totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

2007 海の命 9時間目

2022-03-13 14:15:07 | 6年 国語

海の命 学び合い(9時間目)

 いよいよ発表会当日。でも、授業は私の思い通りには流れませんでした。「私がこう流そう」と提案したことに対して、子供たちは「それはおかしい」とつっかっかってきました。指導案はめちゃくちゃになりました。でも、そのおかげで、それまで分かったようなつもりになって上辺だけできれいごとを話し合っていた子供たちが、本当に真剣勝負で私に挑んできました。それは、私が指導案で「済む」を辞書で調べさせ、それを根拠に子供たちの思考を揺さぶろうと考えていた事が当たったからです。ただし、あまりに強烈に彼等の思考を否定したことで、子供たちは反発しました。私は、授業の中でそれもありだと思い、まとめまで行かずに終わるだろうことを、腹をくくり、子供たちと勝負してみました。とっても幸せな45分間で、実は目頭が熱くなっていました。こんな、すごい子供たちと授業でガチンコ勝負するなんて素敵!!と感じたのです。
 
 授業は(見ている人に分かったかどうか分かりませんが)子供たちも私も知的に楽しい時間でした。だから良い授業だったと思います。だから良くなかった点は、指導案通りに進まなかったことです。この良くなかったの中身も2点あります。①は、教材解釈が甘かった可能性。②は、教材解釈は良かったけれど、子供たちに投げかける発問が甘かった可能性です。

①教材解釈は、私なりに考えに考えた解釈なので、これでよしとしたいと思っています。
では、私の授業が指導案通りに流れなかった原因は、②にあります。つまり子供たちに投げかける方法が甘かったのです。

 子供たちが表面上しか考えていないのを揺さぶる切り札として「済む」にしぼるところは正しいと思います。そして、辞書から「予定の仕事や行事が、期待した通りの終局(=結果)に達する。」を引き出すまでは良かったです。この期待していた終局は、【クエを殺さない】ということです。だから予定の段階から、本心としては【クエを殺さない】だった。」と私は解釈していました。これは、正しいと思います。しかし、子供たちは絶対にこれは受け入れられませんでした。ここで子供たちを納得させる手だてをもっていなかったことが、私の失敗の原因です。もっと言うと、「済む」という切り札を切れば納得するだろうと考えた私の子どもの心の理解が甘かったのだと思います。【ずっと殺そうと思ってクエを追い求めてきた】という子供たちが、辞書でちょっと調べただけで、その考えを180度転換させるためには、もっと準備が必要でした。

 つまり、子供たちに180度違う考えを納得させる【手だて】がほしかったことになります。そこで、手だてを考えました。月曜日にこれで再度子供たちと対するためです。「済む=予定の仕事や行事が、期待した通りの終局(=結果)に達する。」をこのように例えて説明しようと思います。「修学旅行が雨に降られないで済む」なら、体験したことなので、子供たちはわかりやすい文です。この【期待したとおりの結果=雨が降らない】です。予定は良い予想と悪い予想があるのです。【雨が降らないといいなあ。】という良い予想と、【でも、この天気予報を見ると降るかも知れないなあ】という悪い予想です。本当になってほしいのは【雨が降らない】ですが、【たぶん降るだろうなあ】という悪い予想の方が強いので、とても不安な気持ちです。心がゆれます。それが、結果としては【雨が降らなかった】のです。ほっとして安心します。それが【 雨に降られないで済む】です。

ここまで説明して子どもに返せばいいのです。【殺さないで済んだ】は、【殺さない】という結果を願うけれども、【殺しちゃうだろうなあ】という不安があり、その良い予想と悪い予想が心の中で葛藤してとても不安です。でも、本心の予定通り【殺さない】という結果になることができて「ほっとする」と読み解いていくはずです。そして、心がゆれて苦しいところで、主人公は「泣きそうになる」ことに気付きます。「ほっとする」ところで「笑顔を浮かべる」という表現に気付きます。

私の指導案は、プランとしては良かったのですが、支援を考えていなかったのです。なぜ支援を考えていなかったかというと、児童理解が甘かったからです。辞書を引けば分かるだろうと考えたところが甘かったのです。そのために分からせるための手だてを私がもっていなかったから、子どもに任せるしかなくなってしまったのです。

