大変遅くなって申し訳ありません。
やっと時間がとれたので、ラレコさんの公開講座レポートを書きます。
とても天気のよい6月1日。
(午前中に日焼け対策無しで屋外にいたので肌が真っ赤に焼けてしまった。レッドカントク。)
ウチの近くの広島市立大学にラレコさんがこられるということで、
取るものも取らず、はくものもはかず車を飛ばし講堂に突入。
(車はちゃんと駐車場に停めました。突入したのはカントクだけ。)
スタジオ607のぶらっくくんとミンメイくんと合流し、ラレコさんの登場を待つ。
2人はすでにあいさつを済ませていた。くやしい。
ほどなく、少し緊張しておられるラレコさん登場。
カントクを含めた聴講者の皆さんも
ラレコさんはいったいどんな人なのか、どんなお話が聞けるのか、
とその緊張に呼応しているようでありました。
ウェブアニメ界の手塚治虫先生とお呼びしても過言ではない、
ラレコさんにカントクの故郷、それも車で20分ほどの近くの場所でお目にかかれるとは、
なんという巡り合わせ、なんという幸運でありましょうか。
その幸せを噛み締めつつ、講義にいどむ。
壇上の横にノートパソコンから出力される映像が映しだされ、それをラレコさんが説明するという、
単調になりがちな講義形態を陣内智則風の小ネタを仕込んだフラッシュで、巧みに回避しつつ、
いつしか講義に引き込んでゆくというテクニックに、
常に観客の心理状態を想像し、対処の出来るトップクリエイターの貫禄を見る思いでした。
講義内容は、時間の制限もあるので、
生い立ちや初恋・初体験などの甘酸っぱいお話は割愛され、
ラレコさんのクリエイターとしてのキャリアの出発点であるマンガ家時代からスタート。
四季賞受賞作らしきマンガの一部が映し出され、
かなりのクオリティの高さに、やはり基礎あってのデフォルメなのだと、痛感。
(NHK「トップランナー」に出演された際にもこの作品は紹介されていたので、
拝見したいという方はネットで検索すれば見ることができるかも。)
そしてマンガ家のアシスタント生活、音楽雑誌をよく買われていたこと、
インターネット創世記にはあまり興味を感じなかったこと、
パソコンとの出会い(ご友人が持ち込んで置いてったらしい。)、
ほどなくネットのお絵描き板・掲示板にご多分に漏れず激ハマリ、
紙媒体のマンガにない反応のよさにさらに激ハマリ、
ついに「カレーパンのうた」誕生、それがバカウケ、
1ページのHPがひと月で10万アクセス、ミクシーのコミュも8000人、
本腰を入れてアニメ製作を開始されたこと、という流れでした。
電波を介さず、ご本人の肉声で語られる修行時代のお話は、
カントクの青春時代とダブるものがあり、
我が身をかえりみず強烈にシンパシーを感じてしまいました。
その後、ネット上でウケるものを研究、歌モノアニメを連作、ついに企業からオファー、
「ぷっぷくちゃん」完成、またもやバカウケ100万アクセス、
「コアラッコ」のネタを別会社のCMに先を越されそうになるも、
「くわがたツマミ」は王道狙いでまたまたバカウケ、jawaconに出品、
ファンワークス高山社長との出会い・なぜか「くわがたツナギ。」と発音される、
月1で作品提供決まる、「やわらか戦車」制作するも知人にはイマイチ、
しかし内容は吟味を重ねていたので自信あり、
当初は学生をターゲットにしていたが子供・女性に評価される、
2ちゃんねる方面からは反応薄かったが、身につまされると一般男性からの支持も受け、
ついにそれまでは考えられなかったような力学が働いているような感じで
どこからきたのかわからないような大量の人たちがやってきた、
そんなものすごい状況の約ひと月後にあのライブドアショック、
そんな中NHKの番組で紹介される、
ブログ開始、多忙を極めるが父には「おもしろ戦車。」と言われ
大手検索サイトで「やわらか」とか「戦車」で検索1位を目指す、
同時にモー娘。のようにデビューの経過も娯楽として提供したいと考えるようになる、
ぬいぐるみの企画も始まる、さらに各局のテレビ番組でも紹介される、
そして「文化庁メディア芸術100選」を受賞、その喜びも束の間バッシングが始まる、
趣味の延長の感覚で失言してしまいさらにバッシング、
ネットでの評判が過剰に気になるようになる、ネタ作りも苦しくなってくる、
ヒットキャラを分析しキャラのブレの無さを発見するも同じことは自分にできぬとさらに発見、
できないものはできないとの境地に至る、
「キャラが勝手に動く」という言葉を自分の体験を通して理解、
しかし「ビジネス」と「作品」のバランスに苦しむも、作品における自分は神であり
創造したキャラクターに対しても作り続けねばならない。
これはもはや公開講座といったライトなレベルなものではなく、
名実共に「トップランナー」のラレコさんが「ブレードランナー」のロイ・バッティの如く、
一般人にはおよそ想像も出来ない天国と地獄を見、
さらに「退却」をし続ける一人の男の貴重な体験談でありました。
そしてそれが語られる場に居合わせたカントクは幸せでありました。
その後ラレコさんとお話することが出来、
ぶらっくくん謹製のいぬかい部長を手渡すことが出来ました。
残念ながらすぐに東京に帰られるということで、突っこんだ質問、
・この仕事1本で食べていけるようになったのはいつ頃からですか?
