ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

覚悟の引きこもり

2011年09月08日 | 社会・政治

 東日本大震災から約半年、直後には語られなかった様々な事実が、今になってあからさまになってきています。

 その一つに、引きこもり当事者たちはどう避難したのか、ということがあります。

 命には代えられないと、決死の避難をして生き残り、今はボランティアとして働き、結果的に引きこもりから抜け出した者。

 家族の懸命の懇願にも、津波で命を失うことより外に出て他人と会うのが怖い、と家に引きこもったまま、津波に呑まれて命を失った者。
 あわれなのは、引きこもりの息子を最後まで説得し続け、結果、息子もろとも波に呑まれてしまった母親。

 引きこもりの問題は長期化し、もう40代、50代の引きこもりが、年老いた両親の年金で暮らしているという風景も、珍しく無くなりました。
 一口に引きこもりといっても、精神疾患を抱えている者、そうでない者、コンビニくらいまでなら外出できる者、部屋から一歩も出られない者など、多様です。
 引きこもりの家族会は25年も前に発足し、当事者の社会復帰をサポートしてきました。

 しかし、どうしても部屋から出られない、という当事者とその家族は、人目を気にしながらひっそりと生きる他ありません。

 この問題が長期化するであろうことは、問題が顕在化した時から、分かり切っていたことでした。
 学校に行かれない者が就職できるはずもなく、仮に就職できたとしても、会社は学校よりはるかに厳しい所ですから、長続きするはずもありません。

 引きこもりがさらに高齢化し、60代、70代になってくると、両親は亡くなるでしょうから、生活保護を受けるしか生きる道はなくなります。
 その時に、役所に行って生活保護の手続きをすることすらできなければ、坐して死を待つのみです。
 
 なにがなんでも引きこもっていたい、外に出るくらいなら死んでもいい、という悲愴な覚悟をもったお年寄りの引きこもりが、大勢出るかもしれません。

 行政は基本的に自ら行動を起こさない者は救いません。
 役人がいちいち各家庭をまわって、引きこもりの方はいらっしゃいませんか、社会復帰支援プログラムを受けませんか、なんてことは絶対にしません。
 HPなどで確認し、自ら申し込んだ者だけが、プログラムを受けられるのです。

 引きこもりのみなさん、お辛いでしょうが、まずは部屋を出て、家族と食卓を囲むところから始めてください。
 少しづつ、少しづつ、できることを増やしていってください。
 それはみなさんには決死の覚悟がいることだと思います。
 しかし決死の覚悟で小さなことでも前進できれば、脳に快感を感じる回路が生まれます。
 小さな前進を続ければ、快感の回路は強化され、きっと良い方向にまわっていくものと思います。

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