写真屋はどこへ

デジタル時代の写真屋の居場所について考える・・・

35mm型

2008年06月24日 | カメラ

Nicca 3-S/Nikkor 50mm f2.0/Kodak E100G
 
 旧いカメラに最も違和感のあるのはファインダー。巻き上げがノブなのも、距離計が別窓なのも趣味としての使用にはむしろ長所。しかしファインダー窓から見える像はとても小さく、細部の確認は厳しい。写真はニッカで撮った一枚。パララックスの補正もないが、このくらいの距離までならフレーミングはまあまあ正確で、ほぼ見たままの範囲が写るようです。このファインダーは見ずらいけれどカメラをできるだけ小型にするためこのような設計にしたと推測される。以来数十年を経て35mmカメラは、一眼レフが主流となり正確なフレーミングが可能になる。正確さではビューカメラと同じ様にグラウンドグラスに映した像に勝るものはなかったのです。
 最近はほぼ全ての仕事を35mmSLR型のデジタルカメラでできるようになった。バルナック型ライカからはずいぶんでかくなったものの、でも見た目はやはり35mmカメラなので、機材としての見栄えはちょっと貧相。中判型は高価でかつ立派だけど、まだシステムとして中途半端で、特に広角系の撮影ではは35mm型以外に選択肢はないのだけれど、これでお金をもらうのは気が引ける?従ってまだ当分銀塩ビューカメラは生き残る!




ニッカといふカメラ

2008年06月01日 | カメラ


 便利なデジタルカメラばかり使っていると、『写真の撮り方』を忘れてしまいそうな気がして、仕事以外では全手動の、不便なフィルムカメラに面倒くさいリバーサルフィルムを入れて撮ることを努めてしている。何十年と使ってきたリバーサルだが露出を勘で決めるのはいまだ難しく、露出計に頼らなければならないが、カメラについたものではなく単独露出計を使用した方がこの目的にはより不便でよい。それには旧いカメラが向いている。
 先日、きれいなニッカが手に入った。昭和20年代の日本で作られたライカのコピー。当時の日本は、多くの業種で多くの企業がヨーロッパの商品をコピーして作り、それをアメリカに売ることで生計をたてていた。このカメラもその一つで、特許はもう切れていたとはいえ、こんなまるごとコピーにクレームがつかなかったのはドイツも敗戦国だったからだろうか。手に取ってみるととても良い作りで50年以上を経過したいまでも実に美しい。コピー品であるというようなうしろめたさやためらいは製品から少しも感じられない。むしろ、ライカになぞ負けないぞって胸を張っているように思える。当時のキャノンのカメラも実はライカコピーだったのだが、キャノンのは形状を少し変えているところになにか迷いのようなものが見える。まあ、その迷いが現在のキャノンを育てたと言えなくもない。
 ニッカを使ってみる。シャッターを切るまでにひとつひとつ手順を踏まなければならず面倒だが、大型カメラの手順からみればずっと簡単で、ライカが革命的な製品であったことを実感させる。現代のデジタルカメラになれた体にはこれくらいの面倒さがとても心地よい。