I~これが私~

風の吹くまま,気の向くまま,ありのままの自分で。

ハッピー・メリークリスマス!1

2010-12-17 23:29:56 | 小説『ミゼットな楽園』
ハッピー・メリークリスマス!

1.不思議なガラス玉

ガッシャーン……パラパラ…

「いったぁ~!」
エプスタイン家、いつもの日常。
今日は物置である。
「イスフィール?今度は何を壊した!?」
向こうからバタバタと騒がしい音。
薔薇の護衛の2人だ。
「失礼ね!私はいつも壊してる訳じゃないわ!」
ちょっとムカついた少女は反発する。
が、確かにさっきの音の原点はこの少女だ。
「じゃあ、昨日の窓、おとといの図書室、その前の花瓶は?」
呆れたような少年の声。
少女はギクリと肩をすくませる。
「…。身に覚えがないわね。夢でも見たんじゃない?」
テキトーに返す。
しかし、全部が事実ということは、この家の全員知っていることだ。
「…おかげで今日も寒すぎだ。ちゃんと片づけておけよ。」
少年2人はため息をつくと、どこかに行ってしまった。
「レイアース?セイレーン?おーい!」
呼んでも返事はない。
「もう手伝ってくれないのかぁ…。ちょっとぐらい大丈夫でしょーに。」
…もう「ちょっと」なんて言える数ではないが。
ふと手を動かすと、コツンと何かが当たった。
「んー?…ガラス玉?」
それの正体は薄紫のガラス玉。
「よく今ので割れなかったよね…」
珍しいと思い、しげしげと見ていると。
”今日は楽しいクリスマス~♪”
という小さな小さな声。
確かにガラス玉から聞こえた。
それを確信するなり、少女――イスフィールは駆け出した。


written by ふーちん


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