『風が強く吹いている』を読みました。三浦しをんさんの長編小説で、箱根駅伝をテーマにした青春感動物語です。この種の本を読んだのは久しぶりです。箱根駅伝関連のネット記事にこの本のことが何度も書かれていて、マスコミでも頻繁に報道されていたので、いつか読んでみたいと思っていました。
関心の強い箱根駅伝のことだけに、興味深く一気に読んでしまいました。ストーリー的には、あまりにも現実離れしているために、「つくり話」感はぬぐえませんが、よく実態を取材され、かなり実態に即している情景描写と登場人物の心情描写が巧みで、スポーツ小説に留まることなく、文学的にもかなり価値の高い作品であると思いました。
◎ まだ読んでいない人に感想を述べるとしたら・・・・、
ほとんどが長距離に全くの素人の学生が10人ギリギリで、一年間でトレーニングして箱根駅伝に挑戦しようという、ありえない話。中に一人だけ学生界でトップクラスのランナーが主人公、もう一人がかつて有望選手ながら故障をかかえているリーダー役。この二人を中心に話が展開しますが、現実離れしているだけにマンガチックで面白い。また、話の進行につれ、箱根を目指す現実の情景描写がリアルで面白いです。記録会のこと、予選会のこと、段階を追っての練習方法、そして、駅伝当日の動きや心理描写。箱根ファンには必見でしょう(笑)。そこらのガイドブックよりもリアリティーがあって、納得と言う感じです。
◎ 読んだ人に感想を述べるとしたら・・・・、
やはり走には2区を駆けてほしかった。王子の1区も無謀。近代のロケットスタート型ハコネでは通用しないし、現実味に欠け過ぎ。。。
でも、それぞれの個性を浮き立たせ、走りと結びつけた構成力はすぐれていると思いました。面白かったです。監督の大家さんは、もう少し筋金入りの隠れたキャラなのかと期待していましたが、タダのおじさんだったのですね。
ところで、エンディングで急に3年後になっていましたが、その間はハコネはどうだったのでしょうかねぇ。そして葉菜子は?・・・まあ想像がいいのでしょうね。
協力校に、大東文化大学、法政大学とありましたので、両校の生の情報提供があったのだと思います。なかなか興味深かったです。
いつか、テレビドラマ化しそうですね。
もう一つの 『風が強く吹いている』を読んでみたいです。