常々、宗教というものが問題になりますとき、
それは社会的にも、誰もが眉をひそめるような問題が起こったとき、話題になるのが常です。
私は、長年信仰している立場で、そのことがとても残念に思っておりましたので、
若干(じゃっかん)宗教よりの発言になるかもしれませんが、
宗教とはなにかについて、
私の意見を書いてみたいのです。
もちろん、ただ漠然(ばくぜん)と書いてもわかりにくいかと思いますので、
フランスの都市、ルルドの奇跡というものを題材にして、
(私自身はキリスト教を信仰しているわけではないのですが)、
考えてみます。
現代の科学の発展は、医学においても驚異的な発展をとげたといっても過言ではないと思います。
その意味で、ひと昔前までは奇跡といわれたことが、
今、医療の現場で起きています。
そのことは、たいへんすばらしいことなのですが、
相対的に宗教の奇跡が減り、
宗教の価値も下がってしまったというのが、現状のように思います。
そんな中、
ひと昔もふた昔も前のことになってしまったルルドの奇跡は、時代遅れなのかもしれませんが…。
1858年、病弱で非常に貧しい家庭で育った14歳の少女ベルナデットが、
薪(まき)ひろいに行った洞窟で、聖母を見たことから、
奇跡の物語がはじまります。