長旅のまえに

好きなだけ、存分に、思ったまま、怒涛のように書こう

2023/11/29

2023-11-29 14:16:27 | 日記
時代の移り変わりが激しくてついていかれない。
ついていかなくてもいいと言える年齢にもなったけど。
さっき「追跡アプリ」を恋人の浮気防止、につけたことが殺人事件の発見に繋がったという動画をみた。

追跡アプリ?
考えてみれば存在するだろう。
猫の迷子防止にマイクロチップを入れようか私だって悩んだことがある。
スマホを手放せない若者もたくさん存在するし。

知人のお孫さんは父親にこの手の機能を使ってキャバクラ通いを突き止めた。
自分はキャバクラで遊んでるくせに俺のために金が出せないのかと大喧嘩になったのである。
父親と一人息子はこんな追跡機能の応酬でお互いのパソコン力を磨いているのだろう。

そう考えて人様の家庭には立ち入るわけにもいくまい。
もし、私が若い娘だったら?
恋人に追跡アプリをスマホに入れてくれと頼まれたら?
いいと言えば良いような、嫌なような?

ただ勝手にそっと入れておかれたら嫌だ。
恋の終わりにはスマホも全て刷新しなくてはならない時代になったようである。
手間がかかることだ。


2023/11/29

2023-11-29 07:35:49 | 日記
今朝は宇治抹茶カフェラテ。
トートバッグのなかに無造作に放り込んたわスティックがどんな味であるか楽しみ。
でもね、基本的に全部甘い。
酷評すると甘いだけ。
それでも毎朝のくじ引き朝カフェは楽しい。

今日は一つの野心を抱えている。
ウーバーイーツで中華を取り寄せてみたい。
結構、遠くから来るようだ。
伸びてしまわないのか?
解らないことだらけの現在の仕組みにおろおろしながら「負けるもんか」と私は唱える。

負けちゃうかもしれないなぁ。
電話はできるけどスマホ入力する自信はないもの。

2023/11/28

2023-11-28 18:53:53 | 日記
叔母が諦めとともに結婚して二年が過ぎた。
東京支店を立ち上げたけど売れない。
なんせ叔父は変わってる。
学生なら許されても社会人としては無理だった。
そのうち岩手の本家が倒産。
そのショックで叔父は心臓マヒを起こした。
命は助かったが叔母は母親と心臓の大手術をかかえる夫を持つことになったのだ。
夫の実家からは援助はない。

あるのはもと芸者だった養母の銀座へのこねたけ。
ホステスはしたくなかった叔母は会計専門係りになった。
数字には強い。美人だ屁理屈をいうのも面白いとお客さんが店に出ろよと口説き出す。

夫の手術にお金はかかるし叔母は店に出るようになった。
憎いとまで思った養母は「好きでしよ。かぼちゃこしらえるわ」と後ろを向いて五分の間にひつそりと心不全を起こして亡くなったの。
銀座を辞めて乾物屋が軌道にのりはじめてやっとホッとした私の40歳の時だったわ。
人間って5分で死んじゃうのよ。
かぼゃは長いこと食べなかった。
憎いなんていっててもね、お袋はいい女よ。優しくて単純。
私はこれでもあの母が好きなんだよ。親戚は信じないけど。

私は信じてる。
叔母と養母は仲の二人だ。
戦争もなく女性の職種が今のように確立してたら叔母は「全く、お袋は」と文句をいいなから楽しく過ごしてしたにちがいない。


2023/11/28

2023-11-28 14:00:42 | 日記
21になったとき結婚したよ。
見合いと言うかなんと言うかさ。
私とお袋の二人を養ってくれるって約束してくれたからね。

岩手の材木商の末息子で東京の大学に来てたんだ。
革のライダースーツを着こんでヘルメットにバイクさ。
まだ22歳で卒業と同時に私と結婚するってさ。

変な男でつまらなくって魅力もなかったけど私に夢中になってたよ。
お袋のための結婚だったね。
親思いなんかじゃないよ。
お袋が憎かった。
私はこんな結婚をしなきゃならないってね。

お父さんさえ生きててくれたらって泣かれるのが大嫌いだった。
責め立てられているようでさ。
育ててやったのに私を捨てる気かいって無言の圧もあったよね。
私は養女だし。

