではテストをしていません。この機種では光量の調整に加えて3000K~8000Kの間の色温度もダイヤルノブで無段階に調整することができますが色味の調整は本体ではできないのでこれはフィルターで補正することになります。ちなみに、ビデオ業界の定番ブランド、ARRIのLEDライトにはグリーン/マゼンタを調整するダイヤルも付いているらしいですがこの製品の価格はわかりませんでした。でもそれを調べる気は私にはありません。

  私は光り物の撮影が多くてフィルム時代のスタジオではづっとタングステンの照明機器を使用していましたが、デジタル撮影への転換後はコストの問題もあり、蛍光灯照明へ移行しました。(だって、RDS電球の寿命は極めて短く、チリチリという音とともに球が切れるとその度に10,000円前後の金額が飛んで行くのです)しかし、蛍光灯照明にはフレネルスポットライトに該当するものはなくて、擬似的な器具を自製するなどして凌いできたのですが、撮影用照明機器もLEDによる新時代になり、フレネルスポットも登場してようやくタングステン時代の照明環境の再現ができるようになりました。
    

   ※購入したAmazon内のAndoer.jpでは現在品切れのままになっています。


ASHANKS LEDスポットの色調整

2018年12月17日 | 撮影機材

 今年春に購入したASHANKS LEDフレネルスポットの色温度はスペック上で5,500Kということになっている。メーターで計測すると数値はほぼ合っているのだが、どうもマゼンタが過剰気味のようだ。単独で使用するのならこのままでもよいがSh50Pro-Sなど他のLEDランプと合わせて使用するのには問題があるので、補正フィルターとしてLEEの#246を選び装着した。これ1枚で補正はおおむね良好なのだが中心部と周辺部の色調には結構な差異があり、ライティングの状況によっては問題が生じそうだ。色差の原因を探ったが、LED発光部の構造的な問題か、あるいは段々構造のフレネルレンズによるものか、どうも良くわからない。フォーカスを絞ると中心部の色温度が高くなるのも同じ原因かもしれない。

 この色調の違和感を軽減する手軽な方法はやはり油性マッキーだった。フレネルレンンズの円に沿って最外周の1〜2周をブルーで、中心部の1〜2周に補色のイエローかアンバーで線を描くことでかなり和らぐ。相手がガラス製なので何度でもやり直しができる。

 健全な補正方法とは言えないが、しばらくはこんなところで騙し騙し使うことにする。撮影用LEDランプはまだ発展段階なので新製品では色々な不具合も順次改善されてくるだろう。

 この補正したスポットを使ってテスト撮影をしてみた。光るべき部分と光ってはいけない部分が混在するこのような被写体にはフォーカス調整のできるスポットライトは大変有用だ。2灯ライティングだが補助光は標準スクープレフにハニカムグリッドを装着しスポットにしている。ハニカムグリッドでのスポットはグラデーションが滑らかで良いのだが光量がかなり低下するので、メインスポットの光量を落としてバランスをとった。ダイヤルだけで目視での光量調整ができるのもLEDスポットの便利な点だ。


続 カラーメーター/ランプの個体調整 

2018年11月03日 | 撮影機材

 先月入手した 色彩照度計Sentry ST522を色温度計として使い始めた。主な用途はランプを灯具に取り付けた時のばらつきの補正。電源を入れると常に測光中なので数値の下2桁が常に変化するけれどボタンを押せば固定する。色温度とは別に色調として色座標の数値が表示される。セコニックのスペクトロマスターでは色度図も本体に表示されるようなので解りやすいと思うが、もちろんこのメーターにそんな機能はない。この数値から図を見て判断することになる。その基準についてはこちらのサイトが詳しい。

 色度図には座標軸の違うxy色度図とu'v'色度図があるがSentry ST522はどちらの数値でも表示できる。

  xy色度図  

u'v'色度図

 Sentry ST522は撮影用として作られた機器ではないので本体と受光部が分かれていて測定時に両手が必要なのはやや不便だが撮影用機材としても十分に使えると思う。

付属マニュアルについての追記>2020.08.21

 タングステンランプは電圧を変化させることで色温度を微調整していたけれど、LEDや蛍光灯では当然それは不可。各ランプの温度差を調整するには照明用フィルターを使うことになる。海外ブランドのROSCO かLEE が現在では主流のようだ。LEEの製品を以前蛍光灯を買ったことのある「アカリセンター」で購入した。色選択に見本帳は必須だが LEEのは輸入代理店に依頼する必要がある。(要送料) ROSCOは「銀一」で扱っていてサンプルは無料で送ってくれる。色数はLEEの方が圧倒的に多い。

                     
 照明器具用のフィルターにはカメラ用のような淡色のものがほとんどない。使用中のLEDソーラースポットにはCC10G以上の補正が必要だったのでちょうど良いのがあったが、灯具の差による補正の用途にはどれも濃すぎる。カメラ用フィルターのCC0.125〜CC05くらいが欲しい。結局は以前からストロボ光のちょっとした補正に使っていた油性マーカーを使った。

