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おそるべしッツ!インド!インドのおじさんに捧ぐ 編

2020-01-11 12:45:21 | 日記

 

   インドのおじさんに捧ぐ🇮🇳

ホテルで1歩も外出せず部屋に引きこもり、毎日何度も【インドのおじさん】ブログを見ていた。

インドに駐在しているある日本人が、駐在中のインドでの日常をを綴った内容なのだが、

…日常って普通何気ない平凡な中に、ほら、ちょっとしたささやかな発見やら、

感じた事など、他愛もない事を綴ってるもんだよね、

ところが!おじさんのは違った!

日常が毎日、まさに命がけ!想像を絶する凄まじい内容に、

その日常をまさに身をもって実感しているホテルの一室で、ウチらは涙なしには読めなかったものだ。

帰国後も、勝手に仲間意識を持ち、インドのおじさんのブログは楽しみに拝読させて頂いていたが、

日本に転勤が決まったと綴られてあった。

モチロン寂しくはあるが、まずは命あってだ。

その機におじさんはプログを閉じてしまったので、

インドのおじさんに感謝を込めてブログを捧げる事にした。

 

【インドのおじさん編】

長旅を経てやっと久々の日本。空港から都内に向かう電車。

ドアがついてる。窓もついてる。清潔でピカピカの椅子。

もう、床にクソがこびり付いてないか、

なんて日本人の99・9%が想像さえしないようなPTSDに怯えなくて良い。

車窓から見えるのは洗練された大都会。あなたははしゃぐ。
すごい!これぞ我が祖国!流石だ!日本!!

 税金が高いだの、富の再配分が偏ってる等、もう言わない、政治家の悪口なんて、
オレが間違ってた。すばらしい方々じゃないか、こんな清潔な国を創ってくださって…。

さて駅から山手線。これはキツイな、スーツケース抱えて。

お抱えのドライバー君いないし……なんて、イヤイヤ、おれ…。    


「そうだ!」あなたは夢にまで見た日本食の事を考える。

駅ビルの17階の景色の良い焼肉屋。とりあえずあの店で
ランチを食べるんだ、良いアイデアだ。

チョイ贅沢して上焼肉にしよう、日本米ご飯付き、決まりだーー!
  馴染みだった17階の焼肉屋。見晴らしの良い窓下に広がる大都会の整然としたビル群。
地獄から蜘蛛の糸を辿り、初めて目にした別世界のような。

…チェンナイの街並みとは大違いだ…。   

  トタン屋根の鶏小屋みたいな長屋にヤツらどうやって暮らしてんだろ…
運ばれてきた上焼肉ランチに我に帰り、ホカホカの飯を口に運ぶ。
「あーー!これー〜これ」
インドでは食する事のないホンマもん、感激もひとしおのあなたの脳裏に 

 ふとインドの道脇で食事を取っていた家族の姿が よぎる。
埃まみれの白飯を子犬のように分け合って手掴みで食べていた女と子供の家族。       

振り払うように一気に焼肉を焼く。
「そうだよ、ビール」

あれ程インドで恋い焦がれていた日本のビール!
日本のレストランでは間違いなくビールを飲めるはず。     

 「って、こんなに」                      

 注文するとスタッフの差し出すビールの種類の多さに狼狽する。                        

   1個の青いビンが目につく。挑戦的なネーミングにインド帰りのあなたは嗤う。

「インドのビール職人」
    ビールをグラスに注ぎ、再び窓下を見る。

同じ地球上の都市とは思えない完璧な窓下の世界に  馴染めてない自分に慄く。
あまりにも強烈なパラダイムだった。

蚊にテニスラケットでスマッシュの応戦で敗北を記し、

洪水で命からがら走った息を飲む逃走劇、
リキシャのアホのような競争、結局宝石屋に連れて行くドライバー、

つかまされたルビー、お利口なおウシ様
狂犬病の予防接種の存在すら知らず呑気に寝てる野良イヌくん、

ノラヤギくん、コブラ………Ahーーー
2年もあの世界で暮らした者は日本で社会復帰出来ないのか、!!!

遂にあなたは気がついてしまう。



それにつけても……

青いビンに住む嘲笑ってるかのような液体を睨み、
それにつけても、 ーあなたは呟く。

「インドのビール職人」とは  ……

おそらくインドなぞ生まれてこのかた一度も足を踏み入れた事もない、

ましてや住んだことなどあるはずもないただマニアックな奴らが作ったのだろう、

この青く美しいピカピカのビンのビール。

きっと彼らは知らないだろう、インドの何たるか
試しに一口軽く喉元に流す。続いて一口。「ん?」
2年間閉じ込められていたあなたの世界をあなたは思う。
「美味い、日本のビール!ウマい」


こんな美味いビール、インドのはずがない!あなたはテーブルをドンと叩く。

インドでビールを飲むなんて外国人だけだ。インド人はビールなど飲まない。

あの理解不能な複雑かつ強欲で、ウソつきで、人懐こく、バカで、憎めなくて、もうメチャクチャな、

本当にメチャクチャな国民が作ったビールの味を
日本人が理解出来るはずがない…
  
日本時間のギッシリ詰め込まれたスケジュール帳を見つめながらため息を漏らし、

あなたはこう呟くんだ。

断言出来る。インドの味を本当にわかってるのは日本中で俺だけだ。
でも…ビール職人の住むビンの中身。

間違いなくオレだった。



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