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『同居人は化け猫!』第7章-3

2011-10-06 20:14:07 | 小説『同居人は化け猫!』
同居人は化け猫!

第7章 さぁ実家へ!

3.列車旅

「ほんっと、謎めいてる人だよなぁ…。」
冬夜の実家は、秋田にある。
ちなみに、羚歌さんの家は茨城だった。
たぶん近…………くない距離だ。
「まったくだ。私の正体がばれるなんて…!」
秋田へ向かう列車の中、鈴蘭は人間体。
手紙の中には、鈴蘭の分の切符だけ入っていた。
俺の分はっ!?と思ったが、その文句は直接言ってやろう。
そうやって無理に気分を変えて、今に至る。
「ところで冬夜。これは何だ?」
不安そうな顔で鈴蘭が聞く。
だが鈴蘭は何も持っていないし、指さしているわけでもない。
どれのことだ?
「…どれが?」
「これだ!まるで、大きなイモ虫だぞ冬夜!怖くないのか!?」
「大きなイモ虫…。あぁ…。」
電車のことである。
これがイモ虫となると、かなり怖い。
「と、冬夜…?」
何も喋らない冬夜に、鈴蘭はさらに不安そうになる。
それを見た冬夜は、慌てて口を開いた。
「化け猫って、そう言う発想ができるんだな。」
「冬夜ぁぁぁ!?」
しまった、言うことを間違えた。
「鈴蘭、これは別にイモ虫じゃねえし、人が作ったやつだ。」
「…ほんとか?」
「安全のセキュリティがあるはずだし、事故は…」
「なら良かった。」
「事故は、たまに起きる。」
「不安だぁぁ!!」
その場で震え出す鈴蘭。
あ、最後の一言はよけいだったか…。
「あ、ほら鈴蘭!涸沼だ!」
涸沼(ひぬま)とは、茨城県の県庁所在地・水戸の近くにある沼(?)だ。
今冬夜達が乗っている鹿島臨海鉄道(かしまりんかいてつどう)はその近くにあるため、よく見える。
「魚は、いるか…?」
「さぁ?みえねぇ。」
「うぅ…気持ち悪いよぅ…。」
「…電車酔い!?」

まぁいろいろあるが、秋田へ出発、しんこーう!

*作者から…
 涸沼、鹿島臨海鉄道は実際に茨城にありますが、作者は茨城在中ではないので、フィクションとなっております。
 スルーしてください。


written by ふーちん


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