最近の「マッキー」は原色だけでなく中間色も発売されていて便利になったがこの用途に限って言えばもっと淡い色、水彩調のものが欲しいところではある。今のところ、点描で着色するかアルコールなどの溶剤で薄めるかしているが、目指す色を作るのはなかなかに難しい。

※ ROSCOフィルター見本帳について(2019/1/20 追記)
 ロスコのフィルターは上記の「SuperGel」以外に「CineGel」もあるのを後で知った。これを加えると色数はLEEより多くなる。商品は銀一でも扱っているのだったがサイトにはスーパージェルの見本帳についての記載しかなく注文できなかった。

(銀一のサイトの画像)

ネット上で探したところ「日本コーバン」という輸入商社が扱っていて、見本帳はお願いするとすぐに送っていただけた。(無料)直営のオンラインショップもあるのだが残念ながらここでロスコの製品は売っていないので銀一で。

 

  


カラーメーターのこと・Sentry ST522

2018年10月16日 | 撮影機材

 撮影器材としてのカラーメーターとは色温度計のことである。スタジオ撮影での主たる光源をタングステンから蛍光灯に変えてからもう既に10年。その頃からカラーメーターはとんと使わなくなった。というより、使えなくなった。太陽光、フラッシュライト、タングステン光は計測できても蛍光灯は正しい値が出ない。スタジオでカラーメーターが必需品だったのはタングステンランプの電圧を変えて色温度を調整するためであったので、電圧で調整できない蛍光灯には常に必要なものではなくなった。現在の撮影用LEDランプも同様で、従来のカラーメーターでは測定することはできない。 
 スタジオ撮影の主たる光源をLEDに変えて半年が経つ。主力として購入したSh50Pro-Sはとても重宝しているが、色調に若干の個体差もあり、またそれよりも使用する灯具の影響による変化は大きいので、これらを改善するためにカラーメーターは欲しいところだ。
 セコニックからLEDも蛍光灯も測定できるスペクトロマスターというカラーメーターが 数年前から発売されている。補正フィルターの表示もされるなど撮影用としてチューニングされており食指は動くものの、使用頻度を考えると170,000円はちょっと手が出ない値段だ。
 もう少し簡易的なもので良いから手の届く価格ものはないか探してみたところ台湾製の「Sentry ST522」というのが見つかった。カラーメーターという名称ではなくて「色彩照度計」となっている。光源を<LED><蛍光灯><白熱灯>から選択でき、照度と色温度、および色座標の表示が可能。Amazon USA では475ドルで売っているが現在日本では取扱店はなく、国内ではST520というモデルしか入手できないようだ。ちなみにST520は光源を選択する機能のない下位モデルらしい。Amazon.comから買うのも面倒だなと思いヤフオクを覗くと1点だけ出品中で、な、なんと終了まで残り10分。すぐに入札する。他に入札者はなく落札。ほとんど新品なのが20,000円ほどで手に入った。

つづく・・・

 <付属マニュアルについての追記>2020.08.21

 

 

 

 

 


バーンドアについて

2018年05月24日 | 撮影機材

 手元に1つだけ残っていた新品未使用のRDS製リフレクタランプ用バーンドア。500Wのフラッドランプ等をスタジオで使うときの必需品だった。高温になるランプに直接はめて使用する構造になっている。ランプ本体は今でも売っているけど流石にこれはもう市場に見当たらない。

 

 先日購入したリフレクターは標準的な7インチサイズなので適合するものがいろいろ販売されている。プロ機材店では必ず売っている商品だが、これが結構高い。本体と値段のバランスを考えるとできれば数千円で済ませたい。あちこち探したが結局これもAmazonからになってしまった。中国製写真用品として今や定番?のNEEWERブランド。4インチのもあったのでこれも購入した。上の画像はAmazonで購入したページからの転載だが左のは4インチ、右のは7インチ用のものだ。4インチのはリフレクターを介さず直接Sh50Pro-Sに取り付けることができる。4インチ用も7インチ用もスポットグリッド1種と4色のカラーゼラチン(メタルフレーム付)が付属品として付いてくる。購入先と価格は以下の通り。

Amazon /New Harbor JP   1,374円 (4インチ)
Amazon /rakuraku      1,781円 (7インチ)
 
ともにAmazon Prime対象品だったので1〜2日で到着した。

小型のバーンドアだが羽根は金属製のためやや重い、直付けした場合はランプのスクリュー部分に負担がかかり折れる危険性があるので上部にスプリングをつけて補強した。コンパクトなので細部への照明に便利なライトになった。

 

7インチ用のものはすべて金属製でしっかりした作り。とても二千円以下とは思えない。重量もそこそこあるがリフレクターは「フラッシュマウント」で保持されるので取り付けてもランプ本体に負担はかからない。羽根が4枚とも同じ大きさなので光を細長くカットするのは難しく、黒い発泡ボードを追加した。
 