それだけの力しかなかったことに、子供たちが気付かせてくれました。でもおかげで次に同様なことがないように、今後は準備することができます。子供たちのおかげで多くのことを学びました。そうそう、校長先生が28日の朝礼で「失敗の中から学びなさい」と言っていました。


さて、その本時の授業です。
S:はじめましょう。
T:読みましょう。
S:26~29段落を音読。

T:いい読みでした。とくに「おとう...」が良かったね。もう一度、女子、読んでみて。
女子:「おとう...」
T:ここよかったね、ここなんか変だね。もう一度読んでみよう。切り替えてね。
女子:「おとう...」
T:そうだね。こっちの方が柔らかいね。じゃあ、次、男子読んで。
男子:「おとう...」
T:この「か」ってそんなぶっきらぼうに読んでいいの?もう一度。
男子:「おとう...」
T:そうです。「か」ひとつ読み方を変えるだけで、雰囲気が変わるでしょ。今日は、そういう、一つ一つの言葉にこだわった授業にしようね。
T:めあてを読んで。
S:太一はどうしてクエを殺すのをやめたのだろう。
T:どうしてがついているから、きょう求めていくのは何かというと..
S:理由
T:そうだね。さっき確認したね。

T:もうだいぶ調べてきたみたいだね。どんな理由がある。
S:私は3の段落にヒントがあると思う。与吉じいさは「おまえは気がつかないかも知れないけど、太一ここは....」のところでみんなで話し合って、太一がちゃんと自分では村一番の漁師だとよく分かっていないから、自分はこんなに大きなクエは捕れないと思って捕らなかったのだと思う。
S:お~
S:私は、前の話し合いでおでん君の事について、主の話で、主がいなくなると周りの海が悪くなるから、太一は大魚を残しておきたいと思ったと思います。
S:ふ~ん。
S:多分だけど、クエがお父に思えたから捕らなかったと思います。
S:お~
S:ぼくも同じで、クエがお父に思えてきたから殺さなかったのだと思います。
S:クエを海の命だと思ったから太一はクエを殺さなかったと思います。
S:クエは海の命だから、海の命がなくなったら、今まで魚を捕らせてくれたから殺さなかったと思う。
S:お~
S:ぼくは、最後に海の命と書いてあるから、その前はとろうと思っていたけど、海の命だからとらない方がいいと思って殺さなかったと思います。
T:一回切るね。どんな意見が出た?
①海の命だから
②クエがおとうと思えたから
③瀬の主だから
S:先生、瀬の主と海の命と一緒だよ。
T:では①と③はいっしょにしていい?
T:Mさんの意見をまとめると?
③いろいろな人の気持ちが分かっているから。

T:この中のどれかに決めて
S:グループで話し合ってからにしようよ。、
S:うん。

T:ではこの辺りでよしにしましょう。
S:用意はいいですか?
①海の命(瀬の主)だから                    11人
②クエがおとうと思えたから                   17人
③いろいろな人の気持ちが分かっているから。   1人

S:私は①です。
S:私も①です。命を調べたら一番大切な物って書いてあったから、海の一番大事な物だと思います。
S:私も①です。
S:ぼくも①です。一番最後に海の命だと思えたって書いてあるからです。
S:ぼくもHさんと同じです。大魚はこの海の命だと思えたって書いてあるからです。
S:ぼくは②です。「おとう、..会いに来ますから」こう思うことによって、太一は瀬の主を殺さないで済んだんだから、こう思ってなかったら太一は瀬の主を殺していたかも知れないからです。
S:お~
S:私は、「おとう、..会いに来ますから」と思うことによってだと思います、こう思うことによっての「よって」を調べたら、その前に述べていることの理由をあらわすと書いてあったから、28の段落のことを思うことで殺さないで済んだのだと思います。
S:お~お~お~っ!!
S:ぼくは、①から②に意見を変えます。「おとうここにここにおられたのですか。また会いに来ます..」という理由があるから、この海の命だと思えたことが分かったからです。

