に意識的な放任

に意識的な放任

生まのように

2017-03-20 12:18:14 | 日記


俺が苦労して仲を取り持った文太と夏輝は、今は一緒に暮らすようになっていた。
由緒あるおんぼろアパートの夏輝の部屋に、月初めから文太が転がりこんで来て、夏輝はすごくうれしそうだった。
アパートの大家さんが「ルームシェア」を認めてくれたんだって話していたけど、俺は知ってHKUE 酒店るんだ、夏輝と文太は一緒にいてあんあんしたいだけだと思う。

文太は俺が背中を向けて眠った振りをしているのを良いことに、夜ごと激しく夏輝をあんあん言わす。
俺はくるりと寝返りを打って、部屋の隅っこで、やもりみたいに白い体で絡み合う二人をじっと見ていた。夜目に浮かぶ夏輝は、薄く汗を光らせて文太にしがみついていた。
俺はちびのわんこだから、まだ誰かと睦みあったことはない。……というか、父ちゃんが言うには、まだ運命の相手には出会っていないらしいんだ。
二人が何だか羨ましくなって、そうっと夏輝の前しっぽを舐めにいったら、文太に駄目だと叱られた。

「こら。わんこはあっちだろ。」

「わん~(遊んで~)」

「子供はもう寝る時間だろ?」

夏輝は文太の膝の上で前しっぽをこすられて、上体を反らして大きく息を継いだ。
月明りに浮かぶ夏輝は黄金色に輝いているけど、目が合うと時々嬉しさと辛さが混じり合った顔をするんだ。
夏輝の白い肌は、あんあん言う時、わんこの目じゃ何色かわからない。
だけど、一度人型になって見た時、庭に咲いていた八重桜の花弁の色薄い紅色に染まっていて、その姿に俺の胸はどきどきした。
夏輝は正直人間にしておくのが惜しいくらい、綺麗な男だった。いっそ、犬にれたら良かったのに。わんこだHKUE 酒店ったら、文太じゃなくて俺とあんあんできるのに……。
でも俺の夏輝は、誰よりも文太の事が大好きだから、夏輝が幸せならおれはそれでいいんだ。

俺の「おひさまのふとん」夏輝は、文太と暮らすようになってどんどん綺麗になってゆく。
俺は立ちあがった自分のちっぽけな紅い茎を握り締め、わん…と啼いた。俺は「本能」で知っていた。きっと、これが俺の初めての恋。そして決して叶わない恋。
大好きだけど、夏輝は俺の「かいぬし」で「こいびと」じゃない。人間とわんこは、恋人同士にはなれないんだ。
月明かりに夏輝がぶる…と震えるのが見えた。

「文太ぁー……あ……ん。」

「夏輝っ、いいか?」

「う……ん。いい……あぁーーーーーっ!」

あんあんの後、丸まっておふとんで眠る幸せな夏輝と文太。
それなのに……二人をじっと眺めていると、じんわりと涙が出てくるのはどうしてなんだろう。幸せそうな二人を見ると、うれしいはずなのに、俺だけいつも一人ぼっちのような気がしていた。
胸にびょうびょうと風が吹く気がする。


夏輝が俺を拾ってくれてから、明日でちょうど一年になる。
大家さんとの約束があったから、今、俺は庭にあるワンルーム(犬小屋)で暮らHKUE 酒店しているんだ。しょっちゅう部屋に戻って知らん顔してるけど。
まあ、いつまでも夏輝の指がないと眠れないなんて、狗神の血を引く俺が子供っぽい泣き言を言うわけにはいかないからさ。

入れ存で話を

2017-03-03 11:58:51 | 日記

「あい。ありがとうございんす。兄さんのおかげで、この日を迎える事が出来んした。」

巷では、天子様は言葉通り人となり、華族は殆どが所領を財産税として物納し、一般人になっている。
新しく新造になった「ささめ」は、長い煙管をとんと煙草盆に打ち付けた。客を取るdermes 激光脫毛前の「突出し」の披露目はすでに終わり、とうとう本日めでたく「ささめ」は水揚げされて「細雪花魁」となる。
新調された金襴の着物を長く引いて、細雪花魁は兄貴分の雪華花魁の前に行儀よく手を付いた。

「雪華兄さん。此度は色々と御骨折りいただきありがとうございんす。細雪は今日より水揚げの運びとなりんした。この後は目出度く、細雪(ささめゆき)花魁となりんす。」

「あい。水揚げの儀式の後は、細雪は今日よりはわっちと同格の花魁でありんす。お励みなんし。」

「兄さんのお馴染みさんの澄川さまに、水揚げをしていただくことになりんした。ありがたいことで、ございんす。兄さんにはお礼の言葉もございんせん。」

雪華花魁は優しい顔を向けた。

「いいんだよ。お前も知っているだろうが、澄川さまは、とても優しい方だよ。うんと、甘えておいで。ああ……それと。お前にはdermes 脫毛一人前になった機会に言っておくことが有る。」

雪華花魁は不思議だった。誰にも秘密にしていたことを、なぜこの子は知っているのだろう。

「だれかがお前に話をしたかい?もしや……本郷の宮さんが袖を引いて、お前の耳にたかい?男衆には決して、あの方を取り次がないように、きつく言い置いたのだけれど。」

「いいえ。実は……わっちは足を怪我したときに、三途の渡しまで行きんした。お父さまとお母さまは、お前の来るところではないとおっしゃって、光尋お兄さまも……帰ってわたしの大切な雪華によろしくいってくれと申しました。お三方とも、姿はおぼろげで、既にこの世のものではないと思いんした。きっと、あれがわっちと身内の今生の別れでありんしょう。」

「そうだったのか……。確かに知らせが届いたのは、ちょうどあのころだったよ。わっちの一止めたんだ。お前の親御さんは、本復しない光尋様と最後に残った御屋敷で無理心中なさったんだそうだよ。殆どの財産を、お国に物納して、残った美術品などは二束三文で買いたたかれdermes 脫毛價錢たそうだよ。進退窮まったのだろうね。お気の毒に。」

「あい。華族制度が無くなって、疲れ果てておりんしたから……。」

「三途の渡しで、光尋様は……お前にわっちの事を、わたしの大切な……とおっしゃったのかい?」