原発・TPP議論深まらず=衆院選、かすむ争点【12衆院選】
衆院選は15日に選挙戦最終日を迎え、12日間の論戦に幕を閉じる。12党が乱立した今回の選挙戦は各党の批判合戦が過熱する一方、主要な争点になるとみられていた原発や環太平洋連携協定(TPP)をめぐる政策論議は深まらなかった。各党の見解の違いは必ずしも明確になっておらず、争点はかすみがちだ。
野田佳彦首相は14日、滋賀県近江八幡市で街頭演説し、自民党の経済政策を「上っ面の楽天的な成長政策にだまされないでほしい」と厳しく批判。自民党の安倍晋三総裁も名古屋市内の演説で「民主党のめちゃくちゃなマニフェスト(政権公約)で政治への信用が失われた」とやり返したが、両氏とも原発には一言も触れなかった。
首相は当初、2030年代原発稼働ゼロをうたった民主党マニフェストを踏まえ、「脱原発か続原発か」を争点にしたい考えだった。日本未来、共産、みんな、社民各党なども「卒原発」や「脱原発」を掲げ、論争を挑もうとした。
しかし、安倍氏は「10年間でエネルギーのベストミックスを考える」と繰り返すだけで、自ら原発に触れることは少なかった。日本維新の会も「ナンセンス」(石原慎太郎代表)と、正面から取り合わなかった。
自民、維新両党とも党内の意見対立を背景に立場を明確にできなかったため、争点化を避けようとしたとみられる。首相も選挙戦での劣勢が伝わると、演説は原発論争よりも自民党批判に費やした。核燃料サイクルなどには議論が及ばなかった。
一方、TPPをめぐる論争には、民主、自民両党とも消極的だった。首相は14日、TPP参加を待望する自動車産業が盛んな愛知県岡崎市では「国益を守りながら判断する」と触れたが、選挙戦を通じて言及することは少なかった。両党とも交渉推進、反対両派を抱え、議論に及び腰になったようだ。
選挙戦ではむしろ、各党のアピール合戦が目立った。13日の民放テレビ番組で北朝鮮ミサイルへの対応を問われた各党党首は、「原発を狙われたらどうするのか」(嘉田由紀子日本未来の党代表)、「憲法9条改正に危機感を持つ」(福島瑞穂社民党党首)などと独自の主張を展開してかみ合わなかった。石原氏は「こんな議論が(有権者に)何の参考になるのか」とぼやいた。
[時事通信社]
●原発・TPP議論深まらず=衆院選、かすむ争点【12衆院選】 2012衆議院選挙特集
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とは
「21世紀の協定」―いずれの自由貿易協定(FTA)よりもはるかに大きく国境の枠組みを越えることを目指す9カ国、即ち、オーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナムが交渉を継続しているが、実質的には米国主導で、他の8カ国が」金魚の糞として参加しているような様相である。いかなる取り決めにも米国議会の承認が必要である。実態は、米国が参加国を支配するためのルール作りである。
TPPの2つの目的
①商業的目的: 市場アクセス、投資、知的所有権、サプライチェーン統合、「規制の調和」、ただし、すでにこのほとんどが大幅に自由化されており、参加国の間にさまざまなFTAが存在している。
②戦略的目的: 中国、インド、韓国、日本を含むアジア太平洋自由貿易圏の根拠として「判断基準」となる協定、ただし、APEC・FTAに向けた提案は過去に却下されている。アジア各国は折り合いのつかなかった協定モデルに加盟するのか疑問である。いずれの目的も、米国がTPP文書に同意するかどうかに左右される。
作業グループ
市場アクセス
工業製品
農業
繊維製品
貿易の技術的障害
衛生植物検疫措置
原産地規則
関税協力
投資
サービス
金融サービス
通信
電子商取引
ビジネスモビリティ
政府調達
競争
知的財産
労働
環境
キャパシティー・ビルディング
貿易救済措置
法律・制度
TPP参加で日本社会に大きな影響を及ぼす分野
知的財産:医薬品、インターネット
投資家の権利、投資家対国家の紛争権限
繊維製品、原産地規則
国営の貿易会社
政府調達市場
農業: 乳製品(ニュージーランド) 、砂糖(オーストラリア)、検疫、遺伝子組み換え作物、食品表示
資本移動
労働規則
環境規則
農業: コメ/豚肉/牛肉/小麦の輸入制度、関税率、検疫、食品の安全
サービス: 通信、金融/保険、流通(輸送/港湾)、IT、法律、教育
政府調達: 公共事業、PFI、IT
知的財産: 著作権の保護期間、インターネット・サービス・プロバイダーの損害賠償責任
投資規則: 非公式な障壁
競争と透明性
公衆衛生の分野ではどうなるのか?
