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当山施食会終了

施食会が8月2日に終わりました。当日は午前中より雨に見舞われ、心配しましたが、法要中は雨が止んでほっとしました。涼しくて助かりました。

毎年のことながら、この日に合わせての準備は大変です。卒塔婆準備はほぼ一ヶ月、庭木の手入れ掃除は、延べで多くの人の手を借りて行います。今年は天候が不順でしたので、大変でした。
そして、当日は、早朝よりテント張り、受付の準備等・・・。
        
今年は、第一日曜日で、参禅会と重なってしまいました。坐禅と準備を手分けで行いました。

                          
法要に先立ち、法話が行われますが、今年は、記念講演として宗教学の権威の佐々木宏幹先生に、「『たましい』の行方」と題して、施食会に因んでの供養の意味についてお話しいただきました。お盆を迎えるこの時期、あの世とは?、たましいとは?、亡きご先祖の行方は?・・・と、関心は高いものの、最もファジーでとらえどころがない事柄について、長年の研究成果をふまえ、明確にわかりやすくお話しいただきました。参列者一同、まさに心のあんじんを得た思いであったことと思います。
   

講演の骨子を紹介します。

1.施食会」は、あらゆる世界(三界)に生きかつ苦しむすべての者たちをお寺に招き、食と経を供養して仏の道に目覚めてもらい、成仏に至ることを願う法会。各家の先祖供養とともに営まれる。「供仏の功徳によりて作仏するなり」(『正法眼蔵』供養諸仏)という道元禅師の言葉を引用され、供養の力によって成仏するというメカニズムについて説かれた。

 2.「成仏」とは、私たちも仏道(仏への道)を歩めば、お釈迦様と同じ存在になれるというすばらしい教えであり、他の宗教にはないことを強調された。

3.「たましい」は、死者・先祖とか「ほとけ」(仏)という名で呼ばれ、「あの世」と「この世」を往来し、生者の供養を受けているうちに成熟し、荒々しい魂から和やいだ魂(先祖・ほとけ)に成るとされる。(心先祖・ほとけに成ったたましいは、一家・一国を守護してくれると考えられ、日本古来からの宗教観がもとになっていると説明された。

 4.ほとけ」死者・先祖)は、日本人にとっては、墓・位牌・寺院の位牌堂・死場所・霊山・浄土・仏国土に多重的に存在し、自由に往来するものと考えることを明確に話された。「千の風になって」の歌の意味は、お墓にだけいる訳ではないという意味であることを強調された。

 5.「仏壇」は、家の中枢。「仏壇の前に座ってみよう。心が落ちつく。心が和む。本尊が坐します。祖先の位牌が並ぶ。仏壇はその家の精神的中枢である。日本の家庭を支えうる最大の方法として仏壇がある。個人宗教に立つ欧米には、こういうものはない。」という加持伸行先生の『沈黙の宗教』(筑摩書房、1994)の言葉を引用して仏壇の重要性について説かれた。

 6.「あの世」という、見えない世界への感覚を養う必要がある。「この世」は「あの世」に支えられてあり、「あの世」は「この世」の信仰によって成り立つという供養と成仏、現世と来世の一体感の中にあの世があり、このバランスが崩れると社会秩序が混乱すると危惧された。「なぜ人を殺しては悪いの?」「なぜ嘘をついてはいけないの?」の問いに戸惑う大人が増加することも指摘された。
 まとめとして、墓・仏壇は日本人の死生観、畏れ・倫理感覚育成の原点であり、育成装置であることを改めて認識する必要があることを力説された。

 施食会については、kamenoさんのページで、詳しく説明していただいています。

コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
お疲れさまでした (kenryu)
2009-08-04 11:10:37
忙しい盆施食会、お疲れさまでした。そんの矢先に、アポ無し拝登、大変失礼しました。ご夫妻はじめ、北堂さま、お嬢さんにも拝顔を得まして、有り難うございました。わざわざお送り下さり、恐縮至極でした。
こちらは相変わらず、不順な天候ですが、旧盆を前に覚悟を決めつつおります。
佐々木先生のご講演、どなたか録音されておりませんか?ありましたら、後日拝聴させてください。
中々、疲れも抜けないことと存じますが、ご自愛の程を

 
 
 
→kenryu兄 (tera)
2009-08-05 09:28:48
先日は、お出ましいただき有難うございました。かえって、おわずらいをかけ申し訳ありません。

佐々木先生のお話、コンパクトに一般向けに凝縮された判りやすいお話です。テープ送ります。

施食会、いよいよ後半です。
 
 
 
Unknown (いよいよ大詰めですね)
2009-08-07 11:22:29
教区の盂蘭盆会施食会行事も最終コーナーを廻りましたね。
佐々木先生の御講話、最後の「あの世」観の一部しか拝聴することが出来なかったのが残念でしたが、まとめていただき有難うございました。
盂蘭盆会施食会は日本の良い風習を土台とした日本ならではの行持であると考えます。
そのことが少なからず檀家の皆さまに伝わったのではないでしょうか。
※今年は雨が多かったせいかカブトムシが多いですね~
 
 
 
  (kameno)
2009-08-07 11:23:39
すみません、署名が抜けておりました。
 
 
 
→kamenoさん (tera)
2009-08-09 08:45:40
施餓鬼と施食につきまして、詳しくまとめていただきまして有難うございます。なかなか奥深い行事ですね。参考にさせていただいています。

いよいよ終盤となりましたね。お疲れさまでした。各寺へのお二人でのご随喜、有り難い限りです。
 
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