これらの商品はAmazonの他のマーケットプレイスからも数多く出品されているが不思議なのはその価格差である。各店バラバラの値付けで、私が購入したのは最低価格のものだが、高い店では10〜15倍ほどの値札が付いているのもある。いくらオープンプライスとはいえ幅がありすぎじゃないのか。まあ、中華マーケットはそういうものだと言われればそうかもしれないけれど・・・
 
 
 
 
 

Bowens Mount System

2018年05月24日 | 撮影機材

 Sh50Pro-Sに使えるリフレクターをネット上で探し回ったが低予算で且つバーサタイルに使えるのはこれしかなかった。クリップオンストロボ用として広く使われているBowensマウントのシステムだ。開発元の英国ボウエンズ社は数年前に倒産してしまったのだがマウントシステムだけは現在も広く使われている。倒産の原因は安価な中国製品の台頭だということだ。現在売られているBowensマウント製品はほとんど中国製であり、そして驚くほど安い。
 写真の中央が「フラッシュマウント」で本来はクリップオンストロボ用のものだが代わりに左のランプソケット(汎用品)を取り付けるつけることでSh50Pro-S用として使える。Bowensマウントのリフレクターはサイズや形状の違うものが数種類販売されていて標準的な中サイズのものを購入した。写真には写ってないが専用ハニカムグリッドも1枚付いてくる。ランプソケットは中米仕様のE27スクリューのものだが、ランプはしっかりと締まって問題ない。

 「フラッシュマウント」の角度調整のノブが販売時掲載の写真とは違う小型のものに変わっていて、ここは頻繁に使う箇所なのでこのままでは使いにくい。だがこれはノブと六角ボルトをランプソケットのものと入れ替えることで解決できることが解った。またランプソケットを「フラッシュマウント」に取り付けるには「フラッシュマウント」のスタンド取り付け部に入ってるダボがジャストサイズで使える。

 ここまでにかかった費用と購入先は以下のとおり。

ACソケット            990円  Amazon/Baoblaze
7インチ標準リフレクター   1,299円  Amazon/Andoer-JP
フラッシュマウント                2,300円     Amazon/Andoer-JP

 全て送料込みだが中国からの発送なので到着まで2〜3週間かかる。また物によってはAmazon Primeで同価格にて販売されている場合もある。

 最終的にこのようなスタイルになった。パラソルホルダーに100円ドライバーを刺してハンドルにしてある。バーンドアがつけてあるがこれについては次回に。


 

 

 


Sh50Pro-S

2018年04月03日 | 撮影機材

 テスト撮影の結果はすこぶる良好。ここ数年スタジオでの撮影は蛍光灯を使ってきたので、ホワイトバランスはカメラの「晴天」を選べばOKというのがなんだか凄いことのように思えてしまう。光量も十分あり、 これは新時代のアイランプだと思う。 この際、スタジオの主照明を蛍光灯からこのLEDランプに切り替えることに決めて、amazonと銀一から数個を追加購入した。銀一で購入した商品のパッケージには銀一のロゴ入り取説が貼られている。
 

 スタジオでアイランプを使う際はエレンクリップとバーンドアが必須だったがSh50Pro-Sはアイランプより重量がありエレンクリップでは心もとない。ランプホルダー、バーンドア、リフレクターなど、灯具の形態をどうするかは実際の撮影に使いながら検討することにしよう。


LED 電球のこと

2018年04月01日 | 撮影機材

  写真を太陽光に頼らずいつでも撮影したいという目的のためにタングステンランプは長きにわたり主流となってきた。デジタル時代になってからの写真用光源の目まぐるしい変遷はいかにカラーフィルムというものの存在が大きかったのかを物語っている。「スピードライトは便利だ。でも本当は定常光の方が望ましい。」撮影者たちはそう思いながらタングステン光用と太陽光用の2種類しかないカラーフィルムに向き合ってきた。しかしこの長き時代は終わる。デジタルカメラの発達でフィルムがなくなり、近年のデジタルカメラの高画質かつ高感度化からはほとんどの事象が定常光でも撮影できる時代がもうそこに見えている。そのひとつとして期待されるのがLEDランプだ。
 以前から蛍光灯に変わる撮影光源として使える手頃なLEDランプを探していた。良さそうなものを数種類を購入してみたが色温度の表示は同じでも色調はどれも驚くほどにバラバラだった。太陽光に近い発色を求めるにはLEDは蛍光灯より基本的に劣っていて、スタジオ撮影の光源として使うのはその頃まだ(と言ってもたった数ヶ月前)無理だった。だが中国製品の進化はすざましい。最近のLEDランプは「演色性」を表示したものが数多く出てきている。ネット上では撮影用をうたう高演色LEDランプが種々見受けられるようになり、その中でSh50Pro-Sと言う商品名の単体ランプを見つけた。

 1個8千円弱とそんなに安いものではないが、500Wアイランプが5千円位することを思えばリーズナブルなプライス。当然中国製だが開発に携わったのは上海在住の日本人写真家とのこと。見つけたのはamazonだが銀一とヨドバシカメラでも扱っているのでいい加減な製品ではないようだ。とりあえずamazonで一つだけ買ってみた。

Sh50Pro-S at Amazon
                                  つづく・・・