学校から帰ってきた娘が落書帳に向かっている。
手元をのぞき込むと、『へのへのもへじ』を書いていた。
小1らしい正しい落書である。いつものようにさっと手もとをかくそうとするが、
大きな『へのへのもへじ』だったので まる見えである。
たいていは見て見ぬフリをするが、物が古典的正統な落書だったからなのか
また 輪郭にあたる『じ』が違っていたからなのか
ナゼか 口を出してしまっ . . . 本文を読む
月のきれいな夜だった。
助手席の妻が景色を見て「きれい・・・」と呟いた。
少しふり返る。大小の岩や島に影をつくって月が日本海を照らしている。
どこかで車を止めてゆっくりながめたい気持ちを抑え目的地へいそぐ。
ここで美しければ「そこ」はもっと美しいはずだから・・・間に合えば。
それに子供たちは先発の森本オイチャン一家がいっしょに連れて行ってくれているので 出来るだけ急ぐ事にした。
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☆
テントから少し離れて彼らが止めてある車のそばに「コの字型」に自分の車を着ける。その中のスペースに焚き木がまとめてられている。 「至れり尽せり」。
何本かを地面に並べて敷詰めその上に焚き木を載せ、焚きつけに火を着けると少し強い風のおかげもあってすぐに良い火になった。
ゆらゆらと揺れていた灯りの主たちも、もう引き揚げたようだ。
いつもの 静かな浜にもどった。
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