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ネット坐禅会・24・・・曹洞宗の教義

曹洞宗の教義

前回までに、曹洞宗の坐禅についてまとめて来ました。本日からは、曹洞宗の教義について紹介したいと思います。

禅宗は、お釈迦様が菩提樹下で悟りを開かれた行を基に、修行僧の瞑想修行の基本の行として、また瑜伽行派の観法としてインドで行われ、中国に伝わって「止観」として天台教学で究明され、達磨大師によって現在に伝わる「禅宗」として発展してきました。6代目の慧能禅師のあと、南北に分派しましたが、南宗系が大きく発展し、5家7宗と呼ばれる宗派が中国仏教の一時代を築きました。曹洞宗はその中の一派です。

やがて、栄西禅師が臨済宗を日本に伝え、道元禅師は曹洞宗の系列の只管打坐の禅を伝えました。臨済禅は公案禅、曹洞禅は黙照禅で、内容の違いについてはすでに前述してきた通りです。平成28年現在の禅宗寺院数は、曹洞宗14,536寺、臨済宗15派総数5,686寺(妙心寺派3,351寺・南禅寺派423寺・建長寺派407寺ほか)、黄檗宗451寺となっています。

道元禅師は、福井県に永平寺を開き、純粋な只管打坐による厳しい修行形態により、お釈迦様の目指した出家僧の育成を図り、現在につながっています。永平寺の二代目、三代目、四代目は、直接、道元禅師の指導を受けた僧でしたが、三代目の義介禅師は、他の僧との見解の相違などもあり途中で永平寺を離れ、石川県金沢の地に独立して弟子を育成します。その一番弟子が瑩山禅師であり、能登半島の先に總持寺を開きました。

実は、道元禅師の時代には、曹洞宗という名称は用いていなくて、あえて名付ければ「仏心宗」と言ったそうです。瑩山禅師の方針は、純粋な禅の修行を実践しつつも、多くの僧を育て、広く全国にこの教えを広めることを目指し、時の後醍醐天皇との交流もあり、「曹洞宗」という宗派名を前面に掲げて、急速に教宣を拡大して参りました。僧侶のみならず、一般の人々の信仰を集めるべく、人々の願いに沿う、祈り、祈祷など救済の活動にも力を注ぎました。現在の曹洞宗寺院の8割の寺院は、總持寺から巣立った僧により広げられた寺院であるとも言われています。

ですから、二つの寺院は、それぞれに別の特徴を持っていますが、ベースとなる教義については共通の只管打坐の精神があることに変わりはありません。曹洞宗の禅の特徴については、前回までに述べてきた通りですが、違いをあげるとすれば、永平寺は、頑なに古来の伝統の重みを守るべく純粋な精神を伝承する一面を持ち、總持寺では、変わりゆく社会に生きる人々に寄り添いながら、曹洞禅の性格を維持しながらも平常の日常に展開させていく面を持っています。

そのため、どちらも只管打坐、修証一如、身心脱落、即心是仏といった基本の教義は同じですが、永平寺の精神は、姿形を大事に「威儀即仏法」といった自己への厳しさのイメージがあり、總持寺の特色は、「祈祷」「慈愛」といった、利他の現代的展開といったところに特色があろうかと思います。この二ヶ寺は、明治時代の後期までは、北陸圏内の近くにあり、お互いに支え合ったり、あるいは対立したりを繰り返しながらも、それぞれの時代の先哲の英知により、両祖、両本山として尊重し合い、今日に至っています。そのため、分派することなく、今日、一つの宗教法人としては日本最大の教団を構成しています。

 

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