養父は学はなかったけどよく気の回る人でね。
戦争が激しくなったら俺の故郷の静岡へ行け。
疎開してても肩身も狭くなるからな、親戚の男と許嫁にしておくからな。
美少女の婚約者を嫌がる男はいないさ。
病気になっても恋女房が暮らしやすいように考える人だったよ。養父がなくなって静岡に行ったんだ。
けど現実はそうは上手くいかなかったね。

私の婚約者はね、15の口の悪い偏屈美少女よりどこかあか抜けた年増女のお袋にイカれちゃったのさ。
村のお偉いさんのおっさんも二人ほどイカれちゃった。

あの時、お袋に言ったんだよ。
どちらかのおっさんと一緒になって欲しいって。
「やだよ、あんなの」
お袋に言われた。

結局、村を引っ掻き回したんだもの。
静岡にもいられなくて終戦は大井町で迎えたよ。
玉音放送も一族で聞いた。
男たちは動けなくなってへたりこんでたよ。
けど女房たちはおまんまの支度しなきゃね。腹は減るんだからってみんな強かった。

静岡のことはさ、本当に恨んだよ。
若い私の犠牲よりおばさんのあんたが犠牲になる方がなんぼかましってもんじゃないかと思ったよ。
結婚した次の日、本当に辛くて切なくて恨めしかったからね。

一つだけ叔父のために言おう。
叔母に心底、惚れ込んだ心は変わらなかった。
誠実だった。
叔母の美貌に惚れたかもしれないがその美幌がこそげおちても叔父の恋心はかわらなかった。
「綺麗な女で写真でさえもこいつの美貌は写しきれなかった」そう言っていた。

2023/11/28

2023-11-28 11:24:57 | 日記
終戦の時私は16だったわ。
養母と二人で焼け跡に取り残されたって感じ。
養父は大工でせっせと土地を借りては借家を建ててた。
まじめでがんばり屋で養母に惚れきってたんだよ。

土地は戦前なんてただ同然だし上物には価値があったから私は大家の一人娘で結構、豊かに暮らしてたよ。

ただね、お袋は山の手の奥様たちに憧れて私にレースの服を着せたり何かとお嬢様ふうに着飾らせるんだよ。
やめりゃあ、いいのに。
育ちはいかんともしがたいものなんだからと子ども心に恥ずかしかったね。

お袋は横浜で芸者をしてた。
それを口説き落としたのが養父さ。
今はおまえも若いし人気もあるし楽しいだろうよ。けどな若さなんかあっという間になくなるんだ。
俺はお前に苦労はかけない。豪華な暮らしはさせてやれないが真面目に働くしお前も先行きのことを良く考えろ。
その上、俺はお前に惚れてるんだ。

お袋も考えたんだね。
結婚したんだよ。
私を養女にしたのはお袋が泣いて養父に頼んだからだよ。
流産した後でね、従姉妹からしばらく、育てて貰いたいって私を押し付けられたんだ。
しかもなんて言って置いてったと思う?

「面白い顔でごめんね」だよ。
しかも陰で言ってたのは「きっとあの子を手放せなくなるよ。情が移りやすい女だからね」だし。

目論見は大成功さ。
お袋は単純だからね。
けど養父は亡くなるし借家は空襲で焼けるし16歳の小娘が事務員なんかしたって暮らせやしない。
お袋も病気になるし心斎橋で考えたよ。
誰か私とお袋の二人を養って欲しい。
愛人でもいいからって。

実の母親に面白い顔って言われたけど私は銀座通りで男が振り向くくらいの美人に育ったのさ。
けど辻占師の言うとおり。
「あんた、綺麗だね。けど綺麗だからって女は幸せになるわけじゃないよ」

50代から先、叔母は骨にカルシウムが蓄積してゆく病を発症した。
関節の変形が多いのだが叔母は頭蓋骨だった。
病は静かにゆっくりと叔母の顔を変えていった。

叔母の実母は私の祖母である。
とんでもない女だが私は祖母が大好きだ。
ちなみに私は叔母とはまるっきり似ていない。
銀座で振り向かれるほどの美女を味わってみたいものである。