昨日、脱北者金潤さんの抗議会見に立ち会った。この会見については、毎日新聞が【元在日朝鮮人3世で76年に北朝鮮へ帰国したのち、昨年脱北して現在は韓国に住む金潤(キムユン)さん(46)が11日、東京都内で会見し、金正日総書記らに関する発言を無断で記事にされたとして、産経新聞に抗議したことを明らかにした。「実名で記事にされ、北朝鮮に残した家族に危害が及ぶ恐れがある」と話している】(http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090912k0000m040099000c.html)と伝えたほか、
朝日新聞【兵庫県出身で元在日朝鮮人3世の脱北者金潤さん(46)が11日、東京都内で記者会見し、了承なく実名入りで産経新聞に話が引用され、北朝鮮に残る家族に危険が及ぶ恐れがあるとして、同紙に抗議したことを明らかにした。金さんは韓国在住。金さんによると、在韓日本人団体での講演の打ち合わせという前提で、7月に産経新聞ソウル支局長と会った。その際、取材との説明はなく、その後も連絡のないまま、8月1日付の同紙コラムに、金さんの話が掲載された。北朝鮮批判や金正日総書記に関するうわさに触れた内容だった】(http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY200909120076.html)、
読売新聞【脱北者でソウル在住の金潤(キムユン)さん(46)が11日、都内で記者会見し、産経新聞に無断で実名の記事を書かれ、北朝鮮に残る妻子3人に危険が生じたとして、抗議したことを明らかにした。問題の記事は、8月1日朝刊に掲載された黒田勝弘・ソウル支局長の署名コラム。金さんから聞いた話として、北朝鮮社会でうわさされている、金正日(キムジョンイル)総書記と家族にまつわるエピソードを紹介している。金さんは在日3世で、1976年に北朝鮮に渡った】(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090911-OYT1T01025.htm)が報道した。
金潤さんは、14歳の時に祖父に連れられて北朝鮮に「帰国」し、大学卒業後、教授、作家などとして活躍した後、国家科学院の研究所に勤務しているときに国家的方針であるドル稼ぎのためのビジネスに失敗して脱北。北朝鮮で結婚し、二人の子供がいる。ソウルに滞在しながら、家族も脱北させる予定だった。
しかし、8月1日、金さんの記事が掲載された産経新聞が発行され、家族との連絡が途絶えた。必至で北朝鮮に残してきた家族の安否を探るなど手を尽くしたが、なんらの手がかりも得られず、自らが名を名乗って記事の掲載が自らの意思によるものではないことを明確に示すことで、わずかでも家族の安全が図られるのではないか、という思いで、産経新聞に抗議のうえ、会見をすることとなった。逆効果になるのではないか、との思いもあったが、すでに連絡がとれない状況を重視し、苦渋の決断をした。
そもそも、取材であることを明確にしないまま話を聞くこと自体、倫理違反だし、脱北者のことを書くなら通常匿名にし、かつ、特定できないような抽象的な書き方をしなければならないことは、素人でも分かりそうなものだ。しかも、金正日一家のことに触れる場合、どこまで書けるのか、どこまで書いても安全かを本人に確認するべきであることもはっきりしている。
もっとも、取材であることを明確にしないままの取材が倫理違反とならないケースもある。権力者の不正を暴くような高度の公共性が備わっている場合だ。金さんは権力者ではなく、今回の事例がそれに当たらないのは明白だ。すでに黒田記者は、ミスがあったことを認めている。
会見で、金さんは、講演といっても公開されるものではないし、自分で話す内容をコントロールすることができる旨説明し、もし、産経が記事していなければ、家族を脱北させて一緒に暮らすことができたと思うとつらい心情を吐露した。また、自分たちだけの問題ではないことも強調、在日朝鮮人「帰国者」への支援を訴えた。
産経新聞は、【金潤氏の主張および抗議は伺いました。事実関係を確認の上、対処します。】(上記朝日)と話している。金さん家族の安全につながる真摯な対応を期待したい。
ところで、金さんと話して、帰国者の問題が、拉致同様重大な問題であることを改めて認識した。地上の楽園との触れ込みで騙されて「帰国」した在日朝鮮人およびその配偶者の日本人妻・夫、そして彼らの子供たちは9万3000人に上るという。少なくとも日本人妻や夫が帰国したいと願っているなら、騙されて連れて行かれた場合と、拉致で連れて行かれた場合とで大きな違いはないのだから、国家をあげて帰国できるよう取り組むべきだ。しかし、まるで棄民されたかのような扱いだ。
40年も50年も前のことだから考えなくていい、というわけもなく、むしろ、過ぎた年月は、それだけ帰国の必要性が高まっているということを表している。日々、日本のことを思い出している多くの日本人がいまも北朝鮮で悲惨な生活をしていることに目をふさぎ、拉致問題だけを取り上げるマスコミの姿勢を糾したい。
また、今回の件について、2ちゃんねるでは、金さんに対する否定的コメントが書き込まれているようだが、北で苦しんでいる市民と北の政府を同一視するような思考方法がとられているのはなぜだろう?北の政府を批判するなら、そこから逃げて来た人は温かく迎えるべきだろう。その程度のことがなぜ、分からないのだろうか…。
