さて、ギャンブルの都といえばみなさんはどこを思い浮かべますか?
アメリカのラスベガス、はたまた地中海を臨むモナコのモンテカルロか・・・。
アジアではシンガポールやソウルもイメージする人も多いかもしれません。
そんな数あるギャンブルの都で最もカジノの売り上げが多い街はどこでしょうか?
実はここ、マカオなんですね。
これまではアメリカのラスベガスが世界最大のカジノの町でしたが、
2006年にマカオの売り上げが69億ドルに達し、
ラスベガスの65億ドルを抜いて世界最高となりました。
それ以降もマカオのカジノ産業は成長を続けており、
2010年代後半には400億ドルを超える規模にまで到達しています。
ポルトガル植民地時代は香港の陰に隠れてパッとはしなかったマカオ。
中国返還を経てなぜ大きく成長したのでしょうか。
前回の記事ではマカオがポルトガルの統治を受けるようになった経緯や、
第二次世界大戦後に中国への返還を中国側に拒否され、
ようやく香港返還後の1999年に統治権を中国が回復したというところまで紹介しました。
今回はその中国への返還後のマカオに迫ってみましょう。
マカオが返還されたのは香港が返還された2年後、
1999年12月20日のことでした。
マカオは香港同様一国二制度が導入される特別行政区となり、
初代行政長官にはマカオでの暴動後に実験を握り「マカオの王」と称された
何賢の息子、何厚鏵が就任することになりました。
このマカオでカジノ産業が発展しはじめたのは2002年から。
当時マカオではドッグレースなどのギャンブルはありましたが、
全てスタンレー・ホーという実業家が牛耳っていました。
しかし2002年にカジノ経営権の国際入札を初めて行い、
その後アメリカのラスベガス・サンズやウィン・リゾートなど
統合型リゾートを経営する外資系企業が多く進出してきました。
そしてそのわずか4年後にはラスベガスを抜き世界最大のカジノタウンとなるのですが、
その背景には拡大する中国経済がありました。
マカオには年間3500万人以上の観光客が訪れていますが、
そのうち中国本土からと香港からが3000万人以上を占め、
これらの観光業がGDPの半分以上を賄っています。
マカオには中国本土でも香港でも楽しむことが出来ないカジノがあり、
急激な経済成長であふれ出たチャイナマネーが大量にマカオに流れ込んでいるのです。
そのためマカオ政府の歳入も80%以上がギャンブル産業からであり、
まさにマカオはカジノで成り立っているといっても過言ではありません。
もちろんカジノだけではなく、世界遺産にも登録されているマカオ歴史地区や
中国のほかポルトガルや日本、インドなどの影響を受けた独特のマカオ料理、
ショッピングセンターに並ぶ高級ブランド店など様々な観光資源があり、
カジノに頼らない統合型リゾート開発も進んでいます。
一方でカジノ以外のギャンブルは多く存在するもののあまり目立たず、
マカオのギャンブルとして代表的なものであったドッグレースも
大規模なカジノの進出や動物愛護の観点から人気が下火になり、
2018年を最後にドッグレース場は閉鎖されてしまっています。
そんなマカオは先述の通り中国本土とは異なる政治体制が敷かれており、
通貨も人民元ではなくマカオ・パタカという独自のものを発行しています。
マカオの首長である行政長官は中国中央政府によって任命される一方、
立法府であるマカオ特別行政区立法会では一部直接選挙で選ばれる議員もいます。
また言語に関してもマカオで広く使われる広東語に加えて
ポルトガル語も引き続き公用語とし定められており、
道路標識や看板などもすべて広東語とポルトガル語の併記が義務付けられています。
しかし実際にはマカオではほとんどの住民が広東語で生活しており、
ポルトガル語はごく少数のポルトガル系住民の間のみにとどまっています。
そんなマカオに中国からの大量の観光客を受け入れているのがボーダーゲートです。
ボーダーゲートはマカオ北部と広東省の珠海市をつなぐ国境であり、
年間1億人以上が通過する世界最大の国境地点と言われています。
2000年にマカオを西に抜けるロータスブリッジが開通するまでは
中国本土へ抜けることが出来る唯一の陸路であり、
現在でも一日に数十万人の人々が行き交っています。
またマカオは香港からの距離が近く、香港からも多くの人が訪れます。
日本からの観光客も香港とセットで行く人も多いでしょう。
かつて香港とマカオの間の交通は船便がメインであり、
ジェットフォイルなどの高速艇が一時間に何便も運航されています。
現在はマカオと香港、珠海をつなぐ港珠澳大橋が開通しており、
マカオからバスで香港国際空港や香港市内に行けるようになっています。
船だと香港マカオ間は1時間弱かかるのに対して
バスだと40分程度で到着するのでかなり便利になりましたね。
ちなみに日本からマカオへは大阪や東京から直行便が就航しているほか、
より本数の多い香港国際空港便を利用してもアクセスできます。
また近年ではアジアからの観光客の急増を受けて
中国本土はもちろん台湾や韓国からも多くの便がマカオに飛んでおり、
ソウルや台北などを経由していくことも可能です。
ヨーロッパの社交場としてのカジノの雰囲気とは異なり、
ラスベガスのような遊び場としての趣向が強いマカオのカジノ。
一発逆転を掛けてチャレンジしてみるのも悪くないかもしれません。
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