【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

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修正申告で追加納税する税額の計算(個人事業者の所得税の場合)

2017-09-19 19:00:00 | 税務調査
例年7月以降11月頃までは税務調査が活発に行われる時期です。調査対象とされた納税者の最大の関心は「追加でどれだけ納税しなければならないか?」であるのは当然ですが、その計算が思いのほか複雑な場合もあります。

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「個人で○○業をしているんですが、先日、過去3年間の税務調査がありまして、売上300万円が申告漏れとなっていることを指摘されました。追加でどれだけ納税しなければなりませんか?」

このような「唐突な!」質問をしてくる人がいます。しかし、これだけでは税額の計算はできません。このような質問する人の多くは、追加納税する税額は「300万円×税率」であると考えています。しかし、そのような計算はしません。次のように計算します。

★申告漏れとなっていた売上を年度ごとに分ける

まずは、申告漏れとなっていた売上300万円を年度(暦年)ごとに分けなければなりません。所得税は年度ごとに課税されるからです。もちろん、この300万円が特定の年度だけである場合は分ける必要はありません。

★漏れていた売上を年度ごとに加算して所得税を計算し直す

次に、年度ごとに申告漏れとなっていた売上を加えて所得税を計算し直します。300万円の年度ごとの内訳が、平成26年100万円、平成27年85万円、平成28年115万円であったとしたら、それぞれの年度の当初申告時の収入にこの漏れていた売上の額を加えてそれぞれの年度の税額を計算し直します。

この作業をする際に必要となるのが「申告書控」です(税務署に提出した申告書と同じ内容のもの)。売上の申告漏れでしたら、収入以外の必要経費や所得控除などは当初申告と変わりません。収入だけを変えて税額を計算し直せばよいのです。

★追加で納税するのは当初申告税額との差額

このようにして計算した税額と当初申告時の税額との差額を追加で納税するのです。このように税額を計算し直して申告し当初の申告との不足税額を納税する手続を「修正申告」といいます。

平成26年再計算税額-同年当初申告税額=平成26年追加納税額
平成27年再計算税額-同年当初申告税額=平成27年追加納税額
平成28年再計算税額-同年当初申告税額=平成28年追加納税額

この合計を納税しなければなりません。所得税の税率は所得が増えるにしたがってアップします。ですから、修正申告の場合の税率が当初申告の税率よりも高くなる場合もあります。

実際の修正申告の作業は、当初申告時と同じ様式の申告書用紙、「第1表」と「第2表」で行います。当初申告時と違うのは、表題の「確定申告」が「修正申告」になるということです。この用紙で、税務調査で指摘を受けた部分を正しい数値にして税額を計算し直すのです。それと、追加で「第5表」を提出しなければなりません。この表には、当初の申告内容を記載すると共に修正申告と当初申告税額との差額を記載します。

上記は、売上の計上漏れを指摘された場合の例ですが、必要経費や所得控除の間違いを指摘された場合も要領は同じです。指摘を受けた年度の該当箇所を正しい数値にして申告書を書き直し、当初申告税額との差額を納税すればよいのです。

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