・サウンドエフェクトはどんな物を使っておられるのか?
・ギャグマンガ作家さんで特にインスパイアされたのは?
・主な協力者は?
・アニメ製作中の1日のスケジュールは?
・スランプの時の奥様からのツッコミは具体的にはどんな感じですか?
・少人数で視聴するウェブアニメを本日のように大勢で見るのはどんな感じですか?
・現在進行中の3種類の作品の中で一番作りにくいのは?
・NHK出演の際、受信料を払っているかやっぱり調べられるのですか?
・本来のセンスは「黒い」ものが多いように感じますが、
将来的にそれを前面に押し出した作品をつくられるご予定は?
などは時間が無く、次にお会いするまで持ち越しとなりました。
その後、講堂外で少し待ち、出てこられたラレコさんに
スタジオ607のみんなでお礼とご挨拶をすませ、タクシーに乗られるところをお見送りいたしました。
日の傾きつつあるモダンな市立大のキャンパスを去ってゆくラレコさんご一行。
妙な言い方ですが、「リアリティのある現実感」となんとも知れんまったりとした疲労感&焦燥感。
こんな複雑な気分になれたので、ドMなカントクは身悶えるが如く、
一緒に受講した2人をほったらかしてウチに帰ってフロ入ってメシ食って20時頃就寝。
そしてこんな夢を見た。
轟音と共にカントクの遥か前方をラレコさんを乗せた「やわらか戦車」が
世界の中心に向けて「退却」してゆく。
その圧倒的な熱気は空気を揺るがし、その姿も蜃気楼のように遠ざかる・・・。
道に深く刻印されたワダチを部長やひしょくんたちとノソノソ歩いているカントク。
気持ちだけは「追いつきたい…。(涙。)」と思っているが、その差はひらいてゆくばかり。
走って行くほどの体力も根性もないのはわかっているので、とりあえず歩いている状態。
「あせらずに自分のほんしつを知れなものです。」と、部長。
「そろそろおやつにしましょうね」と、ひしょくん。
今日何度目のおやつなのだ?と思いつつ一緒に巨大なホットケーキを食べる。
部長は12枚、ひしょくんは2枚をたいらげてしまった。
部長が「おかわりはまだなものですか」と言うと
カントクは知らぬ間にホットケーキ焼き職人になっている。
作る気はマンマンだが、しかしホットケーキの材料が足りない。後で燃え盛るオーブン。
とめどなく流れる汗にたまらず、全裸になる。それでも暑い。
気がつくと、あきれた二人は先に行っている。
「ワ、ワシが悪かったーっ、マジメに働くから待ってエーッ!?」と叫んだ瞬間、
光圀(※1)から猛烈な勢いで放出されるガスが身体を前方に押し出し始める。
「ああこれが作用・反作用の法則なのだな…。」
とつぶやき、地上26.5センチの高度で追いかけ始めるカントク…。
そして朝、シッカリ寝坊しておりました。ムクク。
そんなあまり変わってないようなカントクですが、
ラレコさんのおかげでアニメ作家の端くれとして一皮ムケたような気がいたしますよ!!
(この記事をかいている現在、このときの日焼けの皮もムケました!!)
お住まいのある茨城に向って、最敬礼し、ラレコさんにお見せして恥ずかしくないような、
バカとアホウがからみあい、強烈に脱力した副将軍(※2)から思わず硫化水素が漏れ出すような
恥ずかしいアニメを作る決意を新たにいたしました!!
頂いた元気は監督の股間の元気玉に蓄積完了、
支持者の皆様に大放出する所存でありますよ!
パワーアップした「いぬかい部長」に是非ご期待ください!!
そして師匠、よいお話をしていただいたご恩はいつか必ずお返しいたします。
本当にありがとうございました!!
スタジオ607 カントク・キスオ 080610 15:43
(助監督・注)
※1光圀 = ※2副将軍 = 水戸黄門
ホットケーキを焼くのはオーブンでなくフライパンです。
こちらの2008.6.5の記事もどうぞ → ★
2008.6.14 (助監督)
さきほどコメント欄にすごいかきこみをいただきました。
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