T:一度切るね。では、話し合いがもうここ(29段落)に来たね。まず、ここをやっていいですか?
S:はい。
T:ここ(26と27と28段落)は目移りするから、移動させて本文をしぼっておこうね。
S:先生28はほしいよ。
T:28と29はつながるの?
S:はい。
T:どの言葉でつながることが分かるの?
S:こう思うの、こう。
T:こうは何をさしているの?前の言葉を指しているんだね。

T:ついでに、Kさんがいいことをいったね。よく調べたね。確認しておこう。「よって」は理由の言葉だね。理由があるんだ。
T:どこをさしているか調べるよ。こういうときはどうしたらいいの?
S:切る
①おとう
②ここにおられたのですか。
③また会いに来ますから。
S:何が?
T:おとうと思うことによって瀬の主を...なのか、ここにおられたのですかという理由で殺さないで済んだ...なのか、また会いに来ますからと思う理由で...なのかだね。

S:先生、答えの所だけ大きく読むもの。
T:どこを大きくいった?
S:おとう!!
S:うん、今、せんせい、おとうだけ大きな声で言ったもんね。
S:先生、失敗した!!(笑い)
T:先生、ここが答えかどうかは知らないよ!!じゃあ、先生に任せないで、自分たちでできる?
S:はい。
S:多数決とりますか?
S:はい。
①おとう                   28人
②ここにおられたのですか。
③また会いに来ますから。   1人(M君)

S:M君の意見が聞いてみたいです。
S:うんと、またあいたいから殺さなかった。
S:お~
S:ぼくは①から③かえます。また会いに来ますというところから、また会いに来たいなら瀬の主を殺しちゃうと会えないからです。
S:ぼくも、①~③に変えます。あの、大魚が死んじゃうと、また会いに来れないからです。
S:わたしも、いっしょで、①~③に変えます。殺しちゃったらまた会えないから、殺さなかったのだと思います。
S:私は③の意見もいいと思うけど①です。③だと、わざわざおとうといわず、大魚と呼びかければいいからです。
S:う~ん。
S:私も同じで①です。また会いに来たいと思ったのは、クエがお父に見えたからです。
T:お父も大切なんだ。それに死んだらまた会えないのね。どっちも大事なんだ。何かいい解決方法はないの?
S:おとう....
S:おとう、また会いに来ますからと、思うことによってだ。

T:では、理由=「おとう、また会いに来ますから。」
T:その結果があるんだ。こういう理由があるから
S:殺さないで済んだ。
T:結果=「殺さないで済んだのだ。」

T:先生がまとめたのでなく、みんなでまとめられましたね。
S:うん。
T:おとう、また会いに来ますからという理由によって、殺さないで済んだという結果になったということだね。
T:いいですか?
S:うん。

T:でもへんじゃん。
S:何が?
S:済んだ?
T:読んでごらんよ。
S:殺さないで済んだのだ。
S:済んだがおかしいよ。
T:普通だったら、殺さなかったでしょ?
T:ちがうの?
S:そうだけど、
S:本当は、殺そうと思ってた...
S:ええ??ほんとはとりたいと.....
S:う~ん。
S:グループで話し合ってみてはどうですか?
T:どうぞ。

  ここから、各グループで真剣に話し合います。ここまでは、それぞれ下調べをし、また前の段落まで学んできたことで、「殺さない理由は、海の命を大切にしたいから。」と考えている子がほとんどです。しかし、この考えは、【最初は殺すつもりだった 】が前提です。「殺さないで済む」の「済む」を突きつけられると、それが混乱します。なんか変だ。大急ぎで辞書を引きだします。それまで快調に口が動いていたのですが、ここからは、口だけでなく脳みそに汗をかいてこのロジックを解かなくちゃと必死になります。雰囲気が変わりました。
 いろいろな声が聞こえてきます。殺さないとさあ.....ちがうら~。殺せなかった.....殺さなかった....あ~、分かんなくなっちゃった。殺す予定が....前から思ってた?
  そのうちのAさんのグループが、辞書の「済む」の解釈が分からず混乱しています。これを使って、後半戦へ持って行こうと机間指導をしながら考えます。ここまでは、多少予定より時間がかかっていますが、予定通りです。(20分経過)

