I~これが私~

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『死神』2.死神の理由<4>

2011-03-23 23:17:32 | 小説『死神』
死神

2.死神の理由

<4>

「ってことなんだ~♪」
ルカは最初のしんみりさのカケラをどこかに投げ捨て、ルンルンの種を拾い食いした感じだ。
ちょっと呆れつつ聞いてみる。
「その最後の人、結局誰?」
「ああ。ディレスって言って、私の兄みたいな人。私を死神にしてくれたんだ。」
「兄ぃ~?」
絶対違う。
世界が逆転しても違うと思う。だって、よーくよーく見たら、ルカの顔ちょっと赤らんでるし…。
「へぇ~。じゃ、そのディレスさんはどこいったのさ?」
ルカの顔にちょっと悲しみが混ざった。
「旅に出たの。ずーっと向こうまで行くって訳分かんないこと口走って行ったわ。」
「訳分かんない、って…。」
確かにその通りだ。
ずーっと向こうってどこだよ?
「でも…また会えるって言ってくれたから…約束したから…。」
ルカの目が、嬉しそうに細められた。
あぁ…って思う。
本当にディレスさんのこと好きなんだなぁ…って。
あああ、目があさって見てるよ、ルカ…。
「で、1人前になったところで私を拾った、と。」
前にルカから話を聞いたところでは、そう言っていたけど。
「あーうん。まあ、そんな感じ。」
「何、そのあやふやな言い方…。」
今でも微妙に謎だ。
私の分かるところでは、確か…病気だったんだ。
体が焼けるみたいに痛くなって、気を失いそうになった時に…。
助かりたいって、苦しみたくないって思って…。
『ごめんね』
そんな声が、した…?
ような…気がする…?
「うーん…。」
思い出そうとして頭を抱えた、その時。
ピ―――ッ
というあまりいい感じのしない音が響いた。
はっとして楓さんを見ると、
「ぐるじい…ぐるじいよぉっ…」
魂が苦しんでいた。
突然のことに驚き、私は呆然としてしまった。
立ち上がったルカは、鎌を装備する。
「ルリ!」
「はいっ!」
ルカが顔つきを変えて言う。
鎌を手にし、険しい顔をしていた。
もしやと私も気を引き締めた。
「私達の出番よ、ルリ。楓さんの願いを、叶えなきゃ。」

私は震える手をぐっと握りしめた。
楓さんは…なんと願うだろうか?
私に、叶えることが出来るのだろうか?
頭の中には、不安しか見つからなかった。


written by ふーちん


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