保健市場における純粋に商業的な活動
対象領域
私立病院
プライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)
オンライン・国境を越えた保健サービス
医療機器
医薬品
血液製剤
栄養補助食品
保健関連IT
BSE牛肉の輸入制限
遺伝子組み換え食品/食品表示
日本郵政との関係ではどうなるのか?
米国の金融・保険業界のロビー団体の働きかけが交渉に大きく影響する。
日本郵政(銀行、保険、郵便事業)に対する長年にわたる米国の不満
•不当競争(不公平な機会)
•相互支援
•異なる税法規
•年金など、オンライン金融サービスに対する規制
•透明性と開示の欠如
民主党政権がTPP交渉に参加したい理由は何だろうか?
日本製品のTPPA市場へのアクセス確保と日本の投資家保護というが、現在、特に問題があるのか。米国市場へのアクセスがより拡大するのか?
また、アジア全域を網羅するFTAのプラットフォーム創設というが、日本にはASEAN+3と東アジア首脳会議という枠組みがある。あえてTPP に固執する必要はない。それにもかかわらず、TPP参加を追及しているのは、次の2点である。
●日米間の戦略的関係を強化する。
●政治的に実現が難しい国内再編を秘密裏に押し進め、政策として固めることで、新政権がこれを覆すことができなくなる。
大きな問題、主権と民主主義に関する問題点
●文書は協定に署名するまで非公開である。
●協定は脱退しない限り永続する。
●規則や義務の変更は極めて困難である。
●TPP加盟国の義務は他の加盟国に強制され、法人投資家は直接的に強制できる。
●投資家には、政策的助言に参加する権利がある。
●難局または最悪の事態、あるいは21世紀に新たな対応を迫られた場合でも、順応性は極めて乏しい。
TPPは将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8カ国で”絶対標準”に合意できれば、日本や他の参加国を押し潰すことができる。それが米国の長期的な目標のようだ。
(参考)ウェブサイト「ウィキリークス」公表の下記の記事
原文:http://wikileaks.fi/cable/2010/02/10WELLINGTON65.html
Viewing cable 10WELLINGTON65, DAS Reed Engages on TPP, U.N. Reform, Environmental
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Reference ID 10WELLINGTON65
Created 2010-02-1907:28
Released 2011-04-2800:00
Classification CONFIDENTIAL
Origin EmbassyWellington
VZCZCXYZ0022
RR RUEHWEB
DE RUEHWL #0065/01 0500728
ZNY CCCCC ZZH
R 190728Z FEB 10
FM AMEMBASSYWELLINGTON
TO RUEHC/SECSTATE WASHDC 0385
INFO RHEBAAA/DEPT OF ENERGYWASHINGTONDC
RHEHAAA/NATIONAL SECURITY COUNCILWASHINGTONDC
RUCPDOC/DEPT OF COMMERCEWASHINGTONDC
RUEATRS/DEPT OF TREASURYWASHINGTONDC
RUEHBY/AMEMBASSYCANBERRA0103
RUEHC/DEPT OF AGRICULTUREWASHINGTONDC
RUEHSV/AMEMBASSYSUVA0016
RUEHWL/AMEMBASSYWELLINGTON
C O N F I D E N T I A LWELLINGTON000065
SENSITIVE
SIPDIS
STATE FOR EAP/ANP
STATE PLEASE PASS TO USTR/WEISEL AND BISBEE
E.O. 12958: DECL: 2020/02/19
TAGS: OVIP ETRD PGOV SENV EAGR FJ NZ APECO MARR UN PREL
SUBJECT: DAS Reed Engages on TPP, U.N. Reform, Environmental
Cooperation,Fiji, APEC and Bilateral Issues withNew Zealand
CLASSIFIED BY: Robert Clarke, DCM, Department of State,USEmbassy
Wellington; REASON: 1.4(B), (D)
¶1. (C) Summary. 1.(C)概略 (※1)
During a series of meetings hosted by the Ministry of Foreign Affairs and Trade (MFAT) on February 19, EAP Deputy Assistant (DAS) Secretary Frankie Reed engaged on a wide range of topics including the Trans-Pacific Partnership (TPP), the United Nations, environmental cooperation,Fiji, APEC, and U.S./New Zealand bilateral relations.