 

 

目的が...やらなくちゃいけないことが....お母さんがわざわざ....殺さなければならなかった?..思いたくない絶対に?..と思うことによっては思えないけどということ?
T:では、ほかの班もいろいろ話したと思うけど、Mさんが分からなくなったのでまずMさんの話を聞いてね。
S:え~
T:なんていう言葉を調べたの?
S:済む
T:新明解はとっても難しいので、今日は拡大しました。
S:①予定の仕事や行事が、期待した通りの終局に達する。
T:終局に達するは難しいから変えるね。=結果になったということです。
S:①予定の仕事や行事が、期待した通りの結果になった。
T:これなら分かるでしょ?
S:はい。
S:②不十分ながら、事態が収拾される。
S:しゅう....???
T:この2つのどちらかでも多分説明できると思うけど、②は難しいので今日はとりあえず①を使ってみましょう。
(これはまずかった。ここで①か②か話し合わせてみたら良かった。時間が気になっていたので、とばしてしまいました。子どもは釈然としていなかったのでダメ!)
S:とっちゃった..
S:予定の仕事や行事が、期待した通りの結果になった。
T:予定があったんだ。
S:よてい?
S:クエを殺す計画。
T:予定通りになったんだ。
S:予定通りになってない。
S:クエを殺さないのは予定通りじゃない。
T:違うよ。辞書には、予定通りになったって書いてある。
S:なってないよ。
S:書いてないよ。
S:書いてないじゃん。殺す予定でいたのに、殺さなかったのはおかしいよ。
騒然とします。それは変だ。おかしいよそんなの?

T:殺す予定なんてどこに書いてありますか?
S:じゃあ、何でもりを持って行ったの?
S:そうだよ。意味ないじゃん。
T:たとえばこう考えたらいかがですか?
    -板書-
最初の予定 =殺さない。
理由ができた=「おとう、また会いに来ますから。」
結果    =「殺さないで済んだのだ。」

S:私は、殺さないで済んだのだの言葉通りの読むと、最初から殺すつもりはなかったということになると思います。
S:うん
ざわざわざわ.....
T:もう一度辞書の意味を読んでみるよ。先生が言ったんじゃなくて、辞書に書いてある。
S:予定の仕事や行事が、期待した通りの結果になった。
T:どんな結果なの?
S:殺さない。
T:予定通りになったんでしょ?
S:なってな~い。
T:辞書の意味は、予定通りになったって書いてあるよ。
S:辞書の意味はそうかも知れないけど、それはおかしいよ。
S:予定が殺さないなら....
S:辞書は単なる.....
S:ぶつぶつ....ぶつぶつ 
S:ぼくは、25の場面にたいちは鼻面に向かってもりをつきだしているから、それは殺そうという行動だから、殺さないは違うと思う。
S:うんうん。
S:え~そうなの??
S:ぼくは、Sさんの意見に似ているんだけど、(がわがや)
S:今、Yさんが話しているんだから、静かにしましょ!!
S:ちょっと似てるんだけど違って、太一は鼻づらに向かって突き出すのだから、普通は殺す気があれば、鼻づらに突き刺しちゃうけど、さしてないから、殺す気は亡かったと思います。
S:ぼくはYさんに質問で、殺さない?殺さない予定だったら鼻づらにもりを突き出す行動もしなくていいと思います。
S:動くか、動かないか確かめたかったんじゃないの?
S:なんで、とらないよ。
S:そうかそうか。
S:25のところの「興奮しながら太一は冷静だった。」ということは、とりたいのをこらえながら、太一はとるタイミングを計ったという意味だと思います。
S:あ~っ
S:興奮かあ~

 ここで板書を、こう変えます。
最初の予定 =殺さない?
              殺そう?
理由ができた=「おとう、また会いに来ますから。」
結果    =「殺さないで済んだのだ。」

