情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

偏見を増大させる新聞と裁判不要論をぶち上げる検察と~グリーンピースをめぐる状況

2009-11-20 01:29:21 | メディア(知るための手段のあり方)
 冒頭の画像は、毎日新聞11月19日夕刊一面トップに掲載された記事だ。「反捕鯨 先鋭化の一途」「今年はもっと妨害する」「派手に騒ぎ 資金集めの宣伝に」、まるで週刊誌のような見出しが踊る。これを読んだ読者は、グリーンピースが妨害宣言をしているのかと思うだろう。

 しかし、グリーンピースは、現場での反捕鯨行為を先鋭化させるようなことはしていない。むしろ、南極での捕鯨船監視活動を停止するなどしている。

 毎日新聞の見出しは明らかに間違っている。これでは、反捕鯨団体がすべて先鋭化しているように読まれてしまう。
 
 正確には、「反捕鯨 先鋭化」ではなく、「反捕鯨のシーシェパード 先鋭化」であり、もっと正確には、「反捕鯨のシーシェパード 先鋭化 他方グリーンピースは派遣停止」ということだ。

 なぜ、誤解するような見出しをとったのか?なぜ、本文中で、グリーンピースが南氷洋への監視船派遣を停止したことを説明しないのだろうか。


 グリーンピースつながりでもう一つ。次の映像は、グリーンピースのメンバーが船員による大掛かりな鯨肉横領の事実を暴こうとして宅配中の鯨肉を確保し、窃盗罪などで逮捕された事件において、検察官が証人尋問の必要性について述べた意見書だ。

 弁護団は、自宅に鯨肉を送ろうとした船員だけでなく、この船員に鯨肉をプレゼントしたと説明する船員についても尋問をしなければ鯨肉横領の事実があったか否かは明らかにならないと考え、その船員らを証人尋問するよう求めている。

 しかし、検察官は…




 検察官は、「これまで弁護人に開示した証拠から明らかなとおり、本件鯨肉が横領されたものでないことは明らかであり」、「鯨肉を譲渡していない旨の各証言を得る可能性は皆無と言ってよい」などと断言している。

 これって裁判及び裁判所に対する完全な冒涜ではないだろうか?裁判で審理をする前にすべてが明らかだというのだから…。

 また、こんなことでは市民が安心できないのではないだろうか。犯罪が疑われている者について、「いやぁ、本人がやってないって言っているからそれを信じるしか仕方ないよね~」と言っているに等しいからだ。まぁ、それは悪い冗談だが、完全なダブルスタンダードだ。

 しかし、検察官がこんな考え方をしているとしたら、裁判員は本当にピエロだね…。

 グリーンピース横領鯨肉確保事件の公判前手続きが今日、青森地裁で行われる。裁判官は、この検察官の意見書にどうコメントをするのだろうか。

 皆さんは、どう思いますか?




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