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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。
朝日新聞【兵庫県出身で元在日朝鮮人3世の脱北者金潤さん(46)が11日、東京都内で記者会見し、了承なく実名入りで産経新聞に話が引用され、北朝鮮に残る家族に危険が及ぶ恐れがあるとして、同紙に抗議したことを明らかにした。金さんは韓国在住。金さんによると、在韓日本人団体での講演の打ち合わせという前提で、7月に産経新聞ソウル支局長と会った。その際、取材との説明はなく、その後も連絡のないまま、8月1日付の同紙コラムに、金さんの話が掲載された。北朝鮮批判や金正日総書記に関するうわさに触れた内容だった】(http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY200909120076.html)、
読売新聞【脱北者でソウル在住の金潤(キムユン)さん(46)が11日、都内で記者会見し、産経新聞に無断で実名の記事を書かれ、北朝鮮に残る妻子3人に危険が生じたとして、抗議したことを明らかにした。問題の記事は、8月1日朝刊に掲載された黒田勝弘・ソウル支局長の署名コラム。金さんから聞いた話として、北朝鮮社会でうわさされている、金正日(キムジョンイル)総書記と家族にまつわるエピソードを紹介している。金さんは在日3世で、1976年に北朝鮮に渡った】(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090911-OYT1T01025.htm)が報道した。
金潤さんは、14歳の時に祖父に連れられて北朝鮮に「帰国」し、大学卒業後、教授、作家などとして活躍した後、国家科学院の研究所に勤務しているときに国家的方針であるドル稼ぎのためのビジネスに失敗して脱北。北朝鮮で結婚し、二人の子供がいる。ソウルに滞在しながら、家族も脱北させる予定だった。
しかし、8月1日、金さんの記事が掲載された産経新聞が発行され、家族との連絡が途絶えた。必至で北朝鮮に残してきた家族の安否を探るなど手を尽くしたが、なんらの手がかりも得られず、自らが名を名乗って記事の掲載が自らの意思によるものではないことを明確に示すことで、わずかでも家族の安全が図られるのではないか、という思いで、産経新聞に抗議のうえ、会見をすることとなった。逆効果になるのではないか、との思いもあったが、すでに連絡がとれない状況を重視し、苦渋の決断をした。
そもそも、取材であることを明確にしないまま話を聞くこと自体、倫理違反だし、脱北者のことを書くなら通常匿名にし、かつ、特定できないような抽象的な書き方をしなければならないことは、素人でも分かりそうなものだ。しかも、金正日一家のことに触れる場合、どこまで書けるのか、どこまで書いても安全かを本人に確認するべきであることもはっきりしている。
もっとも、取材であることを明確にしないままの取材が倫理違反とならないケースもある。権力者の不正を暴くような高度の公共性が備わっている場合だ。金さんは権力者ではなく、今回の事例がそれに当たらないのは明白だ。すでに黒田記者は、ミスがあったことを認めている。
会見で、金さんは、講演といっても公開されるものではないし、自分で話す内容をコントロールすることができる旨説明し、もし、産経が記事していなければ、家族を脱北させて一緒に暮らすことができたと思うとつらい心情を吐露した。また、自分たちだけの問題ではないことも強調、在日朝鮮人「帰国者」への支援を訴えた。
産経新聞は、【金潤氏の主張および抗議は伺いました。事実関係を確認の上、対処します。】(上記朝日)と話している。金さん家族の安全につながる真摯な対応を期待したい。
ところで、金さんと話して、帰国者の問題が、拉致同様重大な問題であることを改めて認識した。地上の楽園との触れ込みで騙されて「帰国」した在日朝鮮人およびその配偶者の日本人妻・夫、そして彼らの子供たちは9万3000人に上るという。少なくとも日本人妻や夫が帰国したいと願っているなら、騙されて連れて行かれた場合と、拉致で連れて行かれた場合とで大きな違いはないのだから、国家をあげて帰国できるよう取り組むべきだ。しかし、まるで棄民されたかのような扱いだ。
40年も50年も前のことだから考えなくていい、というわけもなく、むしろ、過ぎた年月は、それだけ帰国の必要性が高まっているということを表している。日々、日本のことを思い出している多くの日本人がいまも北朝鮮で悲惨な生活をしていることに目をふさぎ、拉致問題だけを取り上げるマスコミの姿勢を糾したい。
また、今回の件について、2ちゃんねるでは、金さんに対する否定的コメントが書き込まれているようだが、北で苦しんでいる市民と北の政府を同一視するような思考方法がとられているのはなぜだろう?北の政府を批判するなら、そこから逃げて来た人は温かく迎えるべきだろう。その程度のことがなぜ、分からないのだろうか…。
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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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