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ネットワーク坐禅会・その10…心を守る坐禅・調息

ネットワーク坐禅会・その10

                 …心を守る坐禅・調息

  調息 コロナウィルスによる心への感染防止の特効薬とも言える「禅」ですが、3調の中の調息について考えてみたいと思います。

呼吸を整えることは、身体と精神をつなぐ大切な役割であることで知られています。様々な呼吸法、息を調える技法が精神的な治療法としても確立されています。多くの宗教でもそれぞれに呼吸法を教え伝えてきています。坐禅についても同様で重要視されてきました。

大きくゆっくりと呼吸することは、他の方式と変わりませんが、横隔膜による肺呼吸に頼らず、腹式呼吸に近い臍下(へその下部)にある丹田と呼ばれる部位を中心とした「丹田呼吸」を、坐禅ではすすめています。

この坐禅の呼吸の大切な意味は、単に「ゆっくりと息を調える」ということと同時に、現実を身体そのもので把握し、周囲の様子、社会や環境と同化しながらも、心は動揺せず、淡々と、ありようを保持して同化し、一体となるという意味合いがあると言えます。そして、この現実を直視した見方により、環境や社会に対して、正しい判断による智慧の行動が取れることが重要で、その身体と心をつなぐ役割を呼吸が担っていると言えます。

瑩山禅師の『坐禅用心記』には、細やかに調息について解説されています。

「若し坐禅の時、身或いは熱きが如く或いは寒きが如く、或いは渋るが如く或いは滑かなるが如く、或いは堅きが如く或いは柔かなるが如く、或いは重きが如く或いは軽きが如く、或いは驚覚するが如くなるは、皆、息の不調なるが如し、必ず之を調うべし。調息の法、暫く口を開き張り、長息なるは則ち長きに任せ、短息なるは則ち短きに任せ、漸漸に之を調え、稍稍に之に随う。覚触来る時、自然に調適す、而して後に鼻息は通ずるに任せて通ずべし。」・・・ここにある「自然に調適す」という記述が、同化し共存する同事行の精神を示しています。

ですから、禅の呼吸の意味は、単に「ゆっくり息をする」という行動に併せて、周囲に同化し、現実と向き合い、自己中心の見方を離れて、肩の力を抜くような大所(高み、達観)に立脚する心が芽生えるところにあると言えます。

スポーツを例にとっても、呼吸はとても大切です。相撲の立ち合いも、「息を合わせて!」と言いいますが、両者の気力・体力のリズムを合わせてパフォーマンスを発揮させるところにあります。「あの人とは息が合う」「・・・合わない」ともよく使われるように、呼吸には、周囲と溶け合う「同事行」としての大きな意味合いがあるのです。

今、コロナ危機に直面し、自粛・ステイホームが課されていますが、坐禅の呼吸によって、この現実を正確に受け止め、山中伸弥先生が言われる、ウィルスと賢く共存する智慧を見出していきたいものです。

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