T:今まで調べてきて、分かったようなつもりになっていたけど、調べてみると本当は分かっていなかったことが分かるでしょ?
(こういいながら、もう今日は最後のまとめまでは行かない。とことん、最初の気持ち、途中で揺らいだ気持ち、最終的な気持ちを話し合おう。彼等に、下駄を預けようと腹をくくります。)

T:さて、どっちでしょう。予定は殺すだったのか、殺さないだったのか>
S:周りの人と、話し合ってみよう。

ここで、先生「済む」の辞書の②のほうがいいよ、②を貼ってよという意見があります。
S:先生。不十分って何?
T:十分じゃない。
S:先生、収拾って何?
T:丸く収まる。
ものすごい勢いで、各班が話し合います。

S:話し合いをやめたらどうですか?(30分経過)

S:ぼくは「済む」の②の意味「不十分ながら、事態が収拾される。」を読んで、体の最後に気が済むだから、太一はふっとほほえみ口から、銀のあわぶくをだしてクエに向かって笑顔を作ったというのは、自分では気が済んだということだから、
S:じゃあ、①のことははずれているの?
S:うん。①じゃあ、説明ができない。
S:でも、作り笑顔だから納得してるかどうかは分からない。
S:笑顔を作ったってことは、作り笑顔でしょ....
T:数人で話すのでなく、みんなに話してください。
S:殺す目的の方で、父が死んだときでさえお母さんが出てこなかったのに、4の段落では急にお母さんが出てきたことがおかしい。お母さんの思いも背負っていることで、太一がこのクエを殺さない...、殺してこのクエを持ち帰れば太一がお父さんより強いって分かって、お母さんの気持ちも少しは軽くなるんじゃあないのかなあ。
S:う~(よく分からない)
S:③の意見を作った方がいいと思う。最初は予定は殺そうと思っていたけど、最終的には殺さないと変わった。
T:では時間の流れを読んでいこう。
T:26の段落のはじめを読んで。
S:もう一度戻って.....太一を見ていた。おだやかな目だった。
T:このときは殺そうと思っているの?
S:思ってる。
S:いない。
S:この大魚は自分に殺されたがっていると考えているところから、殺そうと思っていると思います。
S:それもいいと思うけど、私は26の最後まで殺そうと思っていたと思います。一人前の漁にはなれないと思うと書いてあるからです。
S:同じで、この大きなクエをとらなければ一人前になれないということは、絶対にこの場面ではとらなければならないと思っていて、28の「おとうここに」から、殺さない方がいいって思ったと思います。
S:それもいいと思うけど、28から殺さないと思ったのでなく、27からだと思います。
S:ぼくは、多分26の場面でもうクエはおとうだと思っていたと思う。太一は泣きそうになりながら思うって事は、このクエは何だか、おとうと思っているから、でも本当の一人前の漁師になりたいたいからこのクエを殺そうとしていたんだと思います。
S:それもいいと思うけど、26の所はまだ父だと思っていません。おだやかな....普通は目の前に人間がきたら怖がって岩陰に潜むのに、この魚はまた戻ってきてもいて、しかもおだやかな目をしていたから、これまでにない感情になったからなきそうになったわけで、お父さんとはまだ思っていないと思います。
S:あ~
S:私は、「本当の一人前の漁師にはなれない」という所で殺さなきゃいけないなって思ったけど、「太一は泣きそうになりながら思う」のところで、今までに出会ったこともない大物で、殺しちゃあいけないような気持ちもわいてきて、ふっとほほえみの「ふっと」は突然だから、その間でとってはいけない気持ちに変わっていったと思います。
S:う~ん。ほ~。
S:私は殺そうと思ったんだけど、26の最後で、でも殺せなかったみたいな感じだと思う。
T:色々出てきた中でね、泣きそうになりながらが問題になったね。何でなきそうになったの?
S:変な感情になった。
T:どんな感情?
S:ぼくは、この大魚は殺されたがっていると太一が思ったことだと思う。
S:太一が最初、与吉じいさに弟子入りしたときに、魚は苦しんで死んでいくと教わったのに、この魚は自分で殺されたがっているということでへんな感情になったんだと思う。
S:お~。あ~。わぁ~。すごい!!
S:いいねそれ。そういうことなんだ。
T:そうだねえ。泣きそうになっているって事は、とらなくてはいけないけどゆれてるんだね。
S:獲ろうとしてるんだけど、獲れない。
S:獲りたいんだけど、頭の中では....
S:頭の中では、獲りたい。
S:体は動かない。
T:それは、心があるからでしょぅ~
S:うん。
T:どんな心なの?
S:与吉じいさの....
S:与吉じいさの言葉。
S:千匹に一匹..
T:それはどんな考え方なの?
S:苦しんで死んでいく....
(あちこちでざわざわ言い出すので)
T:誰か代表で言ってくれないかな?
(ノートに千匹に一匹の考えを上手にまとめた人がたくさんいるので、誰か言うだろうと思ったのですが、少し躊躇が見られたので、ここでIさんを使おうと思いました。彼女は、慎重なので自分から発表することは少ないのですが、その発言内容はよく聞くと少ない言葉の中で本質を突いています。のーとのまとめも、他の子たちより深く心の中を見抜いて書いています。だから、ただ「魚を大切に」以上の答えが出ると思ったのです。)
S:魚は苦しんで死んでいくのに、この大魚だけお父さんの敵だということで殺すのはおかしい。
S:...............(しばらく、Iさんは何を言いたいのだろうと考え、し~ん。)
S:お~。
S:あ~

