登記が無事終了したのも束の間、彼の方から離婚に伴う取り決めをしておきたいという申し出がありました。
その取り決めの中に、「モカと定期的に会えるようにすること」という内容があったのですが、私としてはもうこれ以上彼と会うことは想定していなかったのでどう断ろうかと思案していました。
彼の言い分は次のとおりです。
自分は在宅勤務だったから、モカと過ごす時間は君より長かった。
その分モカの世話は自分のほうがしてきたと思う。
モカは君の犬だから連れて行くのは仕方がないが、定期的に会わせてもらいたい。そうでないと離婚はできない。
「俺が目の黒いうちは犬は飼わない!」とまで言った人がここまで犬に執着するとは。モカは彼にとっても大切な家族だったのだと再認識しました。
確かに彼の言い分はもっともでした。
私はフルタイム勤務だったので、平日モカと過ごす時間は僅かしかありませんでした。
最終的に、1か月に一度3泊4日間モカを預けるということに同意しました。
私は大雑把な人間、モカのご飯もきちんと軽量していたのは最初だけで目分量であげることもしばしばでした。
しかし、彼はドッグフードの原材料を吟味し、無添加かどうか、グレインフリーかどうか、たんぱく質の割合は高いか等々モカに最適なフードを徹底的に調べる気の入れようでした。
散歩のコースもマンネリ化しないように工夫し、帰ってきたらモカの足をお湯で洗い、ドライヤーで丁寧に乾かしてくれました。
実際、モカは今まで暮らしてきた家を離れ新居で暮らし始めてから数か月間、私の後を引っ切り無しについて回るようになり明らかに情緒不安定になっていました。
人間の都合で馴染んだ家から知らない場所へ移され、さらに家族構成も変化して、モカにとっても大きなストレスだったに違いありません。
つづきます。
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