インド洋における海上自衛隊による給油活動は撤収することが決まった。「自立した外交で世界に貢献」といいながら撤収を決定するまで約1ヶ月を要した。しかも、「世界に貢献」するための具体策も決まらない混迷ブリは、政府・与党に国家の安全を担うという責任感と具体的な戦略が欠落していることを証明している。子ども手当て、農家に対する戸別補償制度、高校無償化、生活保護世帯の母子加算の復活、出産一時金を出産時に55万円支給など、選挙受けの良い金の大盤振る舞いのみに注力し国家存立の前提である安全保障をないがしろにしてきた無責任な体質によるものだ。
外交・安全保障における政府・与党の無責任な「先送り」は、身内の論理で、外国には通用しない。”執行猶予”は、日米対等どころか、国家間の信頼を損ない同盟関係の空洞化をもたらす。最近のマスコミ報道をみれば、大衆迎合、無責任体質が顕著である。
防衛省の体たらく、不協和音
石頭の大臣と”現実”に目を向けた政務官
撤収の口実が見つかって
よかった!よかった!
自衛隊が嫌いな外相は、自衛隊を使わないですむ「民生支援を強化する」ことで大統領と合意したようだ。それは、良かった!良かった!自衛隊も行かなくて良かった!良かった! しかし、これで万事解決と思うのは早計だ!岡田外相はアフガニスタン滞在中、移動には防弾車を使用したという。それが示すとおり治安の回復が重要課題であるが、金・モノだけを提供するだけでは、復興支援は出来ない。
岡田外相「撤収を明言」
各閣僚が飛びついたが
岡田外相訪問先のパキスタンで「撤収」を明言した途端、各閣僚からしじの発言が相次いだと報じ手いる。海上自衛隊を是が非でも撤収したいとの願望あったので、岡田外相の一言にどの閣僚も飛びついた。
アフガン政府が強い思いを抱いていないからとの理由らしい。人道支援について、「人数は少なくても指揮命令的な仕事で・・・・・・」と考えているらしい。人道支援をするための治安維持のため各国が部隊を派遣しているので、それらの国の兵隊に守られて司令部関係に数名派遣してお茶を濁すのかな。日本は安倍内閣のときから財政支援を行っており、NATO文民代表部に連絡調整員を派遣している。鳩山連立政権のいう人的貢献は、人数を多少増やす程度で、従来の支援策と大きく変わった貢献策は提示できないだろう。
英がアフガニスタンに増派
派遣部隊の規模を9000人から9500人に増強するが、増派時期は不明としている。英国は犠牲者が多く増派反対の動きが強い国内事情から兵員の早期増派が難しいことが分かる。一方、米中は軍事的関係を強めている。「中国軍事委副主席が米国防長官と会談へ」訪米する。世界的規模の問題解決に中国の協力が不可欠になったことを示している。副主席は、アメリカの核戦力の指揮組織を視察するとの報道もある。米中の軍事的信頼関係は、安全保障政策が定まらない鳩山連立政権を尻目に相当、進展しているようだ。
NATO 露に支援要請
NATOの事務総長は、10月7日「アフガンで国軍・警察の育成分野で」NATOの軍事作戦にロシアが協力できないかと呼びかけた。アフガニスタンのテロ勢力の攻勢が強い地域ではアメリカが作戦を展開しているが、カブールなどの都市部における治安維持のための作戦は、NATO加盟各国が担当している。ロシアに支援を呼びかけるという状況は、現地の治安維持が一段と厳しさを増していることを物語っている。
米軍増派で政府内対立
肝心のアメリカがアフガン情勢にしり込みをしだした。現地で作戦を展開している軍部は、当然ながら増派を求めている。副大統領や大統領補佐官は、大統領選の不正が発覚し、民心が離れつつあることに着目し、「第二のべトナム」化を危惧しだした。アフガニスタン国民が”タリバン化”しつつあるので、小規模の増派では戦況を打開することは困難だろう。兵士の命は、金で換算できない。それにも関わらずアフガニスタンにはNATO加盟の25カ国と非加盟の16カ国、約5万人の兵員が派遣されている。
日本は金を出すことでお茶を濁すのだろうか。アフガニスタンの国際治安支援部隊は、国連決議1386号に基づき活動している。国連決議があればアフガニスタンに自衛隊を派遣してもよろしいというのが小沢幹事長の持論のはずだが、犠牲者が出れば鳩山連立政権が崩壊する可能性があるため自衛隊を派遣する決断はできないだろう。アフガニスタンでは政権の腐敗とタリバンとの戦闘の激化で民生支援をするための基盤が失われつつある。最も安全な海上における給油活動を撤収した場合、日本が自力でアフガニスタン領内で民生支援を実施する覚悟が現政権にあるのか、それとも他国の軍隊に守られて民生支援をするのだろうか。それはタリバンと戦っている他国部隊の足手まといとなり治安維持活動を阻害する。アメリカの苦悩、NATOの”悲鳴”を見れば、アフガニスタン派兵各国が”なるほど”と受け止める貢献策を鳩山連立内閣は提示できないだろう。資金の提供を除けば、給油に代わる支援策は無いといっていい。
児戯に はしゃぐ お粗末な大臣
戦闘機のコクピットで笑顔を振りまく、国家防衛の責任者。お粗末!
”国防”大臣が、コクピットの計器類をみて「興奮した!」というようでは、程度が知れている。毎年夏、一般民間人に公開されている東富士演習場における陸上自衛隊の総合火力演習を見物した人が異口同音に”すごい迫力!”と興奮するのと同じレベルである。この展示演習は、陸上自衛隊富士学校の学生に各種火砲の威力を認識させるための初歩的な演習だ。これらに興奮するレベルの人物は外国においては、国防相・国防長官は勤まらない。一番危なっかしいことは、この大臣のようなレベルの人物は、”見ること”、”聞くこと”全てが新しいことばかりで、目の前に提示された”事実”を客観視するために必要な考えや知識が無いため国防の責任者として適切な判断が出来ないということである。
無為・無策の根源はこれに尽きる
鳩山連立政権は、大衆迎合的な政策は、マニフェストに掲げたとおり比較的努力したような印象を受けるが、外交・安全保障についてはわずかなスペースに抽象的にしか記述していない。遅疑逡巡で無様な一語に尽きる。安保・外交はこれから”考える”段階だから無理もないか。防衛大綱と中期防衛力整備計画が決まらない。肝心、要の国家防衛の戦略がないと言うことである。とりあえず、何とか年を越せばいいやという無責任さが良く分かる。