DATとDDSのこと

2020-06-13 | よもやま
Digital Audio Tape、Digital Data Storage、やってることは結局PENTAX FILM DUPLICATORと同じ。ネタが音楽になっただけであります。

中学卒業を控えた1992年、アナログコンパクトカセット(カセットテープ)に代わる個人向けの録音機材として、MiniDisc(MD)とデジタルコンパクトカセット(DCC)が発売された。一応レコードからCDへの移行を経験した者としては、MDの特徴であるランダムアクセスは大変魅力的で、高校に入ったら小遣いを貯めて買おうと思うも、これがなかなか高価で手が出ない。クラスで1~2人、MDウォークマンを持っているかどうかぐらいだったかな。

1994年初冬、高校2年生も半ばになり、吹奏楽部に所属していた私は演奏の生録やFM、BSのエアチェック用にいよいよ機材が欲しくなってきた。しかし、相変わらずMDは高いし、DCCは既に先行き不安な状況に・・・。一方、DATはMDやDCCより5年ほど早く発売されたからか、この時点で本体、テープともに両者と比較してやや安かった(当時のSONYカタログを見直すと、定価は本体、メディアともMDよりDATが安い)。

迷いに迷った私は、結局DATを選択することにした。DATはMDほどの手軽さはないものの、非圧縮でのデジタル録音、BS放送(Bモード)のサンプリング周波数48kHzへの対応、標準モードでも連続120分の長時間録音(180分テープもあった)など、私の使い方には合っているのだ、と言い聞かせて。



購入したのはSONYのポータブルDATウォークマン TCD-D7(右)、左の黒い箱はデジタル入出力/リモコン/タイマー機能を持つRM-D3K(RMR-D3:オプション)。がんばって貯めた小遣いは吹き飛んでしまった。

もちろん、DAT本体だけでは当然ながら生録はできないので、お年玉で集音用のマイク、SONYのECM-959Aを購入。TCD-D7+ECM-959Aのコンビは、残りの高校生活はもちろん、卒業後も大いに活躍した。(マイクは今も現役である!!)



ところで、DATで録音するのは良いとして、再生には別の一般的なメディアを使った方が便利なため、当初はカセットテープにコピーしていた。2000年頃にはCD-Rが普及したので、私もPCにデジタル入出力端子を備えたサウンドカード(確かSound Blaster Live! Digital Audio 2)を取り付け、いくつかのデータをCD-Rに焼いた。しかし、この時点で私には「バックアップ」という発想が無かったのだ・・・。というのも、「DATは無くならないだろう」と勝手に思い込んでいて、TCD-D7が壊れたらTCD-D100を買おう、いずれ据え置き型もいいなあ、などとのんきに構えていたのだった。

2005年、ついにTCD-D7のテープローディングが不調となり、いよいよ更新かと商品情報を調べ始めると・・・据え置き型が無い! TCD-D100も生産終了とか言ってる! ・・・世間は変わっていたのであった。このまま70本近くあるテープをお蔵入りにしてしまうのはあまりに悲しいので、救済策を検討することにした。

その中で知ったのがDDS。DATと同じテープ(※規格により異なるものもある)を使用してPC等のデータを記録するものである。120分テープの記録容量が1.3GBなので、30年前なら確かに大容量といえるだろう。そんなDDS、機種限定ではあるものの、WaveDATなるソフト(シェアウェア)を使用すると音楽用テープの再生やデータ転送ができるらしい。そんなわけで、2005年12月の寒い冬の日、オークションでほぼ新品と思われるDDSドライブを入手。


機種はSONY製のSDT-9000で、PCとの接続はSCSIである。ハードウェアの導入に若干の癖はあったが、WaveDATサイトの説明を読みながら無事インストール完了。久々にDATを再生し感動!!

感動が冷めやらぬうちにバックアップに精を出せば良いのだが、なんだかんだで70本完了したのが2017年の暮れ。そして、中身の整理はステイホームの今になってようやく進めているところ。しかも、音飛びなどで再読込したいテープがあるのに今のPCにはSCSIカードを挿すPCIバススロットが無く、中古PCを買おうかな~などと考える始末。

とにかく、反省の無い私。