T:....っていうことに、どこで気がついたの?
S:おだやかな目。
T:では、ここでもう殺してはいけないと思っていたのだね。
S:う~、殺そうと思っていたけど、だんだん...
S:え~、それってどういうこと???

T:なぜこんがらがるのかというとね、さっきも出たのだけど、
S:興奮していながら冷静
T:...という言葉だね。私たちはよく、頭で考えることと、心で考えることが食い違うことがあるんだね。
T:頭と心が、どこでぴったりと重なったの?言葉で探して。
S:「ふっと」だと思います。さっきKiさんが「ふっと」で突然という意見を言ったときに、私もそう思いました。
T:バラバラだった、心と体が、頭が突然一つになったから、
S:ほほえんだ。
S:そうしたら、Sさんの言った問題が、魚からだんだん、大魚になって、主になっていくのが、心が変わってきたから表現が変わってきたのだと思います。
  ※(この3時間目の前(2時間目)に、5の場面の前半部分をみんなで読んで、疑問点を解決しておきました。そのとき、Sさんが、同じ「クエ」のことなのに、5の場面だけをみても、いろいろな呼び方があるのはなぜだろうとつぶやいたのを覚えていたのです。そういわれて、改めて見直してみると、見事に太一の信条の移り変わりが「クエ」の呼び方で見えてきます。「子どもってすごい」
23~24の段落「青い宝石の目」「青い目」「岩そのものが魚」=不気味
25の段落「魚」「瀬の主かもしれない」「クエ」=対象がはっきりしてくる
26の段落「瀬の主」「大魚」「この魚」=尊敬の気持ちが入る
27の段落「クエ」
28の段落「おとう」
29の段落「瀬の主」「大魚」「海の命」

S:あ~。
(果たして、この意味が何人に伝わったのかな?)と思いました。もう一度、この時間をふまえて、じっくり話し合うべきだと思い、むりにここでは結論を出すのをやめました。
T:ごめんね。今日はね、先生の流し方が良くなかったので、最後まで行かなかったんだけどさあ、....「たいちはどうしてクエを殺すのをやめたのだろう」って、みんなの調べてきたノートをちらっと見たら、与吉じいさの言葉、「千匹に一匹だから」って書いてあったけど、もっと深いでしょう。この理由って。
T:では、今日やったことを忘れないように、1文でも2~3文でもいいので、一分でさっとまとめなさい。

T:ごめんね。一分です。もう見ている先生たちに体育館に行っていただかないといけないので、ここで―。で閉じてください。  そして○△×で評価してください。
T:今日はすごかったねえ。感激しちゃったよぉ。先生の出番がなかった。
S:先生の意見は、どうだったの?
T:ノートは、明日まとめてみます。
S:じゃあ、家でやってこようっと。

S:終わりましょう。

S:やっと終わった。
S:長い緊張だった~。


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