I~これが私~

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ハッピー・メリークリスマス!2

2010-12-18 21:01:51 | 小説『ミゼットな楽園』
ハッピー・メリークリスマス!

2.冬休みオープン

「さぁ~!冬休みに入ったことだし、のんびりできるぞー!!」
フラットは、授業終了のチャイムを聞くと大きくのびをした。
「ちょっと!その前に今日のクリスマスパーティーでしょ?」
隣のラートが小声で言う。
普通はこういう時注意するはずだが、やはり浮かれるのは仕方ない。
「くりすますぱーてぃー?あ、あれね!楽しみだよね!」
「そーだよね!桜のゆきんこパン。おいしそーだったなぁ…。って、そーじゃなくて!」
急にどアップになったラートを見て、フラットが一歩後ずさる。
2人が言っているのは、その名の通りパーティー。
それぞれ店を出したりする、この前の夏祭りのようなものだ。
ちなみにラートが問題にしているのは。
「私達、また歌うんでしょ!?あの歌を!」
この2人は、春にアイドル部に所属。
そして夏祭りという名のオーディションを受け、見事にデビューしたのだ。
というわけで有名(?)になった2人は「冬休みのパーティーでも歌いまくりなさいっ。」と部長のベルにのんびりと言われたのだった。
しかも『歌いまくる』の意味は、『年末年始』も入るのである!
「あ、そーだねー。大丈夫でしょ?てか、毎日歌ってるじゃん!心配性だなぁ、ラートってばっ!」
「あのねぇ…。フラットは浮かれすぎっ!」
ラートは苦笑する。
同年代のはずなのに、という心境だ。
「え、そーかなぁ?」
「そーです!」
「ま、いいじゃん?今日はクリスマス~♪」
「まったくもう…。」
走り出したフラットの背中をラートは苦笑したまま追いかける。
どこかからの視線も気付かないまま、2人は晴れた空のように声を上げて笑った。



written by ふーちん


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