60年前の今日、サンフランシスコ講和条約が締結され、翌年の4月28日に条約が発効、日本は長きに渡った連合国による占領支配を脱し、主権を回復しました。
現在、国民の祝日に関する法律の改正案が国会に提出されており、来年か再来年には、4月28日が主権回復記念日として祝日になる運びです。
国民の祝日になれば、これはどういう日なんだろうという疑問を持ち、日本の現代史を学ぶ機会にもなり、また単純に休みが増えるのは嬉しく、たいへん結構なことだと思います。
それにしても60年というのは長いですね。
当時と今とでは国際情勢も変化し、生活習慣も変わりました。
国際情勢では冷戦終結と共産圏の崩壊、そしてイスラム過激派によるテロの横行、中国をはじめとするBRICsと呼ばれる新興国の台頭などが挙げられましょう。
生活習慣の変化は、今まさに進行中の情報革命に伴うパソコン、携帯電話、スマートフォンなどの普及に伴い、仕事や余暇活動の仕方が劇的に変ったこと、コミュニケーション手段の多様化などでしょう。
日本人の意識も変わりました。
1960年代の政治の季節には、学生運動などの共産化を目指す運動が流行し、1970年代になると一転して学生は政治運動から背を向け、シラケ世代などと呼ばれました。
今社会の枢要な地位を占めているのはこのシラケ世代ですね。
世のお父さんたちはモーレツ社員として急激な経済成長を支えました。
1980年代後半に入るとバブルの狂乱が始まり、なぜか彼氏彼女がいない若者は不当な差別を受けました。
この世代は新人類などと呼ばれましたが、今や40代半ばを迎えています。
1990年代にはバブルが崩壊し、長い不況が今も続き、負けた教だとか、負け犬だとか自虐的な言い方が流行りました。
2000年代終わりにはゆとり教育を受けた、大卒とは思えない教養のない新人たちが社会に出て、ゆとりちゃんなどと言われて馬鹿にされていますが、それは国家の教育政策のせいであり、彼らはその犠牲者であると言えます。
戦後を貫く価値観は、一貫して国家とか公というものよりも、学校や会社などの小さなコミュニティを大切にする、というメンタリティでしょう。
愛社精神なんて言って。
戦前、忠君愛国という価値観があまりに幅をきかせ、無残な敗戦を迎えたことに対する反動なのでしょうねぇ。
個の確立ではなく、小さなコミュニティの雰囲気を壊さぬようにというのが優先されてしまうところに、和をもって貴しとなすわが民族の特徴が現れていますね。
サンフランシスコ講和条約制定60年の今日を機に、また、主権回復記念日の制定を機に、現実の国際社会をいやでも生きていかなければならないわが国にとって、何がもっとも得なのか、どういう方法をとると損をするのか、考える機会としたいものです。
思想信条ではなく、国家が損得で動く時、最も合理的な判断ができるものと私は考えています。
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