New ZealandChief Negotiator for the Trans-Pacific Partnership (TPP) Mark Sinclair saidNew Zealandviews the TPP as a platform for future trade integration in the Asia Pacific and recognizes there will a number of sensitive issues on both sides during negotiations.
Trans-Pacific Partnership - Reaching for the "Gold Standard" -----------------------------------
¶2. (SBU) Regarding New Zealand domestic issues surrounding the TPP, Chief Negotiator for the Trans-Pacific Partnership Mark Sinclair emphasized that it has been a long-held objective of the Government of New Zealand to conclude a free trade agreement (FTA) with the United States, and there is a public perception that getting into the United States will be an "el Dorado" for New Zealand's commercial sector.
TPPに関連するニュ-ジ-ランドの国内状況に関して、
産業界にとっては"エル・ドラド/理想郷"であるとの一般認識がある
However, the reality is quite different, said Sinclair, since the United States is already quite open to New Zealand trade and investment.
米国はすでにニュージーランドとの貿易・投資の面でかなり開かれており、現実は"エル・ドラド"という訳にはいかない、
He underscored thatNew Zealandneeds to manage expectations in this regard.
In addition, Sinclair said that although New Zealand has already negotiated many free trade agreements, it is the first time New Zealand will negotiate an agreement that will open so many political sensitivities with a partner government.
ニュ-ジ-ランドは多くの自由貿易協定を結んでいるものの、これほど政治的な(意味を帯びる)重要関心事項(sensitive issues)についての自由化交渉は初めて
Sinclair noted that Minister for Trade Tim Groser is well aware of this and quoted the Minister as saying, "getting the United States to agree to engage on the TPP is the easy part; the negotiating process itself will be gut wrenching, especially achieving the gold standard."
gold standardを達成するのは大変なことだ
¶3. (SBU) On multilateral issues, Sinclair emphasized that New Zealandsees the TPP as a platform for future trade integration in the Asia Pacific.
TPPが将来のアジア・太平洋地域における通商に関する統合のプラットフォ-ム
If the eight initial members can reach the "gold standard" on the TPP, it will "put the squeeze" on Japan, Korea and others, which is when the "real payoff" will come in the long term.
もし最初の8ヶ国がgold standardにたどり着けば、TPPは日本や韓国、その他の国々に対する強力な圧力となり、まさに長期的な利益を得ることとなるだろう、と彼は強調した。
He also stated that another challenge in negotiating is that the current economic and commercial situation has put a great deal of pressure on domestic agendas.
Negotiators must therefore be very cognizant of the impact on jobs, wages, and other such factors.
When asked what New Zealand's position is on including new members, Sinclair put forth that "smaller is better" for the current deal.
新たなTPP参加国を加えることについてのスタンスを尋ねたところ、彼は現時点での交渉については 少ないほど望ましい との見解であった。
However, he emphasized, that what is more important is U.S. Congressional approval and if "critical mass" can be achieved with the initial eight.
しかし、もっと重要なことは米国議会における承認であり、最初の8ヶ国でcritical mass/量から質への飛躍が出来るかどうか、であると強調した。