NHKの「こころの時代」で、釈尊の臨終期の教えが放送されています。
講師は、駒澤大学名誉教授の田上太秀先生です。
放送時間 教育テレビ(Eテレ) 第3日曜日 午前5:00~6:00
再放送 翌土曜日 午後1:00~2:00
すでに前半が終了し、テキストも下巻に入ります。
全12回のタイトルです。
第1回(4月) ブッダは生きている
第2回(5月) 怠けてはならない
第3回(6月) 無上の道とは
第4回(7月) 無常の中に不滅なものがある
第5回(8月) 誰でもブッダになれる
第6回(9月) 衆生は仏性の現れ
第7回(10月) 女身も成仏する 10月16日・22日
第8回(11月) 極悪人にも仏性はある 11月20日・26日
第9回(12月) 人は行為に支配される 12月18日・24日
第10回(1月) 果実は種子にあるのかないのか 1月15日・21日
第11回(2月) 臨終の比喩説法 2月19日・25日
第12回(3月) 安穏を得る生き方 3月18日・24日
この講座はいわゆる『涅槃経』の内容を解説し、釈尊が最期に熱く語ったであろう、最も後世に伝えたかったことに迫るものです。
お釈迦様の臨終期に説かれたとされる経典にはいくつかの系統があり、大きく分けると次のようになるかなと思います。(tera日記分類です)
①『大般涅槃経』だいはつねはんぎょう(マハーパリニッパーナスッタンタ)パーリ語・3巻
②『遺教経』ゆいきょうぎょう…原典欠、鳩摩羅十訳「仏垂般涅槃教誡経」
③「大乗涅槃経」と通常呼ぶが、名称は①と同じ『大般涅槃経』である。代表的なものは曇無セン訳・40巻
これらのうち、いわゆる涅槃経というのは①と③を指し、今回もこれら二つを対比して述べられています。
田上先生は、①を古い涅槃経、③を新しい涅槃経と呼んでいます。
①はパーリ語で書かれ、原始仏典とされる釈尊のなまの教えを忠実に記録したものと考えられています。
②も原始仏教の範疇と考えられますが、原典・チベット訳ともに欠けていて詳細がつかめませんが、釈尊の最期の説法として、中国・日本においては重要視されてきました。漢訳が各種あります。(4~5世紀)
一方、③は2~3世紀の大乗仏典の成立の一環として編纂され、釈尊臨終期の様子には共通するものがあるものの、思想的には全く新しい所説を展開しています。サンスクリット語の原典も各種あり、編纂し合っていたりして複雑です。仏教ツウ好みの経典と言えましょう。
ただし、広く流布したものとしては、②が有名で、コンパクトに臨終に当たっての最期の説法が説かれています。禅宗を中心に重要視されていますが、この「遺教」と、いわゆる「涅槃経」とは教説の上では別物と言えるようです。
この涅槃経は、ドラマチックな臨終に当たっての記述については興味深く、一般的にも馴染み易いですが、特に③の著述にあるような涅槃経の教説は奥が深く、様々な仏教教理(特に法華経、如来蔵系の教理)と深くからみ合い、探究甲斐がある教えだなぁ・・・・と個人的には思っています。
内容のコメントにつきましては別の機会に・・・・。(汗)