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I~これが私~

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『死神』2.死神の理由<2>

2011-03-21 22:35:07 | 小説『死神』
死神

2.死神の理由

<2>

妹はリサっていって、すごくかわいかった。
だから私、15で死んだんだけど、それからずっと見守ってたんだ。
リサは幽霊が見える人じゃなかったから、わかんなかったと思うけどね。
でも、それが間違いの1つだったんじゃないかって、今は思ってる。
リサは私が死んだ次の年、風邪をこじらせて入院した。
そんな時も私はそばにいたんだ。
ある日、リサが目を開けてこっちを見たの。
「お姉ちゃん…?」
そう言って手を伸ばした。
おそるおそる私は近付いて、そぉっとリサの手を握る。
握れたんだ、幽霊でも。
「リサ、私のこと見えるの?」
「何言ってんのさ。遊ぼ、お姉ちゃん。」
さっきまで青ざめていた顔とは全然違う。
嬉しそうに微笑むリサは、月のようだった。
昔、私が落ちこんでた時も、あどけない笑顔を見せ、励ましてくれたりした。
「うん。遊ぼう!」
簡単なおままごと。
朝は何度も巡り、夜は1分もせず明ける。
何度も何度も私達は遊んだ。
「ね、リサ。外行かない?とってもいい所、私知ってんだ。」
「ほんと!?」
それは草木広がる緑の世界。
その真ん中に澄んだ水色の湖があるのだ。
時間によって湖の色が変わり、夜は月の光を反射する。
その光景を見るため、昼からゆっくり歩いた。
「きれーい…。」
リサの顔、私の顔も水辺に写る。
2人で長い間それを楽しんでいると、リサがすぅ…っと薄れて消えてしまった。
「リサ!?」
見渡してもどこにもいない。
何で?
どこ行ったの?
「リサ…リサ!」
夢だろう、と思った。
リサが風邪をこじらせたことから、すべて夢だったんじゃないかって。

それを確かめるために、病院へと急いだ。


written by ふーちん


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