に意識的な放任

に意識的な放任

えだて先延

2017-06-26 12:29:13 | 日記

「よく分からないけど???詩鶴くんは、身内から少し離れて、自分の未来を見てみたいって思ったんじゃないですか?」

「自分の未来????そんなもの。ここにいれば、恵まれすぎるほどがあるじゃないか。生意気な???何の力も無いくせに。」

言い方が悪かったかなと思ったが、一度言ってしまったから仕方がない。


「柾くん。ぼくね、おばあさまのお墓で亜由美さんに出会えて、本当によかった。ずっと自分のこToshiba冷氣とが嫌いだったけど、亜由美さんの役に立てたし、柾くんに会えた。」

「亜由美さんが、一緒に暮らそうって言ってくれたとき、そんなことできないって思ったけど、ぼくがいろいろな
ことを出来るようになったみたいに、何でも諦めちゃいけなかったんだよね。短い間に、僕は学校で学ぶ以上のことを教わった気がするよ。」

きらきら光る目で、俺を見上げた詩鶴はその時、母ちゃんが詩鶴にかけた言葉を口にした。

「亜由美さんが、家族になろうって言ってくれたんだ。」

「家族?」

「うん。だから、ぼく。その時、決心して柾くんの、良いパパになろうって思ったんだ。」

???ちょっと、待て。
何か、色々違ってるぞ、詩鶴。

樹木葬にした父ちゃんの眠る桜の木のそばで、カッターを片手に思いつめている詩鶴の話を聞いてやった母Toshiba冷氣ちゃんは、詩鶴の「ぼくには、誰も居ない」と言う切ない言葉に思わず、「家族になろう。」と言ったのだそうだ。

「うちには、高1の息子が一人居るだけなの。馬鹿だけど元気いっぱいで、気のいいやつよ。誰も居ないのなら一緒に暮らさない?家族になろう、詩鶴くん。」

その言葉に詩鶴はあっさりと頷いたのだ。

「はい。亜由美さん。」

頬を染めてはにかんだ詩鶴が打ち明けたが、それプロポーズじゃないぞ、詩鶴。

「うそぉ。」

脱力。


詩鶴は、父親の病院へ行き別れを告げると言い始めた。
このまま俺たちと一緒に暮らす覚悟を決めて、報告に帰ってきたのだという。
問題は山積みなのだろうが、ともかく俺は泣いてばかりいるのではなく、腹を据えて自分で決めた詩鶴に感心していた。
詩鶴は見た目の儚さと違って、意外にきちんと自分を持っているような気がする。

「1人で行って来る。平気だから。」

さすがに詩鶴を1人で虎穴に放り込む勇気はなかったので、口出ししないで見守るだけという約束で、ついてゆくことにした。
母ちゃんは人形の展示会が、大阪の百貨店であるとかで一足先に京都を後にした。

「お父さんとも、別れを言わなきゃいけないって本当はわかっていたんだ。でも、独りになる勇気がなくばしにしていたんだ。もう父の抜け殻に、さようならを言うよ。」

脳死状態の詩鶴の父親は、今は器械につながれて辛うじて息をしているにすぎない。
何の反応もない状態を、生きていると言えるのかどうか、俺にはわ健康床褥からなかったけど、詩鶴にはかけがえのない父親だった。
話が何も出来なくても、そこにいるだけでずっと詩鶴の支った父親。
母親がいなくなった後、ずっと支え合ってきた父子。
その最愛の父親に、詩鶴は決別するのだと言う。

「お父さんを、どうか宜しくお願いします。」

伯父と、天音を前に殊勝に詩鶴は頭を下げた。

傍に第三者がいるのも構わず、伯父は詩鶴に手を伸ばした。
コートを滑らせ、不自然にセーターがたくし上げられる。
何の躊躇もなく半裸に剥かれた詩鶴は、簡単に転がされていた。

習をるたび繰

2017-06-06 11:54:58 | 日記

「ま、参った!」
「義経の八艘飛びはみたことないけど、もしかすると一衛のように動いたのではないか?」
「義経に会ったこともないくせに、わかるのか?」
「誰も会ったことなんてないじゃないか。」
「では、拙者が会わせて進ぜよう。」
「え~?どうやって?」
「義経はわたしの持っている絵草子の中にいる。従者の武蔵坊も一緒だ。」
「あはは……」

元々一衛は、柔な見かけに反して、誰よりも負けん避孕 藥気が強い。何度も同じ練り返す根気もある。
直正に手ほどきを受け、自分なりに対戦するコツを得ていた。

「なぁ、一衛。何か、強くなる秘訣があるのか?」
「ううん、そんなものはないよ。ただね、相手をよく観察すれば癖が見えて来るって直さまに教えて貰ったからそうしているんだ。」
「癖?そう言えば立会いの時、一衛は相手が先に踏み込むまで、じっと見て居るよなぁ。あれか?」
「うん。初めて立ち会う相手を見切るのは難しいけれど、毎日立ち会う相手なら、見ていると癖が分かって来るんだ。」
「そうなのか?気づかなかったなぁ。」
「直さまが京に立つ少し前にね、常に目の前の相手を良く見なさいって、教えてくれたんだ。」
「強くなったのは相馬さまの教えだったのか。前は負けにぴぃぴぃ泣いていたのに、泣かなくなったしな。」
「なっ!……泣いてなどおらぬ。」
「それに、一衛は幼少の時から、何かあるといつも直正殿の所に走って行っただろう?什の仲間だというのに、我らとはまともに一緒にいなかった。母上の袂に隠れるようにして、いつも直正どのにくっついていた。」
「そうかなぁ……。」
「そうとも。幼少組の頃は、いつも直正殿の背中に隠れたきり、我らともあまり口も避孕 藥きかないから、我らは一衛に嫌われていると思っていたぞ。なぁ?」
「嫌ってなんかいないよ……」
「じゃあ、なんでわたし達と、遊ばなかったんだ?」
「なんでって……」

仲間たちは顔を見合わせて、促すように肯いた。
一衛は困ってしまった。本当のことを打ち明けるのは、少し気恥しかったが仕方がない。
友人たちは輪を作り、一衛が話すのを待っている。

「……わたしは……本当のことを言うと、みなと遊ぶのが怖かったんだ。」
「怖い?なぜ?」
「……」

一衛は困ってしまった。

「日新館に上がる前、女子のように小さくて可愛い一衛を、皆で守ってやろうと誓いを立てたりはしたけど、一衛はわたしたちをいつも避けているようだった。」
「そうとも。なのに一衛はどれほど誘っても、魚釣りにもいかないし。肝試しに口服 避孕 藥もいかない。」
「丘隅先生の所でも、一衛と遊んだのは竹とんぼを飛ばした時だけだ。」
「うん。あの時だけは、一衛の方から遊びましょうと言ってきた。」
「一度だけだったけどな。」
「取って食ったりしないぞ?なぁ?何が怖かったか、言うてみろよ。」