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『同居人は化け猫!』第7章-5

2011-11-06 16:20:59 | 小説『同居人は化け猫!』
同居人は化け猫!

第7章 さぁ実家へ!

5.家には義経がいます。

「お帰り、冬夜。早かったわねぇ。」
自分の名を呼ぶ懐かしい声が聞こえる。
母の声だ。
「冬夜~~」
鈴蘭が遅れてやってくる。
ちょうどそこに母が出てきて、ご対面……。
「と」
「きゃああ!!」
鈴蘭が何か言うのを遮って、母が歓声を上げた。
頬は紅潮し、明らかに喜んでいる。
ここで冬夜は母の素性を思い出した。
「あなたが化け猫ちゃんね!?かわいいっ、可愛すぎるわっ!」
「え、あの」
とまどう鈴蘭の声も聞いちゃいない。
「こんなに可愛いとは思わなかったわ!」
「…母さん。」
見かねた冬夜が声をかける。
しかし、冷たくあしらわれた。
「何よ、冬夜。男はいいの!早く中に入っていなさい。」
なんだこの鈴蘭との対応の差は。
一応冬夜が実の息子だが。
「冬夜の部屋はそのままだから。何も触ってないわ。前と同じようにしてなさい。」
しっしっと冬夜を追い払うように手を振り、母は鈴蘭をぎゅぅっと抱きしめた。
「ふふふ、鈴蘭…だっけ?は、私と同じ部屋よ?あぁ、夜一緒に寝るのが楽しみだわ!」
「…何する気なんだ母さんは…。」
本当に呆れる。
母がご機嫌で居間に戻っていくと、鈴蘭が冬夜の元へヨロヨロと歩いてきた。
「と、とうやぁ…。なんなんだあの人は?」
「うっ…俺の、母さんだ。」
「………ウソは、ついてないよな?」
「あぁ。実は男よりも女が好きで、かなりケンカも強くて…。中学の時のあだ名は『源 義経』。母さんにケンカで負けた人達は『平氏』と呼ばれたそうな。」
「男らしいというかなんというか…。」
源 義経というと、源 頼朝の弟で、平氏を倒すのにも役に立ったとか何とか。
母は兄がいるが、ケンカは弱いらしい。
頼朝はいないということだ。←失礼。
「なんの話してんのかなぁ?」
「げ、母さん。」
気付けば冬夜の後ろに義経が立っていた。
「げって何よー!てか、ずいぶん昔の話じゃん。」
「義経とは…かっこいいな!」
鈴蘭が目を輝かせて言う。
母さんはものすごぉく嬉しそうな顔をした。
「そう?そうでもないわよ昔の話だしぃ~」
「だが、義経だったというのは変わらないからな。」
おーい鈴蘭。
義経ってのは、あだ名だからなー。
…どうやら2人は気が合うようだ。
父はこないだの手紙と同じ感じだし、冬夜の家はにぎやかだ。
たぶん帰る頃には疲労でやばいんだろうなぁと冬夜は思ったが、秘密にしておいた。

だって、義経の反応が怖いから。


written by ふーちん


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