【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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2015年から相続税が増税される(遺産が8000万円でも相続税が課税される)

2014-09-09 17:00:00 | 相続・贈与、資産運用、節税
消費税率10%の陰に隠れていますが、来年(2015年、平成27年)から相続税も増税になります。来年の1月1日以後、死亡した人の「相続人が妻と子供2人」である場合、従来ならば遺産が基礎控除の8000万円以下であれば相続税は課税されなかったところ、4800万円を超えれば課税されるようになりました。従来よりも「セーフティーゾーン」が4割も縮まったということです。

遺産が8000万円の場合、相続税は次のとおりです。

8000万円-基礎控除4800万円(3000万円+600万円×3人)=3200万円→これが課税の対象です。

妻(法定相続分1/2)1600万円×15%-50万円=190万円
子供1(法定相続分1/4)800万円×10%=80万円
子供2(法定相続分1/4)800万円×10%=80万円

大変なことです!

相続(人の死亡)によって財産が目減りしてしまいます。

しかし、冷静に考えてみれば相続税を払っても財産の大半は残ります。遺産の全てが相続税として国に没収されるわけではありません。相続税は故人の生前の所得(給与や事業の儲け)に対する所得税の後払いであるともいわれます。そう考えれば、遺産の全てが遺族のものではないのです。

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★相続税の仕組みは素人でも理解しやすい

法人税(会社の利益に課税)や個人事業者に課税される所得税の計算は、簿記会計という特殊な知識を前提としていることから一朝一夕に理解することはできません。しかし、相続税は故人の死亡時の財産に課税されることから、課税の対象が非常にイメージしやすいです。

相続税額は、遺産からお馴染みの基礎控除(5000万円+法定相続人の数×1000万円、来年からは3000万円+法定相続人の数×600万円)を差し引いた額を、遺族が法定相続どおりに取得したと場合の「各財産に税率を乗じた各税額」を「合計」したものです。

各遺族が負担する相続税額は、このようにして計算した相続税の合計額を、実際に取得した財産の割合で配分したものです。

この説明は相続税に関する書物の最初のほうで詳しく説明されています。まずは、この部分を熟読してください。

★相続税対策の前提やリスクを知る

相続税の仕組みがわかれば、いわゆる相続税対策の前提やリスクが理解できるようになります。

「財産そのものを減らす(贈与をする)」「財産の評価額を下げる(評価額の高い財産から低い財産へシフトさせる)」「税率を下げる」が相続税対策の基本であること気づきます。

「賃貸マンション」が相続税対策の代表格であることも容易に理解できるようになります。

「賃貸マンションを買ったのはよいけれど、入居者は・・・」

そうです、相続税対策には、相続税だけでなく、財産も減らしてしまうリスクのある対策もあるのです。対策を提案してくる業者だけが儲かる対策もあるのです。