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『同居人は化け猫!』第6章-6

2011-05-25 21:27:14 | 小説『同居人は化け猫!』
同居人は化け猫!

第6章 ケンカ大騒動

6. おそろいペンダント

プレゼントは、白い雪の結晶の形をしていた。
まるで本物のような細工が施されており、綺麗を通り越して神々しい。
「すごいな…全部同じだ。」
感心するように冬夜が言う。
見比べていたのだが、違う所なんて1つもない。
「なぁ冬夜…。」
顔を上げると、鈴蘭の顔が赤くなっている気がした。
窓から差し込む夕日のせいだけではないだろう。
「これ、冬夜と私だな。」
そういう意味不明なことを言い、照れくさそうに笑った。
冬夜は首を傾げる。
「だって、冬夜は冬だろ?だから雪だ。で、私は――ってか鈴蘭は白いし。形が冬夜で色が私だ。」
早口で言って、嬉しそうな顔でペンダントをつける鈴蘭。
言っていることはメチャクチャだが、微妙にあっているかもしれない。
「そうだな。綺麗っていう思いで買ったけど…。」
それに、鈴蘭に白は似合う。
素直に言うと、鈴蘭は今まで言われたことがなかったというようにびっくりした顔になった。
そして、ふんわりと微笑する。
今までの鈴蘭とは思えない。
今までは『可愛らしい』だったのに、『綺麗』になった。
「ほら、冬夜もつけてみてよ!」
「あ、あぁ。」
一応冬夜は男子で、ペンダントをつけるのに少々ためらった。
でも、鈴蘭がせっかく買ってくれた物だから。
「冬夜も、似合うじゃん。」
「そうか?」
「うん!」
鈴蘭が、いつもより可愛らしく見えた。
きっとこのペンダントをつけている誰よりも、ずっと綺麗に。

2人は顔を見合わせて、微笑んだ。


written by ふーちん


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