「心霊ホラー」というジャンルがある。
広くホラー映画の中に、SFホラーがあり、ゾンビ物あり、サイコ・ホラーがあり、スラッシャーあり、ホラー・ファンタジーがあり、そして「心霊ホラー」がある。
しかし、個人的にはこの「心霊ホラー」という呼び名が、どうしても同語反復っぽくて好きになれない。
かつては、ホラーといえば、ズバリ心霊現象を扱った映画自体の呼称ではなかったか。
ホラーとは幽霊の出るお話の事であり、怪奇現象とは心霊現象そのものだった……ホラー(怪奇)映画を見るという事は、すなわち幽霊の出る映画を見るという事であったはずだ。
それが、いつしか恐怖の対象といえばエイリアンであったり、ゾンビであったり、猟奇連続殺人犯であったり……多種多様に枝分かれ的進化を遂げて「心霊ホラー」はマニアックなホラー映画というジャンルの中でも、さらにマイナーなサブジャンルに堕してしまっていた。
そこに、今から二十年前、一冊のホラー小説が出版された。
鈴木光司の「リング」である。
まだ二十代の頃、小説「リング」を初めて読んだ時の濃厚な読書感は、今でも良く覚えている。
やがて小説は映画化され、日本だけでなく世界の注目を集めた。
それから、しばらく世界のホラー映画界で、心霊ホラーの復権……とまでは行かなかったものの心霊ホラー・ジャンルは、コンスタントに一定の数量は供給されるようになった気がする。ただ、リングを越える心霊ホラーには、未だ出会っていないが……
個人的には、ゴシックな暗い雰囲気の心霊ホラーにも頑張って欲しいと思う。
(夏なのに冬の写真 - ニコン P7100)